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<ラグビー><ラグビー>2023シーズン、インターナショナルラグビー関連等(8月第四週)その1

注:今週はかなり長いので二つに分けて投稿しました。

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 8月24日は、ラグビーの日だそうだ。なんでも1823年8月24日にラグビー校のウィリアム・ウェッブ・エリスが、「フットボールの試合中に興奮して、禁じられていたボールを持って走ってしまった」という日なのだそうだ。一応「諸説あり」ということをカッコで付けているが、これは文字通りの「伝説」でしかないことは、今は定説になっている。

 詳細を繰り返すことはしないが、19世紀初頭大英帝国の、成金子弟を海外植民地経営に送り出すことも目的としたパブリックスクールでは(注:大英帝国のパブリックスクールやフランスのリセなどの発祥については、『子供の誕生』という有名な歴史研究書があり、この書評を参照願いたい)

、学校ごとに独自のルールで原始フットボール(現在のサッカーとは人数もルールもまったく異なるボールゲーム)をしていた。

 その中で、サッカーが先に統一ルールの全国協会を作ったことに対抗して、後発のラグビーが全国協会を作る過程で、エリスの物語を探し、脚色したのが真相だ。なお、このためイングランド協会は、単に「ラグビー協会(ラグビーフットボール・ユニオン)」という名称になっていて、イングランドという地名はない。

 こうしたもろもろや、ラグビーの歴史に関する記事を沢山書いてきたので、ご参考までリンクを付けます。


1.テストマッチの結果

8月20日

ジョージア22-7アメリカ

 実力通りだが、ジョージアがやや手抜きしたような印象。前半は12-7でジョージアがリードし、後半も追加点を挙げて完勝した。両チームともにシンビンを一人ずつ出している。

8月25日

オールブラックス7-35南アフリカ・スプリングボクス

 南アフリカのジャック・ニーナバー監督は、先週久々に復帰したキャプテン兼FLシヤ・コリシを休養させずに先発させ、13番CTBは、怪我のルッカンヨ・アームに代わり、先週WTBで活躍したケイナン・ムーディーを移動させた。FBはウィリー・ルルーとダミアン・ウィルムゼでローテーションしたが、SOは引き続きマニー・リーボックが先発する。前戦から先発8人が交代しているが、総じてベストメンバーを揃えた感が強い。なお、試合前に23番FBウィリー・ルルーからFLクワッガ・スミスに交代したため、BKのリザーブはSHコブス・ライナッハ1人のみとなった。

 オールブラックス監督のイアン・フォスターは、2015年RWC準決勝以来となるスプリングボクスとのトウィッケナムでの対戦に際して、ほぼベストのメンバーを揃えた。怪我のLOブロディー・レタリックとFLシャノン・フリッゼルは欠場するが、LOにはサムエル・ホワイトロックとスコット・バレットを先発させ、リザーブには19番にジョシュ・ロード、20番にツポウ・ヴァアイを入れた。6番FLはルーク・ジェイコブソンを先発させ、21番にダルトン・パパリイを入れた。

 また、HOはダン・コールズが先発し、16番にはサミソニ・タウケイアホが入り、コーディ・テイラーがメンバー外となった。BKは、9番から15番は最近不動のメンバーが先発し、22番SHのリザーブにキャメロン・ロイガードを入れ、23番にはアントン・リエナートブラウンを入れた。この結果、リザーブはFW6人+BK2人となり、フォスター監督曰く「フィジカルバトル」に対応するものとなっている。怪我で欠く二人が入れば、間違いなくベストメンバーになる陣容で、たんなるフレンドリーマッチの扱いではないことがわかる。

 オールブラックスは、キックオフ早々のスクラムで反則を取られた後、スプリングボクスにゴール前で何度もモールを組まれて攻められる。その後数回にわたりトライを阻止するが、反則を繰り返すことが多く、13分に5番LOスコット・バレットが、続く14分に7番FLサム・ケーンがそれぞれシンビンになり、13人で戦うことになってしまう。

 そして17分に、スプリングボクス6番FLシヤ・コリシにトライをされた後、20分にPGのチャンスを得るがS0リッチー・モウンガが外してしまうという、悪い展開をオールブラックスは続ける。その流れが影響したのか、33分、12番CTBジョルディ・バレットのオフロードパスをスプリングボクス13番CTBケイナン・ムーディーがインターセプトしたトライを挙げて、0-14に引き離される。

