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魂のこよみ

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Anthroposophischer Seelenkalenderは,ドイツの神秘思想家ルドルフ・シュタイナー(Steiner, Rudolf)が1912年に発表した詩篇形式のカ…
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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】6月第4週/夏至

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】6月第4週/夏至

私の中の太陽よ

闇の支配する夜も
分厚い雲の奥で
白く燃え続けた 熱い光よ

この世界の 眩い輝きは
紛れもなく 
お前そのもの

雲はいつしか消え去り
あんなに憧れた 高い空で
私は世界の懐に
安心して全身を委ねる

もう大丈夫 怖いものはない
ただ ひたすら 
光の中で

※Rudolf Steiner,
Anthroposophischer Seelenkalender:52 Wochen

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】6月第3週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】6月第3週

「世界は美しい」

太陽の白い光に 照らされて
事物は それぞれの輝度を増す

番を待ち兼ね こぼれだす花びら
領分を越え 縦横に繁茂する草木

光に貫かれた生命の渦巻きに
思わず引き込まれ

その美しさに心動く時

私は 消えてなくなる

光は私をも貫いて
世界と私は 等しく輝くから ああ

「私も美しい」

※Rudolf Steiner,
Anthroposophischer Seelenk

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】6月第1週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】6月第1週

木の葉を透き通してくる
白い光のシャワーに
境界が溶けていくようだ

眩しさに
2秒も目を開けていられない

風に揺れる花も
道端に落ちた松ぼっくりも
赤く佇む郵便ポストも
すれ違う犬も
私も

目を細め 
初夏の熱に 温められて
うっとりと 溶けていく

光のシーツに飛び込んで
白い温もりに ほおずり

全身を包まれて 満たされていく
今は ただ

※Rudolf Steiner,
Anthro

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第4週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第4週

草木が萌える

下から湧き上がる 無限の奔流
むせ返るような 生命の匂い

輝く緑と一緒になって昇り
真っ白な光に 身を委ねる

この瞬間
あらゆる疑いが消え去る

無我 夢中

白い光の中で

※Rudolf Steiner,
Anthroposophischer Seelenkalender:52 Wochensprüche
Rudolf Steiner Verlag, Dornach(Sch

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第3週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第3週

天を駆け上がり
太陽に近づきすぎたイカロスは

たしかに恐れ知らずで 
傲慢だったかもしれない

でも
太陽があんなに輝いていたら
背中に大きな翼があったら

誰だって
飛んでいきたくなる

羽ばたきの音
フワッと軽く どこまでも舞い上がる

温かく 熱く 上気する頬
目が眩む 真っ白な恍惚

──ああ,予感よ。

遥か先を見通して
向こうみずな私の手をとり 導いてほしい

切なくも大胆なる
やむ

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第2週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第2週

地の割れ目から
あふれんばかりに咲く野の花に
奇妙に惹かれることがある

どうしてそんなに無邪気に
自分の色はこれだと 主張できるんだろう

世界が外へとほころび出して
生き生きと 笑み 広がるとき

それは無時間の中では実現しない
鮮やかな生の横溢

無力であるのに 何より力強い
確固とした生の湧出

花と咲き広がる 世界の脈動が
私の心臓と リズミカルに 響き合う

※Rudolf Stein

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第1週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第1週

皮膚を透き通す 確かな光に誘われて
今 明るみに出ていく

人知れぬ 胸の中で
私だけが愛して
大事に 温めていたものたちが

てらいなく  
惜しみなく
とめどなく

でも,私にもわからなかった

こんなに温かな色が
私の中にあったなんて

こんなにたくさんの蕾が
世界に開いていくなんて

※Rudolf Steiner,
Anthroposophischer Seelenkalender:52

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】4月第4週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】4月第4週

光の洪水!
木々の緑はいっそう輝いて,
私の細胞の隅々までを 透明にする。

渇いていたんだろうか。
いくらでもいい,染み込むままに

思わず目を閉じても 瞼を透き通す
光は 明るく 温かく 

まどろんでいた感覚が
柔らかく伸びをして 上へ横へと広がり

やっと 思い出させる
私と世界とがひとつであったことを。

※Rudolf Steiner,
Anthroposophischer Seele

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】4月第3週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】4月第3週

新緑の眩さに,私は目を細める。

胸に手を当てると,
いつもよりも早いような心臓の鼓動に
上へ上へと伸びゆこうとする,迸る力を感じる。

ああ,輝きだす世界よ。
私は 私の大地から高く高く離れて,
あなたの中に飛び込みたい。
逞しい生命の息吹に抱かれて,
どこまでも広くを見渡したい。

懐の深い大地は,
静かに根を広げさせ,豊かな力を注ぎ続けてくれるから,
だから 私は
安心してそんなことが言える

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】3月第4週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】3月第4週

今、はじめて燃え上がる。
心の中の熱い炎が。

くすぶっていた黒い塊に
生命の火が宿る。

これまで懸命に組んできた薪に
正しく炎が上がる。

大きすぎも小さすぎもせず
燃え広がることも消えることもなく
ただ正しく。

私をまっすぐ見つめる瞳に応えるとき、
思わず両手が動いて抱きしめているとき、
私は私にふさわしい力で世界を温めるのだ。

※Rudolf Steiner,
Anthroposoph

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】1月第2週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】1月第2週

第41週 

魂の創造力は、
心の奥底から欲する。
神々の力が 人間の生において
自らを正しく燃え上がらせてくれるように。
それが人間の愛と行いにおいて
自ずと形作られていくように。

ルドルフ・シュタイナー
(訳:yuka ogiso)

今、はじめて燃え上がる。
心の中の熱い炎が。

くすぶっていた黒い塊に
生命の火が宿る。

これまで懸命に組んできた薪に
正しく炎が上がる。

大きすぎも小さ

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】1月第1週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】1月第1週

第40週 

そして私はいま 精神の深みにいる。
私の魂の奥底の
心からの愛の世界で
ひとりよがりの空虚な幻想が
世界の言葉の焔で満たされていく。

ルドルフ・シュタイナー
(訳:yuka ogiso)

大地の懐は 静かで温かい。
その腕に優しく包まれ、
久しぶりの安堵のなか 目を閉じる。

全身の力みが抜けて
深い底へと落ちていくようだ。

柔らかな温もりが
身体中に浸透し、
渇いた細胞のひと

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】12月第5週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】12月第5週

第39週 

精神の啓示に身を委ねて 
私は 世界の本質の光を受け取る。
思考の力が、
清く澄みわたって伸びゆき、
私に私自身を与える。
そうして 私を目覚めさせ、
思考の影響から 自己感が巣立っていく。

ルドルフ・シュタイナー
(訳:yuka ogiso)

自分をたくさん可愛がってきたつもりだけれど
枝ぶりはどこか自信なさげで
葉っぱもなんとなく貧弱に思えてしまう。

だからもっと水を
だか

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】12月第4週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】12月第4週

第38週 聖夜の調べ

魔法を解かれたように 私はふと感じる。
魂の胎内に 精神の子がいるのを。
輝く心において
聖なる世界の言葉が
天の希望の果実を生み出したのだ。 
神的土壌なる私の本質から
世界の彼方へと 
果実は 嬉々として伸びてゆく。

ルドルフ・シュタイナー
(訳:yuka ogiso)

胎内に宿った 小さないのち。

私を通して
天の意志が 確かな形となったのだ。

その愛おしい手

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