スタッフ旅行グアムの夜
僕は女から男に戸籍を変えて生きるFTMトランスジェンダー。鈴木優希1980年生まれ。仕事は地元名古屋の繫華街錦三丁目でLGBTQの当事者を雇用したBAR オナベバーVenus[ビーナス]とレズビアンバーW[ダブル]を二軒経営している。
僕の店にはキャッチコピーがある。
求人面は「自分らしく生きる場所」
仕事面は「全力で働き!全力で遊ぶ!」
スタッフにあげたいのは経験
経営者であるけどLGBTQの当事者同士ということもあって、
同じLGBTQ・FTMとして、やりたいこととやれないことがわかる。温泉や更衣室問題。女・男で分かれているものはどうしても不便さがついてくる。
マカオではみんなで女の子がいる店に遊びに行きたかったが、「女が女の店に行くのはダメだ」とガイドに一蹴されたこともある。
やりたいのにやれない。それは結構なストレスだ。
経験は自分だけの宝物であり武器となる
僕もこれまでにしてきた経験があって今がある。
本を読む事も好きだけど、自分がした経験には敵わない。でも、
若い頃は時間はあるけど、お金がない。
歳を取るとお金はあるけど、時間がない。
だからこそ、スタッフ達に僕が出来ることはここVenusやWで働かなかったら出来ない経験をさせてあげたいという強い想いがある。
FTMだからレズビアンバだから...と、やりたいのにやれないストレスもお金があれば多くの事は解決できる。
お金を稼ぐことはとてつもなく大変だ。
人の倍稼ぐには人の倍の努力が必要。
必死の思いで得たお金の使い道として、縁があって今僕の店に集まって力を貸してくれる人たち。
それぞれの貴重な人生の中で同じ時間を共有してくれているスタッフ達と共に普段できない経験が出来るのでならば、それも日々の仕事を頑張るモチベーションになる。
例え、この先オナベバーVenusやレズビアンバーWを離れたとしても「経験」だけはみんなの中に残る。友達とは出来ない遊び、家族とは行けない場所に連れて行きたい。
今年はグアム
やっと海外に気兼ねなくいけるようになった今年。リクエストだったグアム旅行に三年越しに行くことが出来た。
当時のメンバーとは変わっているけど、そんなことは関係ない。今が一番!
お掃除のおばちゃんも引き連れて、いざスタッフ旅行に出発。
グアムでは様々なアクティビティ、食べさせたいご飯がたっくさんあり、予定はぎゅうぎゅう笑
学んでほしいのはもう一つ
それは団体行動から学ぶ「気遣い」である。
僕たちは「接客業」でお金を頂いている。
お店に来ていただいたお客様にどうしたら楽しんでいただけるか?
一人だけではいけない。お店にいる全員が楽しい空間作り。
その為に何が必要か?
それは、簡単。
お金への感謝
お金を頂き慣れてはいけない。
ミーティングで必ず伝えることがある。
それは、チェックの金額を見なさいという事。
その金額に見合った接客をしたか毎回考えて欲しいからだ。
そしてお金の価値は変わらないということ。
お金持ちの人の1万円も借金まみれの人の1万円も同じ。
1万円は1万円。
価値は変わらない。
前者を軽く見てはいけない。先ほども言った通り、人の倍稼いでいる人は人の倍努力している。
お金に対して感謝の気持ちを忘れてはいけない。感謝出来ない人はお金から嫌われてしまう。
人への気遣い
団体行動をしていると、疲れて自分勝手になってしまう。長く時間一緒にいるとなぁなぁになってしまう。
海外ではお金の価値もわからなくなる。けれど、そんなときこそ忘れてはいけない。
一人ひとりが気遣えば、そこにいるみんなが楽しい空間になり、お金を払う人も気持ちよくお金を払える。
仕事も同じ。
その対価で僕たちの暮らしは成り立っている。
スタッフ旅行でも気遣いの対価が経験なのだ。
グアムの夜にスタッフに伝えたことがいつか自分が同じ立ち場になった時、仕事や人間関係で息詰まった時にでもそれぞれが思い出してくれたら嬉しい。
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