 さらに38分、オールブラックスは、スコット・バレットが危険なラックでの排除で2枚目のシンビンになり、自動的にレッドカードになってしまった。それでも、42分に14番WTBウィル・ジョーダンがインゴールに入り、トライで追い上げたかに見えたが、その前のラックで11番WTBマーク・テレアのノッコンが確認されてノートライ。前半を0-14で終えるという苦しい展開になった。

 後半に入りオールブラックスは、数人の選手を入れ替え、またキックオフをテレアに合わせるなど対応を試みるが、41分、スプリングボクスがゴール前のモールのサインプレーでHOマルコム・マスクスがトライして、0-21に引き離される。51分に、スプリングボクス7番FLピータースティフ・デュトイがシンビンになり、オールブラックスの数的不利は一時的に解消されるが、逆に58分、モールからトライをされて、0-28となってしまう。この時間帯でこの点差は勝負を決めるものとなった。

 さらに66分、スプリングボクスがトライを重ねて、オールブラックスとしては非常に珍しい0-35と大量リードされる状況になる。その後オールブラックスは、SHをアーロン・スミスから22番キャメロン・ロイガードに交代させたことが功を奏して、ロイガードが、新人とは思えない優れた個人技で4人のディフェンスを交わして、70分に初トライを挙げたが、これがこの日としては精一杯の反撃となってしまった。

 スプリングボクスでは、経験値の低いSOマニー・リーボックが、この日のゴールキックを全て決めるなど想定外の好調さを発揮し、またFW及びBKとも、今シーズン最高のプレーを見せた。また、前半はキックを使わずにセットプレーからのFW戦を支配した一方、後半に入るとキックを使うなど、RWCに向けた戦術を試すこともしている。スプリングボクスとしては手放しで喜ぶ試合内容及び結果となった。

 負けたオールブラックスは、セットプレー、ハンドリングが非常に悪い上に、不要な反則を繰り返したことが最大の敗因となった。また、前半の終わりと後半の終わりにそれぞれアタックのチャンスがあった他は、80分間にわたり防戦一方の戦いとなってしまったことは、いかにスプリングボクスに圧倒されていたことを証明していた。

 オールブラックスのFWはスプリングボクスに圧倒されて、起点から良いボールが出せなかったこともあり、トライゲッターである切り札的存在のWTBウィル・ジョーダンが見せ場を作る場面は少なかった。また、一方のWTBのテレアが、ディフェンスに難があったが一方でアタックで精力的なプレーを見せた他、交代SHのロイガードは、非常に優れた個人技でトライを取り切ったことが、オールブラックスがこの試合で得た、数少ないポジティブなものとなった。

 オールブラックスは、28点差で負けるという歴代最悪記録を作る惨状となったが、これまでの最悪記録は、2019年ワラビーズ戦の47-26と1999年ワラビーズ戦の28-7の21点差で、これに次ぐのが、1928年スプリグボクス戦の17-0、2012年イングランド戦の38-21、2022年スプリングボクス戦の26-10、1980年のワラビーズ戦の26-10となっている。

(追記1)

 試合後のイアン・フォスター監督のコメントによれば、オールブラックスの右PRタイレル・ローマックスは、脛を切る怪我で前半13分に退場した。未確認だが、鋭いプラスティック状のもので切ったと見られている。またFBボーデン・バレットも同じような怪我をしている。ローマックスがRWCに出場可能か否かは現時点では不明だが、この「プラスティックプレート問題」は、今後大きくなるかも知れない。(まったくの憶測だが、南アフリカ選手の足首にプラスティック状のものが巻かれているのがTVで見えた。)

(私見)
 女子サッカーワールドカップで優勝したスペインの戦略は素晴らしかった。それが最も発揮されたのは、勝っても負けても決勝トーナメント行きが既に決まっていた、プールマッチ最終の日本戦だろう。ここでスペインは想定外の0-4と惨敗したが、その後の決勝トーナメントでは、スイス、オランダ相手に勝ち進んだ。スペインに勝って波に乗る日本は、ノルウェーには勝ったが準々決勝のスウェーデンには負けてしまう。一方のスペインは、日本戦で十分にスカウティングできたスウェーデンを準決勝で破り、そのままの勢いで決勝のイングランドに勝って優勝した。

 今回のオールブラックスは、ザ・ラグビーチャンピオンシップでスプリングボクスに完勝し、ワラビーズに連勝する好調さを見せていたが、その後チームはいったん調子をわざと落としている。そして、先週イングランドに入って、今週のスプリングボクス戦を迎えた。つまり、チームのピークをこれから上げていく準備となる試合(普通、練習試合の扱いになる・・・)が、今回のスプリングボクス戦となったのは、オールブラックスにとって厳しいものがあった。

