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繰り返し読みたい現代の話

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時事問題として取り上げましたが、現代の問題の基礎知識等を書いています。
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2023年2月の記事一覧

バイデン大統領の中東訪問の意味(2022年7月執筆)

日本のメディアはあまりバイデン大統領の中東訪問について注目していませんが、本当はバイデン政権の中東政策の大転換を意味するものなので、書いていきたいと思います。

イスラエルとサウジアラビアのセット訪問
今回の旅程は、イスラエルとサウジアラビアの2か国です。この旅程こそ、今回のバイデン大統領の外遊の目的を象徴しています。アメリカのメディア等でも、この目的は産油国への石油増産依頼と言われますが、以前お

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危ない米中関係

アメリカに根強い反中国感情の根源?
バイデン政権発足後、米中間のオンラインサミット会談の直後にアメリカ側が突然中国を挑発する行動を起こすパターンが見られます。前回はクアッド(日米印豪戦略対話)&オーカス(米英豪軍事同盟)発表、今回はペロシ下院議長の訪台です。これまで米台間では現職実務者レベルの官僚交流以上はしないことになっていますから、影響力の大きな現職政治家の訪台はタブーです。(決していいパター

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今さら聞けない米中間選挙とその後(2022年11月執筆)

米中間選挙の位置づけ
アメリカの中間選挙そのものは、連邦下院の半分と上院の1/3の議席を争う選挙です。前の大統領選から2年後、次の大統領選の2年前というちょうど中間のタイミングで行われるため、中間という表現がなされます。本来は議員選なのですが、タイミング的に大統領の施政2年に対する評価という意味合いも込められます。

今回の場合、ホワイトハウス、上院、下院と全て民主党が制している「異常」な状態であ

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沖縄返還50周年 その2:在日米軍について考える(2022年5月執筆)

前回と引き続き沖縄復帰50周年に寄せて、在日米軍について考えてみたいと思います。

沖縄の過剰な米軍集中率
1950年代初頭、沖縄の全国における米軍集中率はわずか10%程度でした。それが今日では約70%です。なぜでしょう?戦後直後むやみに軍事施設、飛行場、港湾、名家(米軍将校の仮住まい用)等を全国で接収した後、やがて日本政府が成立し、少しずつ返還交渉をした結果です。沖縄返還が見えてきた70年代初頭

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沖縄返還50周年:間違いだらけの沖縄虚像その1(2022年5月執筆)

50年前の5月15日に沖縄がアメリカから返還されたことから、この50年間を振り返る記事や特集が組まれています。著者も以前沖縄県庁で基地問題に関わっていたことがあり、普段語られないことをピックアップしてみたいと思います。

沖縄から見える「日米同盟」:米軍基地の主たち
米軍基地の近くに住んでいないと、「日米同盟」は非常に抽象的な概念になりがちで、どのような軍種がどのくらい日本の防衛や周辺有事対応に必

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積極的惰性:日米開戦80周年に寄せて(2021年12月執筆)

積極的惰性
昨年は日米開戦80周年ということで、歴史番組でこの時代の話がよく取り上げられていました。また、安全保障が専門なので、知人と話していても話題になることがあります。そこで気になるのが、どこがターニングポイントか、誰それがどうしていたらよかったか、という視点です。例えば、近衛首相が開戦直前に訪米していたら、山本五十六提督がもっと開戦回避に動いていたら、ミッドウェー海戦の指揮官が南雲提督でなか

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自民党総裁選2021と米中関係(2021年9月執筆)

アメリカの本音は「勝ってから来てくれ」
アメリカの新駐日大使の着任はまだしばらく先のようです。報道では米議会の承認に時間がかかっているようですが、自民党総裁選が終わり、落ち着いてからの着任となることが予想されます。

冷戦下ならいざ知らず、アメリカ政府は日本の選挙に巻き込まれることを非常に嫌います。直近では2012年の総選挙で当時野党の自民党がアメリカと仲良くできるのは与党の立憲民主党ではなく自民

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アフガン戦争の終焉(2021年8月執筆)

2021年8月末を予定しているアフガン戦争の終焉について、現時点見えていること、予想されることを書いていきたいと思います。

米軍撤退までの経緯
元々オバマ政権時代から話し合われていたのですが、現地親米政権が独り立ちできる程度にまで安定してから撤退しようとブッシュ政権時代よりも増兵し、一時は10万人近く派兵していました。その甲斐あって、2011年オサマ・ビン・ラディン暗殺に成功した後から減少し、オ

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終戦の日に考える:敗戦を二度と経験しないための教訓(2021年8月執筆)

310万と2000万という数字を聞いたら、何を思い浮かべますか?これらは、日中・太平洋戦争で亡くなった日本人(軍民)及び諸外国人の数です。*目を覆いたくなるような、甚大な命の喪失でした。終戦の日に接するにあたり、二度とこのような惨事が起きないよう、何を学ぶべきかを考えてみたいと思います。

学校で教わる教訓は、戦争反対、原爆(・核兵器)反対です。しかし、本当にそれだけなのでしょうか?小学校レベルな

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