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ウムヴェルト : あなたは、進化によって造られた「MATRIXワールド」の中で日常を暮らしていることに気づいているか? #Umv Ⅰ |進化心理マガジン「HUMATRIX」


精神の苛烈な力がさまざまな元素を手繰り寄せれば、そこで緊密に結び合わされたふたつの界域はどんな天使にも分かつことができない。ただ永遠の愛のみがそれを解消できるのだ ” ───「ファウスト」第2部

“これは最後のチャンスだ。先に進めば、もう戻れない。青い薬 (blue pill) を飲めば、お話は終わる。君はベッドで目を覚ます。好きなようにすればいい。赤い薬 (red pill) を飲めば、君は不思議の国にとどまり、私がウサギの穴の奥底を見せてあげよう” ─── モーフィアス, 『マトリックス』

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・I Took A Pill In Ibiza / Mike Posner


まずはこちら:



tool 3 : ✔️ウムヴェルト/環世界


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────さて、今回紹介する思考道具も、これまた進化心理学(Evolutionary Psychology)をやる上では欠かせない重要な思考ツールだ。

今回紹介するのは「ウムヴェルト/Umwelt(環世界)」という概念だ。

言葉の響きは(いつも通りに)やたらカッコいいが、一体どんな概念なのだろう?

初めから説明するのはめんどくさいので、Wikipediaの記述を引いてみることにしよう。


環世界(かんせかい、Umwelt)はヤーコプ・フォン・ユクスキュルが提唱した生物学の概念。環境世界とも訳される。”

すべての動物はそれぞれに種特有の知覚世界をもって生きており、その主体として行動しているという考え。────ユクスキュルによれば、普遍的な時間や空間(Umgebung、「環境」)も、動物主体にとってはそれぞれ独自の時間・空間として知覚されている。”

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“ 動物の行動は各動物で異なる知覚と作用の結果であり、それぞれに動物に特有の"意味"をもってなされる。────ユクスキュルは、動物主体と客体との意味を持った相互関係を自然の「生命計画」と名づけて、これらの研究の深化を呼びかけた。”

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(たとえば)“マダニというダニの一種には視覚・聴覚が存在しないが嗅覚、触覚、温度感覚がすぐれている。この生き物は森や茂みで血を吸う相手が通りかかるのを待ち構える。相手の接近は、哺乳動物が発する酪酸の匂いによって感知される。そして鋭敏な温度感覚によって動物の体温を感じ取り、温度の方向に身を投じる。うまく相手の体表に着地できたら手探りで毛の少ない皮膚を探り当て、生き血というごちそうにありつく。

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“────この生き物〔=ダニ〕にとっての世界は、見えるものでも聞こえるものでもなく、温度と匂いと触った感じでできているわけである。”


────繰り返そう。

Re:この生き物にとっての世界は見えるものでも聞こえるものでもなく、温度と匂いと触った感じでできているわけである。


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────そう、そういうわけだ。

(サピエンス諸君はダニの気持ち、考えたことある?;あるいは、自分も「ダニのような閉ざされた世界」のなかにいるかもしれない、と思ったことは?────ダニの "狭い"世界はニセモノで、俺たちサピエンスのいる"広い"世界がホンモノだと正当化する生物学的根拠はどこにある?)。


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前述のように、1899年、動物学者のヤーコブ=フォン=ユクスキュルは、

「動物にとって意味ある世界とは、動物が反応する事柄の集合だ」


────という(当時としては)革新的な考え、アイデアを打ち出した。

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もちろんだが、ユクスキュルがいう「動物」には、サル目ヒト科動物である、俺たち「ホモ=サピエンス」も含まれる。

✔️サピエンスなどの動物にとって、進化戦略的にあまり重要でなかった「世界の事柄」は、そこに「ある」とはふつう気づかれない。


────なぜならそういうふうには進化していないからだ。イヌの嗅覚世界を俺たちは知らないし、そこにそんな世界が「ある」とはふつう気づかないはずだ。

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俺たちは “世界” の中に生きているが、その世界とは進化がつくりだしたものであり、 “残りの世界” はほとんど動物自身からは気づかれず、それが「ある」とも感じられない。───つまり、「無い」のだ。


たとえば、コウモリが見ている超音波の世界は、俺たちサピエンスにとっては無いも同然、というか実際に「無い」だろう

そんな世界は、俺たちにとって「無い」のだ。────たしかに理論上、それが存在することはわかっていても、その世界とはいわば"遠い宇宙の果て"のようなものであって、ここには「無い」のだ。


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What is real? How do you define 'real'? If you're talking about what you can feel, what you can smell, what you can taste and see, then 'real' is simply electrical signals interpreted by your brain.


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ユクスキュルがいう「ウムヴェルト(環世界、Umwelt)」とは、"有る"世界のことだ。すべての動物は、その種にとっての「ウムヴェルト」のなかを生きている。──ウムヴェルトとは、それぞれの動物が進化によって造りだした独自の世界だ。


俺たちサピエンスにとって、"コウモリの超音波世界"はウムヴェルトのなかに含まれていない。そんな世界は「無い」のだ。

なぜ「無い」のか?────繰り返すが、サピエンスは進化によってコウモリの超音波世界を獲得しなかった(=造りださなかった)からだ。:ゆえ、そんな世界は「無い」のである。


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────少々、初っ端から飛ばしすぎただろうか?;まったく意味がわからないかもしれない。

しかし、その「意味」こそは、進化がつくりだしたものなのだ。


本当に意味がわからない、やめて!


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