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市川

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市川のショートストーリー
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#連載

スーパーヒーロー

スーパーヒーロー

3年前。
市川は一人の女性と出会う。

彼女は今まで出会ったどの女性よりも可愛く、不思議で、面白く、魅力的だった。

すぐ好きになった。

こんな女性に出会った事が無かった。
だからあっという間に彼女に夢中になった。
知れば知るほどどんどん好きになっていくし、
知れば知るほど自分とは住む世界が違う事を理解した。

育ってきた環境が違った。

環境のせいだろうか?
考え方の違いか?

彼女がもらした

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闇の動物園

闇の動物園

飼育員のアルバイトをはじめて8日目の夜。
市川はいつも通り、30分の仮眠をとった後、夜行性の動物たちに餌をあげる事にした。
寝ても全然疲れの取れないカチカチのベッドから起き上がり、外していたカラーコンタクトレンズを装着した。

夜食用に持参したタケノコご飯のおにぎりを食べながら、動物達をぼんやりながめた。
夜行性の動物を見ていつも思う事がある。
こいつらは本当に給料泥棒もいいところだ。
好きな時に

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色鉛筆

色鉛筆

16時25分、引越しのアルバイトを終えた市川は、やじるしと逆の方向へ走りだす。
帰り道はこの一方通行をひたすら歩くと辿り着く。やじるしの反対 を走るのは今日に限った事ではない。毎月第2木曜日の17時からは、絵画教室へ通う事にしている。
絵画といっても様々ではあらるが、今習っているのは鉛筆画だ。黒い鉛筆で花瓶や果物を描く。
人物はまだ描かせて貰えない。

誰にも言っていないが、家に帰ってから、色鉛筆

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女王蟻

女王蟻

滴り落ちる汗が入った目を擦りながら、ぼんやり見つめる視線の先に、一匹の蟻が大汗をかいて獲物を運ぶ。

市川が4月から働き出した引越し屋のアルバイトは、体育会系では到底片付ける事の出来ない、肉体労働である。
今回のお客様は30歳くらいの女性で、腕を組んでタバコを吹かしながら、働きっぷりを監視している。まるで女王蟻のようだ。

なんだこの野郎。偉そうにしやがって。

仁王立ちしている女王蟻を後目に、死

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冬のプール

冬のプール

2009年の夏。8月のプールの授業でコンタクトレンズを落とした。
泳ぎの得意な方ではない市川は、苦手な平泳ぎで必死にコンタクトレンズを探す。
お前なんで潜水してんの? とか、あいつ溺れてやがる~ なんて友達に笑われても、必死になって探した。
片目ぼんやり生活も1週間が過ぎ、翌週のプールの授業も、同じ様に平泳ぎでコンタクトを探す。
翌週も、翌々週も。。

季節は変わり、うっすら校庭に雪が降り積もる冬

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キャンディを一粒

キャンディを一粒

2021年、 3月も終わりを迎えた。

4月から都内で新生活を始めている市川は、埼玉から越して来たばかりだ。現在はふたつのアルバイトを掛け持ちしている。
富山県にある実家のキャンディ工場を継ぐかどうかで、両親と喧嘩してから11年が経過した。それ以来、絶縁に近い状態が続いている。

風の噂によると、キャンディだけでは経営が上手くいくはずもなく、流行りのマシュマロに手を出し始めたとかっていう話を聞いた

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