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コーヒー25:コーヒーの飲み方(ヨーロッパ編)

おはようございます。
今日も朝の気温はさほど変わらないのになんとなく昨日よりは暖かい気がする。日中の気温もちょっと上がるみたいだから春らしさに期待したい。

さて、北中南米、アジア、中東、アフリカと巡り、昨日から最後のヨーロッパ。
昨日イタリアとフランスを見たので今日はこの他のヨーロッパ諸国のコーヒー事情を。

オーストリア

オーストリアの首都ウィーンの名を冠したウィンナーコーヒー(Weiner Coffee)という名前を聞いたことがある方も多いかもしれないが、我々日本人が想像するドリップコーヒーにホイップクリームを乗せるウィンナーコーヒーは、一時期日本の喫茶店メニューとして流行ったものの、スパゲッティナポリタンのように本国には存在しない飲み方であるとされている。
実際、オーストリアではエスプレッソがメインで、カプチーノの泡のかわりにホイップクリームを乗せる、という飲み方は昔からされていた。近年になってエスプレッソをドリップコーヒーに置き換えた方式も普及してきている。
ただし、名前はウィンナコーヒーではなく、Einspänner(アインシュペンナー、一頭立て馬車)といいます。これは業者が好んで飲んでいたことの由来するらしいが、ホイップクリームは甘くなくエスプレッソの苦味を口当たりまろやかなにして大人の味わい。生クリームに砂糖を多めに加えて乗せればデザート風にもなり、どちらの場合もクリームが時間の経過とともにゆっくりと溶け出してきてコーヒーと混ざり、その変化も楽しめる。
これとは別に、リキュールやブランデーなどお酒の芳醇な風味が添えられたアルコール入りのコーヒーも存在している(僕はお酒が飲めないので未体験)

アイルランド

アルコール入りコーヒーといえば、アイリッシュコーヒーだろう。コーヒーというかむしろカクテルに分類されている場合さえある。アイリッシュウイスキーをベースに、コーヒー・砂糖・生クリームをくわえて作られる。ウイスキーの芳醇な香りとコーヒーのコクがマッチした深い味わいに、砂糖と生クリームの程良い甘味が合わさった、とても飲みやすい。深い琥珀色のコーヒーの上に乗った白いクリームのコントラストある綺麗な見た目もアイリッシュコーヒーの魅力の一つ。
ついコーヒーとクリームを混ぜてしまいがちですが、コーヒーとクリームは混ぜずに飲むのが正しい飲み方。冷たいクリームに口をつけ甘味を楽しみながら、コーヒーの熱さやコク、アイリッシュウイスキーの芳醇な香りを感じていくもの。冷たさと温かさ、甘味とコーヒーのコク、対照的な風味を一度に楽しめるのもアイリッシュコーヒーならでは。それぞれが混ざり合っていく感覚を楽しんで欲しい。(僕は飲めないから、という恨み節笑)

スペイン

情熱の国スペインの南部レバンテ地方ではカフェ・ボンボンという苦味の強いエスプレッソと甘みの強いコンデンスミルクの組み合わせの飲み方が受け継がれている。アジア編で見てきた通り、我々日本人からするとコーヒーにコンデンスミルクを入れるのはベトナムの飲み方という認識だが、これは植民地時代の遺産なのかもしれない。ベトナムは、周辺のカンボジア、ラオスと共に「フランス領インドシナ連邦」を構成して植民地とされた。しかし、そもそもの発端は北から中国・清の侵略にも耐えて独立王朝を維持してその一部でカトリック信仰が広がっていたベトナムに対して、「カトリック宣教師団の保護」を名目にフランスがスペインとともに中部ダナンでベトナムへの攻撃を開始し占領していった1858年のコーチシナ戦争なのだ。そう、ここでスペインが噛んでいるのだ。この時にスペインよりもたらされたのか、はたまた甘いモノ好き達のクリエーションによるただの偶然なのか、知る由もないが、底にたまったコンデンスミルクとコーヒーを混ぜながら、その歴史に想いを馳せながらいただきたい一杯だ。

