おにぎりエール_タイトル

おにぎりエール

我が家のおにぎりはなぜか大きい。

おにぎりの具といえば...
うめぼし・しゃけ・おかか・こんぶなどがおなじみ。

ただ、我が家のおにぎりにはおなじみの具は入っていない。

私が小学生の時も、運動会では大きなおにぎりが現れた。

中学生の夏休みも、部活の日には大きなおにぎりが。
バレーボールの試合の日は必ず、大きなおにぎりと母が現れた。

なぜ、普通のおにぎりよりも、友達のおにぎりよりも、我が家のおにぎりは大きいのだろう?

大きい理由は中身の具にあった。

我が家のおにぎりの中には、
卵焼きや、ウインナー、肉じゃが、唐揚げなど、おにぎりには普通入れないようなお弁当のおかずが入っているのである。その分、普通のおにぎりよりひと回り、ふた回り大きいのである。

大きなおにぎりを小学校の頃から作ってくれているのは、もちろん母である。

高校生になって、中学と同じくバレーボール部に入っても部活がある日には大きなおにぎりが。
母は、私が試合に出れない日でも、おにぎりを握ってくれた。

私が高校生になって、試合に出れたのはごくわずかだったけれど、
母は欠かさず応援に来てくれた。おにぎりと共に。

親と子供だからって、何でも素直に話せるわけではない。
「がんばれ」と声をかけるのも、時には難しい。

ただただ、
母は大きなおにぎりに思いを込めて、
言葉に出さずとも応援してくれていたんだ。

私もいつか大人になって子供ができたら、
大きなおにぎりでエールを送るんだ。


おわり

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【絵本のコンセプト】
「長く大切にしたいもの」がテーマということで、私の母親がおにぎりに込めてくれていたエール(応援)を絵本にしてみたいと思い、実話を元に描いてみました。
身近にいる家族ほど、頑張れという応援や励ましを素直に言葉にするのが恥ずかしかったり、難しかったりする。
当時は理解しきれていなかった、おにぎりに込めてくれた母の愛情を大人になった今、感じることができた。

私の将来のささやかな夢は愛のあるほっこりエッセイ本を出すことです。サポートしていただいたお金はエッセイ本を作るための費用にあてさせていただきます。