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プロローグ2:わたしのダブルに会っちゃった

  (『プロローグ1』より)だけど、こわいのは、もしそこに「その娘(こ)」がいたら、どうしよう。そしてくつぬいで、上ろうとしたら「あんた、だれ?」とか言われたら。。。わたしが人生の終わりに近い自分だって知ったらものすごく怒ると思う。。。
    
              『プロローグ2』

   燃えてたんだよね、この頃のつか子!
 
うん。燃えてた、スゴ〜く
 
   カレとのアパート出て都会のまん真ん中に一人で引っこした。家族には事後報告!
 
ウン。それ知った親戚みんなから『わがままでエゴイスト!』ってさんざんタタかれちゃった
         
   カレと大ゲンカでもしたの?

ううん、そんなんじゃない。うまくいってたの。だから、出たの

   ヤダ。そんなの、りくつにならないよ

 だって、ずうっとものすごくカレに頼ってたんだ。その前は家族。一人でやっていきたかった
 
   そうか。でも、つか子、その3年前には家族の反対おし切って、ふつうの結婚式なんかしないと、カレと住み始めたんでしょ?
 
うん、そうなんだ。結婚制度なんか女性差別fだって
 
   う〜〜ん。それじゃ、親、腹立てるだろうな。心配も心配だし
 
うん。でも、もう独立してたし、誰に迷惑かけるわけじゃないって思って
胸いっぱい空気すって、思いっきり、好きなように生きたかった
 
   う〜〜ん、若かったんだ
 
同じ日、『女は闘う。わたしは私とも闘うんだ』つか子、そう書いてる

『わたしはまず私のために守りたいと切望するほどの生活をしたい』

   スゴーイ。それは、スゴいわ

でしょ?だから今のわたしがこのに会ったら、ゼッタイ聞かれる

「あんた、守りたいと切望するほどの人生、生きてるの? どうなの? 聞きたい。答えて。答えられる?」   


             ( つづく ) 

   長野ゆうほ著「地球自転の音のない音」のプロローグ[2]


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