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僕はLGBTQのTであるトランスジェンダー。女から男に戸籍を変えて生きている。1980年生まれ。鈴木優希。仕事は地元名古屋でオナベバーVenusとレズビアンバーWを経営している。

18年目新たな挑戦

今年2024年4月にオナベバーVenusは18年目をなんとか無事迎えることが出来た。
集客、求人の宣伝広告の方法も様変わりした。ホームページ制作、ホストサイトへの広告掲載からInstagramへ、今はTik Tokでの発信を主としている。

先日宣伝広告の新たな取り組みとしてYouTubeの撮影を行った。Venusが18年目を迎えるにあたって、これまでの経緯を振り返り同じ性別違和LGBTQで悩んでいる当事者に向けて発信するのが趣旨。
スペシャルゲストとして父、前の奥さん、人生のキーマンであるお客様の3人を招いての対談形式の撮影となった。

父との距離感

僕と父との関係は未だに気を遣うもので、二人で話すこともご飯を食べることもほとんどない。
思春期は「怖い」「気を遣う」存在だった。仕事第一だった父は典型的な昭和人間。家のことはお母さんに任せていつも帰りが遅かった。家の中では父が一番で、帰って来るととたんに家族がピリッとする存在。

姉弟は上に姉。下には年の離れた弟がいる。
僕は真ん中の次女として生まれた。
待望の跡取りである弟が生まれてからは余計に家族からあまり注目されなくなって淋しかった。

心は男なのに、本物の男には敵わない。男になりたいのに女扱い。そんな卑屈な想いを抱えて生きた思春期だった。

僕の事を語る父

幼少期の印象からカミングアウトした時の想い、水商売に入ってから今まで。
父の本音を聞くことなくこれまで来てしまったから、インタビューの回答に僕まで聞き入ってしまうことになった。

大学教授という職の厳格な父が、僕の仕事の為に、よくわかっていないYouTubeというコンテンツに顔出しで出演してくれているその「行動」になんだか違和感を感じながらも嬉しいような恥ずかしいようななんとも言い表せれない気持ちになった。

子供のいない僕は、一生父と母の気持ちはわからないかもしれない。
それは寂しいとも思うけど、僕なりに家族と向き合って生きている。

与えられてばかりで僕は誰かに何かを与える存在になることが出来るのだろうか?
40歳を過ぎても尚、答えは出ない。

性同一性障害と共に生きたこの人生。


とにかく自分の事だけで一杯いっぱいだった。自分に起きている性別の違和感を受け止めることが出来なかった学生時代。思春期は周りの友達のような普通の恋愛が出来ず、一人だけ違う世界に取り残されたような絶望に近い深い孤独感を感じた。
当時の時代的背景、家族環境もありカミングアウトにも悩んで悩んでかなりの時間を要した。
身体を心に合わせて変える治療。子宮卵巣摘出、胸オペ、増えていく傷。目には見えないホルモン治療の副作用。
裁判所での名前の変更、戸籍の変更の手間。

普通なら生まれた時から合っているはずの心と体の性別を合わせることに長い時間がかかって、自分らしく生きれたといえたのは26歳の時に自分の店オナベバーVenusを開業してからの様に思う。

父が話したこと

それは、おさかな博士の父らしい表現で始まった。
魚界では、途中でメスからオスに、オスからメスに性別が変わる魚がいるらしい。だから、珍しい事じゃない。それほどに驚きは無かったらしい。
ただ、身体を変えるリスクがあることをとにかく心配したこと。
カミングアウト後、悩んでいた母にもう少し寄り添ってあげればよかったという後悔を語った。

そして僕がLGBTQ性同一性障害であることで一番悩んだエピソードが僕には少し意外なことだった。
それは、僕の将来とかではなく結婚を決めた時のお相手の家族のことだったという。

相手の家族のことを考えたら眠れぬほどに悩んだと。

自分の子供が性同一性障害であることは理解、付き合っていかないといけないと覚悟をしても、結婚相手はふつうの女の子であり僕と結婚する事で、子供の問題・世間体もプラスになる事を探すことの方が難しい。
大切な娘さんの相手が、元女であり性同一性障害であること。
それをお相手の家族にどう理解してもらうのか。相手の親御さんの気持ち...

そして父の悩みの中には僕が性同一性障害だから「否定」「反対」されてしまったらどれだけまた傷つくだろう、、、そんな心配も含まれているのかなとも感じた。

自分ばっかりではなく、受け入れる気持ち。
人の気持ちを考えること。

そんな周りの人の覚悟とか想いも知らずに僕は勝手ばかり。自分ばかりのこれまでだった。

後悔先に立たずだけど、大きく反省した。

今回父の想いを初めて聞いて、またひとつ父の大きさを知ることとなった。
同じことは出来そうにないけれど、その血が流れている事を忘れずに自分らしさを自分勝手にならぬよう、これからもこの人生を精一杯生き貫こうと思う。

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