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大学の研究資金や知的財産活動の様子を知る情報源

ときどきyahooニュースで話題になる大学別の知的財産権等収入ランキング。日本が産学官連携にどれくらいフォーカスし、それにより各大学でどれくらい成果が出ているかを知ることは、日本の経済成長将来的なイノベーションの可能性を予測する情報として活かせるかもしれません。

文部科学省の科学技術・学術政策局は、産学連携活動の把握を目的に調査を実施。その結果を「大学等における産学連携等実施状況について」として公表しました。

<引用:『「知的財産権等収入の多い大学」ランキング! 7億2006万円の「京都大学」を抑えて1位になったのは?【2019年度版】』 2021/8/23 ねとらぼ by yahoo news>


そこで大学別の知的財産権等収入を含み、大学の研究資金や知的財産活動の様子を知る情報源として、文部科学省が管轄している「産学官連携の実績」(以下リンク)を紹介します。


大学の研究費の多くは、民間企業等から資金提供でまかなわれています。民間企業としては、大学と共同で研究したり、大学(各研究室)に研究を委託したりするかわりに、研究資金を提供します。

企業としては、社内でやれない(やらない)研究を大学の研究室に資金提供してお願いすることで、研究の成果を得たり、大学の教授とのコネクションを持てたりするメリットがあります。


上の「産学官連携の実績」のリンクを開いてもらえるとわかりますが、これはかなりの情報量です。平成15年度から直近では令和元年度までの産学連携等の実施状況が開示されています。とてもじゃありませんが、全部見切れませんね。


そこで、直近の令和元年度の産学連携等の実施状況のページのリンク①と、このページ内にあって冒頭で紹介したyahooニュースの大学別の知的財産権等収入ランキングの情報源である大学等における産学連携等実施状況のPDF資料のリンク②を、以下に抜粋します。

① 令和元年度 大学等における産学連携等実施状況について
② 大学等における産学連携等実施状況について(概要) (PDF:1.8MB)

②の24ページに、下記のように大学別の知的財産権等収入のページがあります。

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ちなみに、下記のようなサイトもありますが、この情報源も上記です。


ここまでで、日本の大学が民間企業等からどれくらい研究資金を得ているか、このような資金を活かしてどの大学がどれくらい成果を出しているか、なんとなくイメージをつかめると思います。

そしてそういった大学の研究を後押ししようと特許庁も参戦しています。具体的には、「知財戦略デザイナー」という人達を大学に派遣して、研究者に対して知的財産活動のアドバイスなどしているようです(下記引用元:『知財戦略デザイナー派遣事業』特許庁総務部企画調査課活用企画班)。

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直近では2020年の派遣事業の様子をまとめたナレッジ集がリリースされています(下記リンク参照)。知的財産活動の内容自体は目新しいものはありませんが、各ケース毎の課題研究者への質問内容は、大学での知的財産活動の参考になると思います。

「知財戦略デザイナー派遣事業2020ナレッジ集」ダウンロード(PDF:6,222KB)


最後に、これは別の観点ですが、大学の知的財産活動の様子を知ることで、進学先を選択する情報にも活かせると思います。例えば、知的財産権等収入が多いということは、研究テーマが多い・研究熱心・民間からの資金提供が豊富だからコネクションあり、といった推測もできるので、理工系に進みたい学生さんやその親御さんは参考にしてみるといいのではないでしょうか。