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日記「朝のランナー」

色づく木々の公園のトラックでひとりのランナーの息づかいが聴こえる。もう何周も走っていて私はただいつ終わるのかみていた。数十分後、彼は芝生に大の字に寝転んだ。胸の辺りが上下に動いているのが遠くからでもみえる。彼の汗はきっと大地にしみこんでいる。一滴一滴。

私は持久走がとても苦手。高校生の頃、冬になると男子10キロ女子8キロの持久走大会が行われ、2学期も半ばになると、体育の授業は校外をひたすら走らされた。私はぽっちゃりな子や運動が苦手な子たちに混じり下位グループでぜぃぜぃもがきながら、徒歩と変わらない速度で走った。屈辱だった。私は運動神経は良いのだ。小学生の時も中学生の時もいつも体育の授業では目立っていたし、運動会では必ずリレーの選手だった。高校生になって体育の授業が嫌いになった。

大の字に寝転んだ彼は何キロくらい走ったのだろう。走る速度だって全速力に近いくらいの速さだった。上下に動いている胸の辺りから苦しさが伝わってくる。深く呼吸するたびに喉がひりひりするんだろうなぁ。大丈夫かなぁ。そのまま動かなくなってしまわないだろうか。しばらく様子をみていると、彼は両足をすくっとあげてその反動でぱぱっと立ち上がり、軽快に小走りで去っていった。すごいっ。

朝のランナーの芝生の凹みには何か残されているような気がして、しゃがんで手を乗せてみる。芝生の良い香りがした。

霜月も半ば。そうだっ。もうじきお正月の箱根駅伝がやってくる。

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