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芸術一般

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芸術について、なんでも書きます。はじめはヨーロッパ絵画をかなり題材にしていましたが、現在は映画評論・芸術論・文学論などが多くなっています。
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#シュールレアリスム

<書評・芸術一般>『Duchamp love and death, even(デュシャン 愛と死、さえも)』

<書評・芸術一般>『Duchamp love and death, even(デュシャン 愛と死、さえも)』

『Duchamp love and death, even(デュシャン 愛と死、さえも)』 Juan Antonio Ramirez ファン・アントニオ・ラミレス著 1998年 Reaktion Book Ltd. London 原著は1993年にスペイン語で発行され、1998年に英訳が発行された。

 20世紀を代表する芸術家マルセル・デュシャンの研究書。Henri Robert Marcel

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<書評>瀧口修造『余白に書く』

<書評>瀧口修造『余白に書く』

(前口上として)
 今朝「現代詩読本 瀧口修造」を投稿したとき、私は、現代詩とか、シュールレアリスムとか、瀧口修造とか、そんなことを書いても、noteの読者で関心持つ人は皆無だろうなと思っていた。なにしろ、今の最大公約数としての読者層には、ファンタジーとか、高校生の恋愛ドラマとか、警察・弁護士・医者絡みのミステリーとか、そんなものしか関心を呼ばないと思っていたから、「どうせ誰も読まないだろうな」と

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<書評>『現代詩読本 瀧口修造』

<書評>『現代詩読本 瀧口修造』

『現代詩読本 瀧口修造』 1980年 思潮社 渋沢孝輔、大岡信、岡田隆彦他。

 私の瀧口修造との縁は、美術評論から入った。その後、瀧口自身が芸術作品を作っていることを知り、最後に詩に行き着いた。瀧口自身の実人生の時間とは、正反対の流れで鑑賞したことになる。

 そして、特に意識していなかったというか、瀧口修造とは現代芸術の偉大な理解者だと思っていたので、その一部としてシュールレアリスムがあっても

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<書評>『白と黒の断想』

<書評>『白と黒の断想』

瀧口修造著 2011年 幻戯書房

 日本のシュールレリストの第一人者である瀧口修造が、評論家として、20世紀に活躍した写真家を中心に、ピカソやダリなどの著名な芸術作品も含めて、個々の作品とその短評(解説)をまとめたもの。そして、ところどころに瀧口が作った、それぞれの作家をモチーフにした、シュールレアリスムのイメージあふれる詩編が散りばめられている。

 書名となった「白と黒」とは、全ての写真や美

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<芸術一般>第5回オマージュ瀧口修造展(1985年7月23日、銀座佐谷画廊)

<芸術一般>第5回オマージュ瀧口修造展(1985年7月23日、銀座佐谷画廊)

(これは佐谷画廊の瀧口修造展を見たときの感想です。当時、就職して3年が経ち、学生時代にはまっていたシュールレアリズムなどの芸術論の世界に、つかの間戻れたことの感想です。これを、定年退職した今、「美しくない」箇所を加筆・修正するとともに、ニーチェのピッタリな言葉が見つかったので、巻頭に掲示します。)

「人生を遊戯のごとく見えさせ、われわれをありきたりの宿命から遠ざけてくれる芸術」
  F.W.ニー

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