見出し画像

21世紀の衝撃〜野菜を使った魔法のガトー・オ・ショコラ

クリエイション欲が爆発した、昨日のこと。
久しぶりに私は、お菓子を作ることにした。


noteでは、「超甘党のOtto氏に捧ぐ、『じょり家のおやつ』」として、作ったスイーツたちをマガジンにまとめているのだが、記事数はnoteを始めて2ヶ月で12本。平均月6本で、タイミングも分散しているので、最低でも週1はお菓子を作っていることになる。


だがしかし、ここ2週間ほど、お菓子作りをしていなかった。

本来の飲兵衛×塩党の血が騒ぎ、酒処系女将にシフトしがちだったという理由もあるのだが、一番の理由は、ヘルシーブームの波がきたOtto氏を慮っていたからだ。

我が家におとずれる、定期的なヘルシーブーム

うちのOtto氏(フランス人、身長180cm、体型ゴツめ)は、私よりもよっぽど乙女っぽいし、ビューティー意識が高い。

まず、早寝早起き。常に3種類くらいのサプリメントを飲んでいるし、1駅分は往復でいつも歩き、さらには歩数をちゃんと測って記録。

香水を付けないで外出するなんて、素っ裸で外を歩くようなものだ

よくこのように仰せられ、香水をシュッシュッシュ。

スキンケアはフランス本家のクラランス。同社のメソッドらしいパッティングまでばっちりだし、さらには月1〜2のボディメンテナンスも欠かさない。

ちなみに、空気を読める読者の方々は、すでに察していただいている気がするが、私はその点、もれなくどれもズボラ…。。


そんなOtto氏。1日中デスクワークのせいか、最近背中がどうも痛いと、新しくみつけたオステオパシー(整体っぽいやつ?)の先生に先週末みていただいた。「とてもプロフェッショナルで、マジで効いたからまた予約いれることにする!」と喜んで帰ってきた。

施術後、日々のストレッチや食事についてもアドバイスを受けたらしく、目をきらきらさせながら、プロからのアドバイスを教えてくれる。まるで、ためしてガッテンかおもいッきりテレビを観た後のマダムをみているかのようだ。

氏によると、食に関しては、繊維系の野菜とフルーツが今の生活では足りないと。いやいや、野菜を食べないのはあなたでしょう!といいたいところだが。

ああこれは、定期的に訪れる健康ブーム期の到来だなと、はいはい言いながら最初は右から左へ受け流していた。でも、言われてみればたしかに私、フルーツを買ってきてもそのまま食べるのではなく、タルトだのケーキだのにしていたなあと。

ちょっと反省したので、最近の買い出しでは繊維豊富なブロッコリーやいんげん、りんごや梨やバナナ、プラムなどフルーツも大量に購入することにしていた。

こんな経緯でデザートをそのまんまフルーツにしていたら、おやつを作る必要がなくなってしまったのだ。
作りたいメモにはストックがまだあるというのに、さみしいというか、物足りない・・・。

デザートは生食フルーツを続けていた、とある日

豆腐ハンバーグやお好み焼きのあまりとともに、茹でた野菜なども入れて、めずらしく品数多く栄養バランスのよさげなお弁当をOtto氏に作った日。

帰宅後、空になったお弁当箱を差し出しながら、氏は言った。

「今日のランチ、ちょっと足りなかったから、デザートにボンヌママンのババオラムたべた」と。

えっっ・・・・・・食べてんじゃん、おやつ。。。

まあ、ブームってのは誰だって一過性だ。

忖度するのをやめて、つくることにした。


作りたいもののリストからチョイスした、ガトー・オ・ショコラ

最近もの忘れが激しいこともあり、街を歩いていて思いついた作りたいものやいい感じのフレーズ、noteの投稿でインスパイアされたものは極力メモることにしている私。

スイーツ系の作りたいものリストの筆頭に上がっていたのが、私のnoteによく登場いただいている、おなじみの@ケイチェルおじさん。このショコラ戦記もユーモアたっぷりで読み応えがあるので、貼らせていただこう。

チョコレートが嫌いなフランス人って、はたしているんかいな?とは常々思っているのだが、うちの超甘党ももれなく、クロワッサンよりもパン・オ・ショコラ派。

よし、今日はこれいってみますか。

とりあえず、ググる

最近ガチでフランス語を忘れつつあるので、せめてレシピくらいはフランス語でとりあえず引いてみようと、Googleで検索しようとした、そのとき。

画像1

Googleって、検索されているものの多い順に出てくる・・・んですよね?