 また、仮にRWC初戦のフランスに負けたとしても、決勝トーナメントに行くことは難しくないので、チームのピークをこのスプリングボクス戦に合わせる必要は全くなかった。そして、決勝トーナメントでスプリングボクスと再戦する可能性があることから、この試合で勝つための戦術を全てさらけだすことは、できるだけ避けたかった。

 だからオールブラックスとしては、この試合ではサインプレーを隠したのは当然な上に、80分を通じて、スプリングボクスのラッシュアップディフェンスに対するためのキックを多用しなかった。もちろん、レッドカードの影響からセットプレーで負けたのは想定外だっただろうが、スプリングボクスのディフェンスは既に経験済みだから、対応策は練っているはずだが、この試合では敢えて出さなかった。

 また、(スーパーラグビーの対戦がない南アフリカ勢にとって不慣れな選手である)マーク・テレアとキャメロン・ロイガードが、ポイント周辺でスプリングボクスの速いディフェンスとすれ違うようにしてたびたびゲインしていたことは、オールブラックスが、スプリングボクスのディフェンスの弱点を、この試合で確認できていた証拠になっている。これにキックを加えることで、相手のディフェンスの足を止めることができれば、オールブラックスのアタックはかなり通用する。また、こうしたすれ違いのアタックが得意なダミアン・マッケンジーが、隠し玉として残っていることもオールブラックスには有利になる。

 一方のスプリングボクスは、ザ・ラグビーチャンピオンシップの敗戦により士気が落ちたチームにとって、この試合でオールブラックスに勝利することがとても重要だった。また、オールブラックスより先にイングランドに入り、ウェールズとゲームをしていたアドバンテージは大きかった。またこの試合は明らかに、ここ数年のスプリングボクスで最高の試合をした(SOリーボックのゴールキック100%成功など、かなり異例だと思う)が、これは今チームがピークにあることになる(これ以上の良いプレーができるスプリングボクスは想像できない)から、これからRWCに向けてチームは下降していくだろう。良い前例がある。オールブラックスは、今のスプリングボクスのようなRWCに向けた準備(ピークを早く持っていく)をして、二度失敗している(2003年、2007年)。

 オールブラックスは、2015年のように他チームとの実力差が大きければ、優勝候補NO.1としてRWCに臨むことがデメリットにならないが、今のオールブラックスとスプリングボクス、ワラビーズ、アイルランド、フランスとの実力差は小さいため、ちょっとしたことで点差がひらき、勝負が決まる状況になっている。そのため、オールブラックスとしては、優勝候補というプレッシャーをできるだけ避けてRWCに臨みたい。そうでなくても、「常勝チーム」という看板はかなり重いものがある。そのため、今回負けたことで、優勝候補という重いプレッシャーを、スプリングボクスに背負ってもらうことになったのは、むしろ幸いだったと言える。

 オールブラックスとしては、世間が「オールブラックスはかなり弱い」、「スプリングボクスは優勝候補に間違いない」と騒いでいてくれる方が、よほど自分たちのプレーをしやすい環境になる。

8月26日

チリ26-28アルゼンチンXV

 詳細は不明だが、日本もアルゼンチンのセカンドチーム相手に大勝はできないだろうから、チリの実力はかなりあると見てよいと思う。RWCの初戦で当たるので、楽勝と思わない方が良い。

イタリア42-21日本


 
 日本は、出場停止処分が解除されたマイケル・リーチが6番FLで先発、7番FLには福井翔太を入れた。追加招集となったサウマキ・アナマキが19番LOのリザーブに入り、手薄となったLOは、4番にジャック・コーネルセン、5番にヘル・ウヴェが先発する。

 イタリアは、切り札アンジュ・カプオッツォを14番WTBにし、FBはトンマーゾ・アランが入り、ゴールキッカーを担当する。リザーブは、FW6人+BK2人にした。

 ホームのイタリアは、SOパオロ・ガルビージがポイントからのチャンネル2を大きくゲインした後、サポートしたSHステファン・バーニーが先制トライ。その後日本は、15分にモールから11番WTBジョネ・ナイカブラがトライを返すが、イージーなコンバージョンをSO李承信が外してしまい、流れを取り戻せない。20分、大きくゲインしたイタリア14番WTBアンジュ・カプオッツォの、ゴール前右タッチライン際からの絶妙なキックパスを取って、11番WTBモンティー・イオアネがトライして、イタリアは14-5と引き離す。

