ウムヴェルト : あなたは、進化によって造られた「MATRIXワールド」の中で日常を暮らしていることに気づいているか? #Umv Ⅰ |進化心理マガジン「HUMATRIX」
・I Took A Pill In Ibiza / Mike Posner
まずはこちら:
tool 3 : ✔️ウムヴェルト/環世界
────さて、今回紹介する思考道具も、これまた進化心理学(Evolutionary Psychology)をやる上では欠かせない重要な思考ツールだ。
今回紹介するのは「ウムヴェルト/Umwelt(環世界)」という概念だ。
言葉の響きは(いつも通りに)やたらカッコいいが、一体どんな概念なのだろう?
初めから説明するのはめんどくさいので、Wikipediaの記述を引いてみることにしよう。
────繰り返そう。
Re:この生き物にとっての世界は見えるものでも聞こえるものでもなく、温度と匂いと触った感じでできているわけである。
────そう、そういうわけだ。
(サピエンス諸君はダニの気持ち、考えたことある?;あるいは、自分も「ダニのような閉ざされた世界」のなかにいるかもしれない、と思ったことは?────ダニの "狭い"世界はニセモノで、俺たちサピエンスのいる"広い"世界がホンモノだと正当化する生物学的根拠はどこにある?)。
前述のように、1899年、動物学者のヤーコブ=フォン=ユクスキュルは、
「動物にとって意味ある世界とは、動物が反応する事柄の集合だ」
────という(当時としては)革新的な考え、アイデアを打ち出した。
もちろんだが、ユクスキュルがいう「動物」には、サル目ヒト科動物である、俺たち「ホモ=サピエンス」も含まれる。
✔️サピエンスなどの動物にとって、進化戦略的にあまり重要でなかった「世界の事柄」は、そこに「ある」とはふつう気づかれない。
────なぜならそういうふうには進化していないからだ。イヌの嗅覚世界を俺たちは知らないし、そこにそんな世界が「ある」とはふつう気づかないはずだ。
俺たちは “世界” の中に生きているが、その世界とは進化がつくりだしたものであり、 “残りの世界” はほとんど動物自身からは気づかれず、それが「ある」とも感じられない。───つまり、「無い」のだ。
たとえば、コウモリが見ている超音波の世界は、俺たちサピエンスにとっては無いも同然、というか実際に「無い」だろう。
そんな世界は、俺たちにとって「無い」のだ。────たしかに理論上、それが存在することはわかっていても、その世界とはいわば"遠い宇宙の果て"のようなものであって、ここには「無い」のだ。
ユクスキュルがいう「ウムヴェルト(環世界、Umwelt)」とは、"有る"世界のことだ。すべての動物は、その種にとっての「ウムヴェルト」のなかを生きている。──ウムヴェルトとは、それぞれの動物が進化によって造りだした独自の世界だ。
俺たちサピエンスにとって、"コウモリの超音波世界"はウムヴェルトのなかに含まれていない。そんな世界は「無い」のだ。
なぜ「無い」のか?────繰り返すが、サピエンスは進化によってコウモリの超音波世界を獲得しなかった(=造りださなかった)からだ。:ゆえ、そんな世界は「無い」のである。
────少々、初っ端から飛ばしすぎただろうか?;まったく意味がわからないかもしれない。
しかし、その「意味」こそは、進化がつくりだしたものなのだ。
(本当に意味がわからない、やめて!)
ここから先は
進化心理マガジン「HUMATRIX」
進化心理学(EP)「遺伝子とは、無意識のうちに私たちを動かすものなのだと頭に入れておいてほしい」by ロバート=ライト.心の働きは母なる進…
エボサイマガジン|EvoPsy Magazine
【初月無料】月額購読マガジンです。マガジン「HUMATRIX」の内容含め有料記事が全て読み放題になります。毎月計7万字のボリュームで新しい…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?