1段目は、シンプルに、ガトーショコラ。

問題はその次だ。(ちなみに3番目はバナナ、4番目は卵抜き)

「gateau chocolat courgette」
(ガトーショコラ クジェット)


ちなみにクジェットって、これのこと。

画像2

まごうことなき、正真正銘の緑の野菜、「ズッキーニ」。

・・・って。ズッキーニで、チョコレートケーキ!?!?!?


一瞬目を疑う私。スペルの間違いとかgoogleさんの何か様子がおかしかったりするのかしら・・・と、一度ページを閉じ、再度開き直してからもう一度検索スペースにワードを入れるも、同じ結果に。

これは、、、いったい全体どういうこと??
おしーえてーおじいーさん、おしーえて、アルムのもみの木よー🎄🇨🇭

よりくわしく、みてみよう


検索結果のトップにあがってきたのが、こちらのページ

おおお、これは、まだ記事にできていないハンバーガーのバンズ作ったときのHervé(エルベ)おにーちゃんではないか!

Youtubeのほうがわかりやすいので、こちらも。

作る前に3回くらい凝視したけど、特筆すべきポイントは、

・スーパーmoelleux(*)、スーパー簡単で、スーパーヘルシー
・バターを使わない代わりに、ズッキーニを使う
・砂糖の代わりにゼロカロリーのステビアを使う
・エルベ、ビデオ撮影前に3回作って他の人にも食べてもらったけど、
「安心してください、ズッキーニの味、しませんから」

(*)モエルー。柔らかいとか、口当たりがよいという意味

う、うん・・・
ここまで言われても、イマイチ疑心暗鬼が拭えない私。

だって、バターのバーターにズッキーニって・・・
だいたい油なものとだいたい水なものが、どうしたら入れ替われるの?
半沢次長と大和田常務は、入れ替われないっしょ??

・・・例のごとく、あーでもないこーでもないとごにょごにょ考えていたけれど、これ、もし本当だったら、ヘルシー志向のOtto氏にとってはもってこいのスイーツなのではなかろうか。

そういえば今週のしいたけ.さんには「山羊座は奇跡の野生児」って言われてるし。これは奇跡を起こせるかもしれない、ズッキーニで。

だいぶ壮大なスペクタクル感が出てきてしまったものの、よくみてみたら材料はうちにあるものだけで完結するし、ゆるーく、作ってみることにした。

魔法のヘルシー・ガトー・オ・ショコラの材料

本体はエルベのレシピ。
デコレーションは柔らかくて甘いだけじゃものたりない、我流。

・ココアパウダー(無糖):20g
・コーンスターチ:30g。薄力粉でもいいらしい。
・グラニュー糖:80g。よりカロリーカットしたい場合はステビアを40g。
・チョコレート:1枚(200g)。板チョコ50%〜80%が理想。今回は、長らく冷蔵庫に行き場を失って眠っていたネスレの板チョコ(52%)を使用。
・ズッキーニ:中くらいのサイズ1本。細かく削り下ろして、200g。
・卵:4つ。卵黄と卵白を分ける。
・バニラシュガーorバニラエクストラクト:あれば少々
・岩塩:ふたつまみ
・ピスタチオ:30gくらい


魔法のヘルシー・ガトー・オ・ショコラの作り方

0、お菓子作りの基本。型にクッキングシートを敷き、デコレーション以外の全ての材料をきっちり計量し、そろえておく。オーブンは180度に予熱。

画像3

型は、直径20cm、高さ6cmの、側面にバネみたいなものがついており、底が着脱できるタイプを使用。型紙の敷き方はこの動画を参考に。


画像4

1、チョコレートを耐熱ボウルに入れ、湯煎で溶かすか電子レンジで1、2分目安に溶かす。エルベはレンチンしていたので、私もレンチンで。1分後に一度取り出して軽く混ぜて、もう1分レンジにかければ完全に溶ける。

画像5

2、ズッキーニの皮をむき、削り下ろす。

最初は、うちの母愛用の小回りがきくすり下ろし器でトライ。でもこれはさすがに削り対象に比して小さすぎるので、別の方法を。

画像7

ちなみに日本で購入したこのミニおろし器。ちょっとだけしょうがや大根をすり下ろすときにめちゃくちゃ使えるので、要チェック。


見習いたいほど全ての調理工程が美しく、信じがたいほど美しい手打ち生パスタを作られる@papapastaさんが、ちょうど神料理道具として記事にしていたものと同類のおろし器を使うことにする。

