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日記「すすきのように」
秋晴れの風にすすきが波打つ。すすきって久しぶりに見た気がする。近所の小さな川は雨が降った時にしか水が流れないから雨のない季節は底がむき出しになったままになる。そんなだから川原には雑草がこんもり生い茂り、おしろい花や彼岸花や名の知れぬ花が咲く。すすきに似た草が風に揺られる。偽物のすすき。
とある小さな丘の自然公園の麓。いつものように駐車場に車を停める。林に覆われた舗装されていないひどい駐車場。地面はぼっこぼこで日陰はいつもぬかるんでいる。あまり停めたくないが仕方ない。日常には仕方ないがたくさんあって咎めることもない。昨日は幸運にも駐車場がすこし空いていて陽向の比較的良好な場所に車を停めることができた。車を降りると眩しくて額を手で覆う。風が強い。ふと遠くに目を投げてみると、あっ。すすき。近くに行ってみる。
すすきだぁ。。。本物のすすきだっ!
風に逆らうことなく波打つ本物のすすき。いいな。最近の私は素直ではなかった。何かに逆らうように何かを憎んで何かを失いかけていた。いいな。本物のすすき。
しばし風に身をまかせるすすきを眺めて用事を済ませに行く。ぼっこぼこの地面には踏み潰されたたくさんの小さなどんぐり。大量のどんぐり。いつどこからこんなに大量のどんぐり!? なんかとても可笑しくなった。
♪~どんぐりころころどんぶりこ~
歌いながら建物へ向かう足がスキップしていた。
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