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【連作短編】週末はいつも山小屋にいます

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東北の山を舞台にしたオリジナル小説です。 山小屋が好きで、そこでの出会いを書いてみたいと思いました。 東北には良い山、良い山小屋がたくさんあります。 その良さが少しでも伝わると嬉…
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週末はいつも山小屋にいます#4後編  【船形山/山頂避難小屋】

週末はいつも山小屋にいます#4後編  【船形山/山頂避難小屋】

 標高756mの小ピークを過ぎると、ルートはやや緩やかになり、ようやくのんびりとブナの森を眺めながら歩くことができる。
 昨日に歩いたらしい登山者の踏み跡が続いている。これは助かる。雪山登山で踏み跡があるのとないのとでは、疲労度が大きく違う。
 尾根筋からやや外れてトラバース気味に登っていくと三光の宮。太陽、月、星が刻まれた石碑まで登ってみると、わずかな雲が浮かんだ青空の下、くっきりと栗駒山が見え

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週末はいつも山小屋にいます#4前編 【船形山/山頂避難小屋】

週末はいつも山小屋にいます#4前編 【船形山/山頂避難小屋】

「今年も船形山に登るのか」
 登山用品店「ビヴァーク」のマスターがコーヒーを差し出しながら私に訊いた。
 3月11日のことを言っているのだとすぐに分かった。
「そうですね。実はこの前、氷上山に登ってきたんです」
「ああ、陸前高田の海が見えるからか」
「そうです。でも、やっぱりそこに有希がいるようには思えないんです」
 私は受け取ったコーヒーを一口すすった。
「船形山は二人の思い出の山だもんな」
 

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週末はいつも山小屋にいます#3 「氷上山/登奈孝志荘」

週末はいつも山小屋にいます#3 「氷上山/登奈孝志荘」

 カラマツの枯れ葉が積もる登山道を、昨日降った新雪がうっすら覆っている。
 雪の感触を楽しみながら、踏み締めるように登っていく。
 六合目を過ぎると、どんよりとねずみ色の雲が重く立ち込めた南東の空の下に、中心部が更地になった陸前高田の街と湾が見えた。
 あの海岸線の道で有希は東日本大震災の津波に飲まれた。
 しかし不思議なことに、あそこからは有希の存在を感じることはできない。そこに有希はいない。今

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週末はいつも山小屋にいます#2「焼石岳/金明水避難小屋」

週末はいつも山小屋にいます#2「焼石岳/金明水避難小屋」

 十月の一週目は、東北の山々が同時に紅葉の見頃を迎える。
 中でも特に有名なのが、神の絨毯と称される栗駒山だ。赤や黄色に染まった山を上空から見ると、まるで色鮮やかな絨毯のようだという。
 神の絨毯と呼ばれるようになったのはいつの頃からか分からない。しかし、その形容がガイドブックやインターネットで広がるようになった近年は、毎年この時期になると多くの登山者が押し掛けるようになり、登山道や頂上で渋滞が起

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週末はいつも山小屋にいます#1「月山/清川行人小屋」

週末はいつも山小屋にいます#1「月山/清川行人小屋」

■あらすじ

 山で出会った有希と結婚した「私」は、毎週末にふたりで山を歩く、充実した生活を送っていた。しかし、その毎日は東日本大震災で有希を亡くしたことにより一変してしまう。
 再びひとりで山を歩くようになった「私」は、山で様々な人に出会い、それぞれの悲しみや想いを山小屋で語り合う中で、自分の心に触れていく。
 有希への想いを抱え、出会いからの思い出と共に「私」は今日も山を歩く。
 喪失を経験し

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