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フランスの母の日に〜ストロベリー・ラプソディ・イン・ノール

今年のフランスの母の日(fête des mères)は、本日5月30日。

日本の母の日は、下の記事でも書いたように北(nord:ノール)の海岸にいた。
その3週後、フランスの母の日。この日も、コンフィヌモンのせいで3ヶ月後ろ倒しになった病院関係のランデブーがあるので、北で過ごすことになった。

土曜にOtto氏が仕事を終えたら夕方に出発。

Otto氏は何も用意する時間がないだろうから、義母にはいつもお世話になってるし、せめて私からなにかプレゼントを・・・と、パリを出発する直前にちょっとしたものを用意。

近所のビオの化粧品店で、拭き取り化粧水とかクリームとか携帯用の化粧水とか諸々を詰め合わせてもらった。携帯用の化粧水はマスク生活にちょうどいいなと。フランスにしては珍しく綺麗にラッピングもしてくれてうれしい。

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化粧品をもらって喜ばない女性はいないっていうのは偏見だけど、少なくとも美容好きな義母は喜んでくれるだろう。前職でよく自社の化粧品を買ってプレゼントしたらたいそう喜んでくれていたし。


車で北に移動中のこと。
昨日の記事の最後に、うちのアルパカがこの後脱走して、Otto氏に激おこされたと書いた。

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この後なにがあったかというと、うちのアルパカという名の俺は雰囲気を消しながらしれっと私が座る助手席の座席の下に潜り込み、私の足元からコンニチハ。なんだか足をなめられてるなと思ったら俺がいて、私は心臓が飛び出るかと思った。

案の定Otto氏に激怒されて、速攻後部座席へ強制送還。
俺、一応反省してます、の図。

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無事に北の義母宅に到着し、スシ太郎とも再会。

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2週間しか経ってないのに、スシってば体1.5倍になってて、すでに俺より長い。なんともガタイよしおである。

白裸族の戯れの様子がこちら。

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さて、一晩あけて、本日。
相変わらず全然眠れなかったので朝から不機嫌な私なわけだが、Otto氏の手伝いでアパートのゴミ捨てなど肉体労働に励む。階段10往復くらいして足パン。

お昼時、義母はパートナーの娘のなんかのお祝いに招待されていて不在だったので、適当に肉を焼いてフリットとともにOtto氏と食べる。

案の定肉体労働と不眠が響いたのか、午後寝。
目が覚めたらなんと17時前だった。Oh la la...。

寝ぼけ眼でテレビに目をうつすと、たまたまルポタージュでタルト・オ・フレーズ(イチゴのタルト)の特集。パリのパティスリー、Sébastien Gaudard(セバスチャン・ゴダール)のイチゴタルトのこだわりを垣間見る。

こちらはわざわざパティシエ本人がイチゴ農家まで訪ねる様子。パティシエ、ランドセルを持っていると思うんだけど気のせいかな。普通に背負ってたし・・・(ちなみに日本のランドセル、パリで大人がしょっているのをたまに見る)

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こちらのイチゴは「食べなくても、香りをかぐだけでその美味しさがわかる」代物らしい。

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ゴダールのイチゴタルトは、ナパージュなどせずこの素晴らしく美味しいイチゴをそのまま使っているらしい。これはパリに戻ったら食べたい・・・って、シーズン終わりかけだけどまだあるのかな。

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なーんて思いながらぼーっとしてたら、外に出ていたらしいOtto氏が帰宅。開口一番、母の日のガトーは何を作るんだ?なんて冗談だろうけどのたもう。

え?今更いきなり??と若干キレつつ冷蔵庫をのぞくと、なんと目の前にイチゴがあるというミラクル。バターも卵も粉も、基本のものは大体あるから、これはきっと天からの思し召しだと信じ込み、サクッとイチゴタルトを作ってみることにした。

ちなみにタルト型。6人〜8人前のものしかないだろうなと思っていたけれど、探したら小さなタルトレット型(×6)を発見!これはこないだ義母が「私は使わないからあげる」と言われたけど丁重にお断りしたやつだ。断っておいてよかった。

こちらのレシピの半量で、バニラシュガーとかは一切ないので普通の砂糖で代用する。

サブレ生地は、バターと小麦粉・砂糖・塩・卵を混ぜて、冷蔵庫で1時間休ませる。なつかしのこのサブレの作り方と同様。

義母に麺棒のありかを尋ねたら、なんと別宅にあるとのこと。サバイバルぅ!!

めぼしいものがないか探し、昨日飲んだワインボトルにラップを巻きつけて代用することにした。アルザスのワインのボトルは細身だからちょうどよい。

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型にはバターを塗って粉をふりふり。ひとつずつ生地を敷き詰める。

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ぎりぎり6個目は生地が足りなそうだったので、飾り用に何かサブレでも・・・と思ったけど、抜き型もない。よって自らナイフでハート型をくり抜く。またまたサバイバルぅぅ!

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ハートを抜いた残りもそのまま焼いちゃうんだもんね。

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焼いている間に、クレーム・パティシエールを。
なんのことはない、ただのカスタードクリームである。

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タルトレットは途中で卵を塗り塗りして、さらに焼き上げる。重石がなかったからしなかったけど、まあまあの膨らみ程度で済んだからよしとしよう。

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タルトレット型は冷まし、クリームは冷蔵庫で冷やしておく。

義母とスシが帰宅し、アペロのあとにちょっとスシの散歩に出るというので、その不在時間を利用して組み立てを。

絞り袋なんてものもないので、まずはスプーンでクリームをこんもり。

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真ん中にひとつだけぽんっとのせてみる。
さすがにこれはシンプルすぎるだろう・・・なんて自ら突っ込んでたら、義母とスシが早々にご帰宅されたため、急いで荷物をまとめてベランダへ。
これはあくまでサプライズにしたいのだ。

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組み立てのつづき@ベランダ。21時半すぎているけど、加工なしでこの明るさである。

イチゴの盛り付け、あまりしたことがないのでどうしていいかよくわからない。とりあえず4分の1に切って周りに並べたら、なんとなくそれっぽくなった。

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すっかり忘れるところだった!
ナイフで作ったハートサブレをちょこんとのせたら、ジェットコースターのように作り上げたタルト・オ・フレーズの完成。

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夕暮れが美しいので、一緒に撮ってみた。

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飛行機みたいなものも飛んでますな。

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出来上がったところで、じゃじゃじゃーんと室内に入る。
用意していたプレゼントも渡すと、義母は涙ぐんで喜んでくれた。よかった、よかった。

イチゴがとても美味しいので、他がシンプルでも全然OK。とっても軽い!とフランス人のお二人はサクッとぺろっと食べ終わっていた。
ゴダールのタルトもこんな感じなのかな?だったら食べてみたい。

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病院のランデブーが延期になったのも、起きたらイチゴタルトの特集をテレビでやっていたのも、Otto氏がぽろっとのたもうたのも、冷蔵庫に美味しいイチゴがあったのも。

すべては運命のいたずらで奏でることができた、フランス母の日の狂詩曲なのである。


本日の俺

最後にうごくアルパカじゃなかった俺をお届け。


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反抗期


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仕方ねえな・・・



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犬的高跳び選手権優勝



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