プロローグ5:わたしのダブルに会っちゃった
(『プロローグ4』より:港を出る舟は 希望を求めるにあらず 希望を逃れるにあらず そは 狂える舟は 嵐を請うとや 嵐の中に安らぎを見るとや)
『プロローグ5』
なぜ、「あの人」にそんなにひかれたの?何て言ってる、その娘?
『同じ考え同じ感じ方するから』
なるほどネ
好きだったのは『楽しいところ、やさしいところ、あいまいなところ、情熱的なところ、どうしようもないところ、
踏みはずしそうなところ、理想と現実のはざまで、あきらめかかりながら、希望を持たないわけではないところ、
バカするところ、素直なところ、がんばるところ、がんばりきれないところ、
自然なところ、きゅうくつでないところ、わたしを怒らせようとしたりするところ、
なりふり構わないところ、正直なところ、「彼女」のことも含めて「わかる」ところ、
子供じみたところ、キチンととしてないところ、きどってないところ、
現実を知ってるところ、失敗するところ、恋を何度もしたことのあるところ、その楽しさや苦しさを知ってるところ、
平気なところ、悪いいみでも良いいみでも人の心がわかるやさしいところ、
気持ちを身体で表現するところ、そうカッコの良くないところ、ひどく人間的なところ。。。
もうイイ、もういい、ワカった、ワカった、それじゃあ、「あの人」、つか子、そっくりじゃない!
ふ〜〜ん。そう思う?でも、どっか、すごく違うヨネ
ウン、全く同じじゃあナイ。つか子は正直じゃナイ
ええっ!
だって、自分に正直なら、つか子にとってそんな魅力のある人、あきらめなかったと思うヨ
ソウか。ソウ思うんだ。わたしも、ウソかなあと思ったことある
でも、ソウと知りながら、つか子はあきらめたんダ
あきらめたって云われると「チガウ!」って叫び出したくなるけど、結局はソウなんだ。あきらめたんだ。こうしたいというのと、こうありたいというのと、どっちもつよくって、その間で、あがいた。
ちょっとよくワカんない、こうしたいと、こうありたい?
うん、こうしたいは、とにかく、このままドンドンもっともっとあの人に近づきたい、身も心も。でも、こうありたいは、「おんながおんなを傷つける、おとこをはさんで」に自分が加わるのはヤダ!ソウいう女でありたくナイ!
ツヨかったんだねぇ、つか子
そう、他人にも自分にもソウ見えた、でもほんとはそうじゃなかった
そのあげく、『。。。自分の選んだこと、した事、しなかった事、他にどうしようもなかったと思ってる。でも今がウソかなあと思うこともある。。。自分が選んだのだから、何もいうことはないけど、命の輝きでない方、安らぎの方を歩いて来た。。。今、心の奥底から叫び出したい。天地に向かってほえたい。。。』
後悔したんダ?
うん、認めたくないけど、ソウ、後悔した。でも、同じことあったら、同じコトするだろうと思う、自分が自分であるかぎり。。。
いやぁ、しんどいなぁ、つか子って。
ソウなんだ。リブの田中美津さん、みんなにいつも云ってたけど、「楽な方、楽な方、選びなさいヨ」って。それ、できなかった。それとも、そっちが楽だったんだろうか。気がとがめない方
別れた数ヶ月あとに書いてる。『楽しみはあるけど、強い喜びはナイ』
だから、いつか、ある日、吉本ばななの「幸福の瞬間」のネコのように、エビのご馳走前にして食べてイイと云われてガブつく瞬間、それが欲しい、その前に死にたくない、それまで、絶対生きていたい、そう思ってる。。。
長野ゆうほ著「地球自転の音のない音」のプロローグ[5]
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