デンマーク

昨今、Hygge(ヒュッゲ)という言葉がもてはやされて久しいが、コーヒータイムにわざわざ名前をつけるほど文化に根付いているデンマーク。ヒュッゲとは「人と人とのふれあいから生まれる、温かな居心地のよい雰囲気」という意味で、日本語含めて他の国の言語では置き換えられないデンマークの個性を形成している言葉。(ちなみに同じ北欧のスウェーデンでも同様に甘いものを食べながらコーヒーを飲むことを指すフィーカという言葉がある。)

デンマークを含めた北欧では、コーヒーの主流は“浅煎り”の豆。多くの人がこの浅煎りのコーヒーを何も加えずに飲む。1日に何杯も飲むことから、すっきりとした味わいが好まれるのだろう。
コーヒーと一緒に、午前中であればヴィエンナブロ(いわゆるデニッシュペーストリー)、午後にはケーキ類を楽しむ。また、夜更けにコーヒーや紅茶を嗜む “aftenkaffe(アフトゥンカフ evening coffee)”と呼ばれる古風な習慣もある。夕食のデザートとはまた別に、菓子も供されるお茶の時間で、まさしく一日をしめくくるhyggeなひと時。
これだけスイーツ食べてて太らない上に陽が長い夏には23時に陽が沈むというのにカフェイン摂取までして余裕で寝られるのは彼らの体が大きいからなのか、これらの生活が大きくなることをサポートしたのか、こちらも興味深い。

フィンランド

デンマークと同じく、国民一人あたりのコーヒー消費量で世界をリードする北欧・フィンランド。その中東部に位置するカイヌという街では、角切りチーズを入れたカップにコーヒーを注ぐ「チーズコーヒー」が伝統の飲み方として伝わってる。浅煎り豆を使った酸味の強いコーヒーとチーズの相性は良いようで、コーヒーを飲み終えた後にチーズをすくって食べるのが一般的。
個人的にちょうど去年のクリスマスパーティー用に買ったチーズが余ったけど一人暮らしで消化しきれなかったのでスープに細切れにして入れるようにしたら美味しかったのを思い出す。それでもコーヒーにわざわざ入れたいとは微塵も思わないけれど、しょっぱい系に持っていく感じを見ると中東系と楽しみ方が近いのがまた面白い。

ロシア

あまりコーヒーが飲まれているような印象がないロシアだが、実はコーヒーの年間消費量は日本に次いで第5位(2014年時点)。人口比で考えても、かなりメジャーな飲み物であることがわかる。
ロシア流の飲み方は、ドリップコーヒーにココアとミルクを加えたカフェモカのような形式がもっとも有名だが、さらにここに卵黄やウォッカなどを加えることもある。ミルクやココアのコクとウォッカの刺激を卵黄が包み込む、かなり濃厚な飲み物。ロシアの厳しい寒さの中では、これ位しないと乗り越えられないのかもしれない。また、地域によっては砂糖だけを加えたコーヒーにスライスしたフルーツを乗せるところもある。
ロシアンティーでも、紅茶にジャムを添えて(日本では混ぜるイメージだけどスイーツの代わりに別に)飲んだりもするが、こちらもブランデーでジャムを解いたりする様なので、ロシア人と一杯やるには肝臓が強くないと保たなそうだ。

*上記の情報は以下のリンクからまとめています。

各地で独自の飲み方があるものだと思うが、世界中で最も非常識な飲み方はおそらく日本のアイスコーヒーだろう。今でこそスターバックスが世界中にできて、フラペチーノやアイス・ラテという概念が広がったけれど、まだヨーロッパの国々ではあくまで「アメリカの飲み物」的な扱い(日本人から見たカリフォルニアロールみたいなもの、多分)で、歴史ある喫茶店ではクラシックスタイルを貫いているのが常だ(アフォガードやシェケラートの様にお茶ではないスタイルで楽しむものはあれど)。
20年前にイギリス、フランス、ドイツを巡った時にアイスコーヒーをオーダーしても「そんなもんない」と言われ、ホットコーヒーと氷の入れたグラスを貰って飲んでいたら、各国で「泥水を飲んでるのか」と言わんばかりの冷ややかな視線を送られたことを今でも忘れない。
自分の当たり前は誰かの非常識であることを常に理解しないといけないし、それはお互い様で場合によっては「郷に入っては郷に従う」ことも大切だと痛感した。
自分と他者の違いを受け入れて、一人ひとりが最大限に幸せになれる様にお茶でも飲みたいものですね。


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。


皆様も、良い週末を。


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