 日本は、30分のイージーなPGをまたもや李は外してしまうが、32分のPGをどうにか決めて14-8とイタリアに迫る。その後35分と41分にPGを応酬して、前半を17-11とイタリアがリードして終わる。日本のゴールキックの悪さが目立つ展開になっている。

 後半に入り、44分のPGでイタリアが20-11とした後、51分に日本のパスミスが逆に相手ディフェンスを乱して、FB松島幸太朗がトライ。しかし、李と交代した22番SO松田力也もコンバージョンが決まらず、20-16にしかならない。もしも2本のコンバージョンが決まっていれば、20-20の同点だっただけに、非常に悔やまれるゴールキックの悪さとなった。

 55分、イタリアはまたもや14番WTBカプオッッオの快走から、11番WTBイオアネが二つ目のトライを取ると、64分にFBトンマーゾ・アランがPGを決めて28-16と12点差に拡げた。70分に日本は、ラックからの速いアタックで13番CTBディラン・ライリーがトライするが、松田のコンバージョンは決まらず、得点で競ることができない。そうしているうちに、76分にイタリアは、日本のキックパスを取ったカウンターから11番WTBイオアネがハットトリックのトライを挙げ、79分には日本のロングパスをインターセプトした22番SHマルティン・パジェレオがトライして、最後は42-21までスコアを拡げた。

 日本は出場停止処分から復帰し、この試合は目立つヘッドキャップを被った6番FLマイケル・リーチ、そしてこの試合でジャッカルを連発した7番FL福井翔太の二人のFWが奮闘したが、肝心のところでのラインアウトのミス、そしてブレイクダウンでの劣勢が出てしまい、トライをなかなか取れなかった。さらにゴールキックの連続したミスは、得点でプレッシャーを与えることに失敗した最大の原因になってしまった。

 また日本は、マシレワとナイカブラの両WTBが目立っていたが、サンウルヴズのときは、マシレワが目立つ試合はサンウルヴズが負けている試合だったのと同様に、テストマッチでもマシレワが目立つ試合は、日本に勝てるチャンスがない内容になっていた。たぶん、マシレワのプレーはチームプレーというよりも、個人プレーに良いものがあるのだと思う。

 勝ったイタリアは、イオアネとカプオッッオの両WTBが活躍したが、これはFWの安定したプレーが起点になっており(つまりチームとしての計算したプレー)、日本の個人プレーの連続とは雲泥の差があった。一方でイタリアも、プレーのミスがかなりあったので、ここを得点に結びつけられなかった日本は、実力不足だったと言うしかない(ティア1チームなら、このイタリアのミスをことごとく得点に結びつけて、勝利する)。

 ところで、この試合はNHKを録画して見たのだが、アナウンサーはイタリアの選手名がわかっていない(最初のトライで、起点から抜け出したガルビージをアナウンスできていない)のは仕方ないとしても、アドバンテージのルール適用を知らず(後半修正していたが)、さらにレフェリーがマイクを調整していることもわかっていなかった(何かよくわからないアナウンスをしていた)。もし英語が多少ともわかれば、レフェリーのマイクから入る音声で、ゲームの進行や反則の内容がわかるのだが、これも解説者とともにほとんど聞いていないようだった。

 つまり、ラグビー中継の経験がないということがすぐにわかるアナウンスだった(ちなみに某衛星放送のアナウンサーと解説者は、日頃からラグビーを専門にやっているので、さすがに参考になる放送をしていることを、改めて認識した次第)。なお、NHKの解説者は日本ラグビー界で大スターだった選手だが、残念ながら、未熟なアナウンサーをカバーできるほどの解説にはなっていなかった。さすがに、ゴールキックのミスは専門家らしいコメントをしていたが。余計なお世話だが、こんなTV中継だと、ワールドカップでラグビーファンを増やすことは難しいだろうなと心配してしまう(もっとも、2019年もこれと同じだったのだから、ファンが増えたのは意外というしかない?)。

イングランド22-30フィジー

 イングランドは、WTBアンソニー・ワトソンが怪我をしてRWCスコッドから外れ、追加招集されたジョニー・メイが11番WTBで先発する。また、WTBエリオット・デイリーとヘンリー・アルンデルも怪我が心配されており、ジョー・ゾカナシガが追加招集される可能性が高い。さらに、FLトム・カリーも怪我でRWC出場が心配されている。キャプテンを担う6番FLコートニー・ロウズが100キャップを達成する。SOジョージ・フォードと1番PRエリス・ジェンジがバイスキャプテンとしてチームを支える。