画像8

こちら、レモンの皮もあっという間に削ぎ落とせるほどの刃力。
よく手の皮も一緒にうっかり・・・なんてことが毎回起こるのだけど、そこは気をつけましょう。

今日も削り終わったあとにヒリヒリするのでちょっと怪しいけれど、とりあえずズッキーニの削り作業は完了。削った身だけでなく汁も使うので、捨てないように。

3、卵黄と砂糖、気持ちバニラパウダーをボウルに入れて、若干白っぽく気持ちもったりするくらいまで、よくかき混ぜる。

画像9

4、ココアパウダーを加えて、さらに混ぜる。

画像11

画像10

5、ズッキーニの汁と、ひとつかみ分くらいのすり下ろしを加えて、混ぜる。あああ、大丈夫かな。もう後戻りは、できないぞ・・・。

画像12

5、ふるったコーンスターチをいれて、混ぜる。今日はここが躍動した(写真)。

画像13

6、1の工程であらかじめ湯煎かレンチンしておいたチョコレートを、デコレーション用にスプーン3杯分くらい残しながら生地に入れ、泡立て器→ゴムベラに持ち替えて、混ぜる。ここは自分を信じて、目分量で。

画像14

7、残りの削りズッキーニを全て加えてさらに混ぜたら、生地の半分は完成。緑があっという間に消えた(当たり前か)

画像15

画像16

8、分けておいた卵白を大きめのボウルにいれて、しっかりとしたメレンゲになるまで泡立てる。

画像17

画像18

9、7までの工程で出来た生地にメレンゲを全て入れて、泡をつぶさないように優しく全体を混ぜ合わせる。これで生地の完成。

画像19

10、型に流し入れて、軽く揺すってならし、180度のオーブンで30分ほど焼く。真ん中部分に竹串などを差して何もついてこなかったら、できあがり。

画像20

11、冷めたら型から外して、デコレーションに入る。見た目はなかなかの出来栄え。香りもしっかりチョコレート。

画像26

画像22

12、6の工程でスプーン3杯分、目分量で残しておいたチョコレート。レンジで溶かした場合、ここまでくるとまた固まっていると思うので、再度レンジにかける。岩塩をふたつまみくらいいれて、かき混ぜる。

そのチョコレートを表面にのせて、ゴムベラやスプーンなどで均等に塗る。またあるだろうと思っていたけれど、案の定本日2度目の躍動。

画像21

画像23

なかなかに神々しいチョコレートの輝き

13、これだけで終えようと思ったけれど、地味なうえにクロッカンな食感がないなと思い、砕いたピスタチオを全体に振りかけることにした。カシューナッツやピーナッツもうちにあったのだけど、ここは少しズッキーニの緑を意識して、ピスタチオを採用。

画像24


無我夢中になっていたから、いつのまにかズッキーニの存在をまったく忘れていたけれど、とりあえず見た目にはズッキーニのズの字も感じないガトー・オ・ショコラの完成。

画像27


さて、いざ試食

断面からして、正真正銘のガトー・オ・ショコラ感を醸し出している。切り口にもズッキーニ感はゼロ。

画像25

ひとくち、パクリ。


こっっこれは・・・!?!?

驚きももの木21世紀。ズッキーニ臭、ゼロ。

かといって物足りなさも、ゼロ。

moelleuxに萌える系の、正真正銘のガトー・オ・ショコラだ・・・。

ジャストアイデアで実現した、表面の塩気あるチョコのパリパリとピスタチオの食感が、これまた最高。「甘いだけ」は苦手で、「甘じょっぱい」か「甘酸っぱい」は大好物な私らしく、上にかけるチョコにだけ塩を入れて正解だった。もし生地にも塩気を入れていたら、Otto氏が食べなかったはずだし。

あと、普通のガトー・オ・ショコラってバターが100gくらい入るから、カロリーにすると、約717kcal。8等分したとして、ひと切れあたり約90kcalのカロリーカットだ。これは大きい。


肝心のヘルシーブームなOtto氏には、「バター使ってないから、カロリーはグッと低いんだよ!」と得意げに切り分けて差し上げた。

その後なにが起こったかは、さらなる衝撃のせいかブレッブレな以下の写真たちをご覧いただけると幸い。

画像28

画像29

カロリーの塊、スペキュロスペースト(ミルクジャムみたいなもの)をおもむろに冷蔵庫から取り出し、躊躇することなく上からたっぷりとかけて、もぐもぐ、ペロリ。

・・・私、頑張った意味ないやん!!



画像6

夜の執筆のお供にも、赤ワインとともに、活躍



この記事が参加している募集

至福のスイーツ

サポートいただいた分は、おうちごはん研究費としてフル活用いたします!