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日記

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何も起こらない日はない。何も感じない日はない。詩への架け橋になるように日々をつらつら綴る。
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#みんなでつくる秋アルバム

日記「夜明けの雨はミルク色」

日記「夜明けの雨はミルク色」

昨日は日暮れがやけに早いなって思っていたら、窓から雨の音がして窓をあけたら雨の香りがした。久しぶりに雨だなって思って雨の香りをかいでいると、雨の音って何だろう、雨の香りって何だろう、ふと考える。雨の一粒と一粒がぶつかったら音がするのだろうか。多分、雨が屋根や木々に落ちた時の音だ。雨に香りはあるのだろうか。雨に濡れたアスファルトや庭の土の匂いだ。だから正確には、雨が落ちた時の音がして、雨に濡れたアス

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日記「朝のランナー」

日記「朝のランナー」

色づく木々の公園のトラックでひとりのランナーの息づかいが聴こえる。もう何周も走っていて私はただいつ終わるのかみていた。数十分後、彼は芝生に大の字に寝転んだ。胸の辺りが上下に動いているのが遠くからでもみえる。彼の汗はきっと大地にしみこんでいる。一滴一滴。

私は持久走がとても苦手。高校生の頃、冬になると男子10キロ女子8キロの持久走大会が行われ、2学期も半ばになると、体育の授業は校外をひたすら走らさ

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日記「水のある風景」

日記「水のある風景」

まだ紅葉の見頃とまではいかないけれど湖の畔の木々はちらほらと色付いている。
視界は見事に水色。空は有色の水色。湖は無色の水色。

子どもの頃、
水の色は水色、と呼んでいた

石松佳さんの詩の一文を思い出す。人はある時に水に色は無いのに何で水色なんだろうときっと考えたはず。そして科学的根拠を元に有色に見える理由を知るのだろう。説明はできなくでも透明なはずの水に色は付くのだ。

広大な景色をながめてい

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日記「秋愁」

日記「秋愁」

秋晴れに秋桜がまだ咲いている。
11月にしては暖かい祝日の昼、最盛期に遅れて縮んだ花殻の隣で日光を浴びている遅咲きの秋桜が数輪。振り返る人はもう誰もいない。

さつまいもの収穫を終えた畑は放りっぱなしの蔓と萎れた葉が生気を失い静かである。数日前に幼稚園児がさつまいも掘りを楽しんでいた。きゃっきゃっとはしゃぐ幼い子達は可愛らしかった。きっと自分で掘ったさつまいもを焼いてもらってほふほふしながら食べた

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日記「夜の柿」

日記「夜の柿」

夜になっても柿は落ちていなかった。この柿は甘いかな渋いかな。

日課のウォーキングは日によって歩幅も速度も見える景色も違う。たぶん身体が気分に大きく影響されるのだろうと思う。

今日は枯葉と共に嬉しい便りがポストに舞い込んだ。私には大き過ぎる夢に小さく小さく一歩近づく。少しずつ少しずつでいい。他の誰かからみたら蝸牛ほどの歩み。私はそれでいい。ぬめぬめっと跡を残しながら幾日、幾月、幾年、どれだけの時

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日記「すすきのように」

日記「すすきのように」

秋晴れの風にすすきが波打つ。すすきって久しぶりに見た気がする。近所の小さな川は雨が降った時にしか水が流れないから雨のない季節は底がむき出しになったままになる。そんなだから川原には雑草がこんもり生い茂り、おしろい花や彼岸花や名の知れぬ花が咲く。すすきに似た草が風に揺られる。偽物のすすき。

とある小さな丘の自然公園の麓。いつものように駐車場に車を停める。林に覆われた舗装されていないひどい駐車場。地面

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