 フィジーは先発7人を交代させた。12番CTBセミ・ラドラドラから13番CTBワイセア・ナヤカレヴにキャプテンが交代している。

 フィジーがイングランド相手の歴史的な初勝利を、しかも敵地トウィッケナムで挙げた。前半は、8-3とイングランドがリードしたが、後半に入り、フィジーが2トライ及び1PGで、56分までに8-20と逆転してリードを拡げる。その後は両チームが交互に得点し、69分のイングランドのトライで、フィジーは22-23の1点差まで迫られたが、71分の、21番SHシモーネ・クルヴォリの値千金のトライで、素晴らしい勝利を確定した。

 負けたイングランドは、RWCに向けてレッドカードによる出場停止、怪我による選手の脱落に加え、チームの大不振という状態に陥っている。この調子であれば、アルゼンチンにはとても勝てるとは思えず、またサモアにも負ける可能性が出てきた。また、好調とは言えない日本相手にも不安を抱える状況になっている。これは、2015年RWC地元開催時の悪夢となった、ベスト8入りを逃すことが再現される恐れが強くなっていると言えよう。

 勝ったフィジーは、日本相手に素晴らしいゲームをしていたが、それがイングランド相手にも十分通用することを証明し、ティア1チームに十分勝つ実力を持っている。RWCでは、ウェールズやオーストラリアとの対戦がとても楽しみで、どちらかに勝つのではないか。また、エースのラドラドラがかつてのジョナ・ロム―のような素晴らしいプレーを連発しており、RWCで大ブレイクする予感がある。

スコットランド33-6ジョージア

 スコットランドは、怪我が心配されたSHベン・ホワイトが先発に戻った。

 前半はジョージアがPGを刻んで、0-6とリードするが、後半はスコットランドが5連続トライを挙げて圧勝した。11番WTBDドゥーハン・ファンデルメルヴァが2トライを挙げる活躍をした。

アイルランド17-13サモア

 アイルランドは、先発12人を交代させた。4番LOイアイン・ヘンダーソンが74人目のキャプテンを担う。SOはジャック・クラウリーが先発し、ロス・バインは22番のリザーブに下がった。

 サモアはSOリマ・ソポアガ、NO.8スティーヴン・ルアトゥアの元オールブラックスの2人が先発し、22番SOに元ワラビーズのクリスチャン・リアリイファノが入った他、多くのスーパーラグビーで活躍した選手が入っている。

 前半はトライを取り合い、7-10とサモアがリードする。後半はアイルランドが2トライを連取して、接戦を勝ち抜いた。アイルランドは勝ったことが一番の収穫である一方、世界ランキング1位に対して惜敗したサモアは、かなり自信を深めたのではないか。

スペイン3-62アルゼンチン

 アルゼンチンが、スペインを1PGに抑えた一方、9トライを重ねて圧勝した。実力及び格からは、これぐらいの点差となってもおかしくない。一方、惨敗のスペインは、日本とも良い試合をするレベルなので、スペインを参考にすれば、日本はアルゼンチンに歯が立たないことが容易に予想される。

フランス41-17オーストラリア

 フランスは、先発10人を交代させ、ほぼベストメンバーとなっている。RWC開幕のオールブラックス戦もこのメンバーになる可能性が高い。キャプテンは、9番SHアントワーヌ・デュポンに戻し、SOはマチュウ・ジャリベールが先発、23番の控えにメルヴィン・ジャミネが入った。リザーブはFW6人、BK2人となり、22番SHにバプティスト・クイルーが入っている。

 オーストラリアは、先発6人を交代させた。SOの先発は引き続きカーター・ゴードンを起用し、5番LOウィル・スケルトンがキャプテンを担う。リザーブはFW6人+BK2人となり、22番に初キャップのSHアイザック・ファインズレレイアサ、23番SOにベン・ドナルドソンが入っている。

 フランスが80分を通してオーストラリアを圧倒した。前半は1トライずつを取り合ったが、3PGを重ねて16-5とリードする。後半も、オーストラリアを2トライに抑えた一方、3トライと2PGを重ねて大勝した。

 勝ったフランスは、SOヌタマック不在を心配させないプレーぶりで、RWC地元開催に向けて下馬評を再び高めた一方、今シーズン5連敗となったオーストラリアは益々苦境に陥っている。名将と言われるエディー・ジョーンズが、いかにここから挽回できるかが注目される。


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