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進化心理学のメスで人間社会を解剖する方法 〜 新時代のパラダイムは積み上げてきた過去のなかにある #ULPR ⑽ | エボサイマガジン


" 新約聖書に登場する放蕩息子は、財産の分け前をもって家出し、自堕落な生活で財産を無駄遣いした。一文無しになり、恥を忍んで父親の家に帰ってきて、雇い人にしてくれと頼むしかなかった。それ以上の待遇など望めるような筋合いでなかったからだ。────ところが、何とありがたいことに、生まれ変わって、新たな、もっと地道な生き方をする者として、愛と許しで迎えられた。"

" 人間を自然から切り離す私たちの考え方は、莫大な財産をもって家出した放蕩息子にちょっと似ている。:過去にくり返された文明の崩壊と行く末知れない人間の運命は、自堕落な生活で親の財産を無駄駄遣いするのと似ている。────ほんとうに一文無しになって恥をかく前に家に帰り、人間は完全に自然の仲間なのだと考える潮時かもしれない。そうすれば、将来には、過去より地道な生き方ができるだろう。"

(D.S.Wilson 2007)


前回からの続き(読まれてない方はまずは以下から):



# ライズ・オブ・進化心理学~社会科学のドグマへの反逆~


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しかし、そうはいっても、進化心理学による新しいパラダイムは、社会科学の世界ではいまだ市民権を得るに至っていない。

────その要因のひとつに、進化心理学者の “偉そうな態度” がある。

進化心理学というカルト信者たちは、まさに社会科学の「新しい秩序(New Order)」を叫んでいて、経済学にも、法学にも、政治学にも、ビジネス(ファイナンス、マーケティング、経営学)にも、社会学や教育学にも、「進化論的な知見から一家言あるよ」と首を突っ込みたがる。

彼らは「進化論」という絶対的な土台から演繹することで、今までになかったフレッシュな見方を生みだし、従来のセオリー(社会科学の研究者たちが歴史的に積み上げ守りぬいてきた、大切な理論の数々)を否定する

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そして本来は同胞であるはずの心理学にも(「おまえらは間違ってる!」と)噛みつき、まさに” 四面楚歌 ”の状況にストイックにも自らを追い込んでいるのである。

────当然、こういったフザけた「新参者集団」に対して、サピエンスソーシャルは、進化的な必然(儀礼重視の霊長類の典型的な振る舞い)としてこう反応する:

“市民権が欲しいなら、頭を垂れろ!自分の立場もわかっていないのか?なんだその態度は!!”


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ああ、もどかしいが、今は歯ぎしりするしかない────。

こういったどこに向けていいのか分からないタイプの苛立ち(フラストレーション)を、多くの進化心理学者は抱えているのだ。

しかし、そんな状況も長く続くわけではない。もし、それが正しければ、やがては認められることを、サイエンスの歴史は保証している。

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