進化心理学のメスで人間社会を解剖する方法 〜 新時代のパラダイムは積み上げてきた過去のなかにある #ULPR ⑽ | エボサイマガジン
(D.S.Wilson 2007)
・前回からの続き(読まれてない方はまずは以下から):
# ライズ・オブ・進化心理学~社会科学のドグマへの反逆~
しかし、そうはいっても、進化心理学による新しいパラダイムは、社会科学の世界ではいまだ市民権を得るに至っていない。
────その要因のひとつに、進化心理学者の “偉そうな態度” がある。
進化心理学というカルト信者たちは、まさに社会科学の「新しい秩序(New Order)」を叫んでいて、経済学にも、法学にも、政治学にも、ビジネス(ファイナンス、マーケティング、経営学)にも、社会学や教育学にも、「進化論的な知見から一家言あるよ」と首を突っ込みたがる。
彼らは「進化論」という絶対的な土台から演繹することで、今までになかったフレッシュな見方を生みだし、従来のセオリー(社会科学の研究者たちが歴史的に積み上げ守りぬいてきた、大切な理論の数々)を否定する。
そして本来は同胞であるはずの心理学にも(「おまえらは間違ってる!」と)噛みつき、まさに” 四面楚歌 ”の状況にストイックにも自らを追い込んでいるのである。
────当然、こういったフザけた「新参者集団」に対して、サピエンスソーシャルは、進化的な必然(儀礼重視の霊長類の典型的な振る舞い)としてこう反応する:
“市民権が欲しいなら、頭を垂れろ!自分の立場もわかっていないのか?なんだその態度は!!”
ああ、もどかしいが、今は歯ぎしりするしかない────。
こういったどこに向けていいのか分からないタイプの苛立ち(フラストレーション)を、多くの進化心理学者は抱えているのだ。
しかし、そんな状況も長く続くわけではない。もし、それが正しければ、やがては認められることを、サイエンスの歴史は保証している。
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