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ダメ人間エッセイ「わたしは犬がほしいだけ」

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勘で生きています。エッセイ作りはじめます。 たいてい夜中に書いています。
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iPhone紛失のすゝめ

iPhone紛失のすゝめ

2月某日。
バイト中にiPhoneをなくした。
画面がバキバキに割れていて下半分が見えなくなり、LINEを勘で打たなければならない厄介なケータイだった(わたしは90年代前半の生まれなのでiPhoneのことをケータイと呼ぶ。以下、ケータイはわたしのバキバキのiPhoneのことを指す)。
ケータイをなくしたことに気づいたのが午後2時半ごろ。
ケータイに限らずものをすぐなくすわたしはケータイが見当たらな

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未来の話はもうやめだ

未来の話はもうやめだ

3月で無職になる。

なんとなく予想はしてたけど、コロナのせいで会社の業績が悪化して契約が更新されないことになった。
私だけでなく、ざっくり正社員以外は全員クビでした。
私も、私と一緒に入った同期も、やっとできた後輩の男の子も、一緒に無職ちゃんである。
この話をされたとき、私たちは思いの外落ち着いていた。この先どうしようかな、とぼんやり考えていたので、部長の話はほとんど聞いてなかった。
私は演劇や

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うたになるにはまだ遠い

うたになるにはまだ遠い

しあわせは忘れがちである

きみとわたしはどうやらカルピスのセンスが似ている。
濃すぎず薄すぎず、でもふつうのひとが飲んだら「薄くない?」て言われるくらいの、2、3こ入れた氷が溶ける途中くらいのぜつみょうな味。きみんちで飲んだカルピスが、わたしんちの具合といっしょだったから、どうだ、結婚でもしませんか、とくちばしる、夏。

携帯電話を持ってない

雪山にのぼってたら門限をはじめて破ってしまった

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4月にみた夢たち

4月にみた夢たち

4/6
自宅待機してるところに上司から「LINEみろや」と電話がくる。コロナで待機って言われたはずだけど自分以外みんな働いてて私だけ知らなくて、もうすでに撮影が始まってる。怖すぎて飛び起きた。

4/10
プールで泳いでるけど泳ぐのが遅すぎて泣いている。3本くらい夢を見た気がする。

4/15
たぶん江口洋介だと思うけど江口洋介がいないはずの現場に白衣着た江口洋介がいて、私にしか見えていな

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これは1年前の8月の日記

これは1年前の8月の日記

2021年11月。
最近いつにも増して自堕落な日々を過ごしてる。
そういうときによくやる自分の日記を読み返して「まあこのときよりはマシか」と元気になるやつでもやるかと思ってずっと下書きにあった殴り書きの文章を引っ張り出してきたけど、今も1年前もどっこいどっこいだった。
人生てまあそんなもんか。
読んでてかなしくなったのは、1年前にスマホの画面がバキバキだとかなしんでいた私は
そのあと早々にスマホを

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2004年のあれこれと本日の濡れねずみ

2004年のあれこれと本日の濡れねずみ

斎藤千晃が2004年の写ルンですで撮ってくれた、2ヶ月前くらいの私の写真が送られてきた。
モヤモヤの向こうでのん気に笑う自分の顔はなかなかにイラッとしたけど、まあ私はきっといつもこんな顔をしているのだろう。
貯金もなければ仕事もなければ彼氏もいなければ夢もまだまだ叶えられそうにもないしちょうど本当に何もかも何もないくせに、楽しそうで何よりである。

この写真たちが送られてきた今日(正確には昨日)は

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来世でもっと仲良くしたい食べ物3選

来世でもっと仲良くしたい食べ物3選

わたしは嫌いな食べ物がない。
好きな食べ物を聞かれるとたいてい納豆ご飯と答えるけど、好きというか、これまでの人生において総摂取量が多いものが納豆ご飯な気がするだけで、1番好きかと言われるとちょっと不安である。
そして嫌いな食べ物は、子供の頃からなかった。少なくとも、嫌いな食べ物を聞かれたときにポンと思い浮かぶほど嫌いな食べ物はない。
出されたものは基本的になんでも食べられる。給食も好き嫌いで残した

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いつか忘れ去る某日たち パート2

いつか忘れ去る某日たち パート2

某日①
1日は、「映画を見なきゃ」という気持ちに襲われるから好きでないです。同期とかまわり、みんなどんどん映画を観てて良い映画は映画館で観るべきだって先生とかも言っててわたしもそうだと思うから、1日は苦手です。パラサイトもジョジョラビットも今泉力哉の映画たちも観てないです。パラサイトもジョジョラビットも今泉力哉の映画たちも観てない自分やばいかなって思いながら、家でNetflixでテラスハウス観てま

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いつか忘れ去る某日たち パート1

いつか忘れ去る某日たち パート1

某日①

ちゃんと毎日の生活を大事にしないと心がめげちゃうから、と母に言われたしとりあえず朝ごはんをしっかり食べることにしようと思ったのに、トースターの中にトーストをわすれて出かけてしまい初日で出鼻くじかれる。
わたしの朝に朝ごはんの時間がそもそもタイムスケジュールとして組み込まれていないからわるいわけなので、そうするとあと10分とか15分早く起きなくてはならないので、そうなると。
三日坊主にすら

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コンビニケーキに仏壇用ロウソク

コンビニケーキに仏壇用ロウソク

 新卒で入社した会社の、4月の総会の日。
 社員全員参加の飲み会で、私は目上の人と乾杯するときはグラスを下から、お酒を注ぐときはラベルを天井に向けて、と先輩に教わった。
 あの日の「乾杯」、低い位置からグラスを当てて、低い位置からグラスを当てて、次のテーブル、次のテーブル、次のテーブルを回って、低い位置から乾杯、乾杯、乾杯をして、社員の人たちの顔も名前も覚える間もない、よろしくお願いします、乾杯、

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いつかのやや勇敢バージョンの私

いつかのやや勇敢バージョンの私

『台風。母が大量にステーキを焼いた。母は小さい破片みたいなステーキを1枚とあとはお皿に残った肉汁を少しご飯にかけて食べて「台風の日はみんなが揃ってうれしいね」と言った』
わたしの日記 9冊目 64ページより抜粋

 嘘かほんとかわからない日記を読み返す。
私は一時期日記に嘘ばかり書いていたから、こんな良い話、ほんとなわけがない。と、あの頃の私を早々に疑いにかかる。
 この日記の時の記憶ではないけれ

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19歳の女ともだち

19歳の女ともだち

 大学に入って映画サークルで仲良くなった女の子。学部はちがくて、ミニスカートにレギンスを履いてる子で、ショートカットのシースルーバングで、私とちがってハキハキと話す子で、実は映画の話はそんなにしたことはなくて、彼女の好きな人は、同じサークルの1個上のはるま先輩(仮名)だった。

 はるま先輩ともうひとり人気のかっこいい先輩がいて、同じ学部の女の子と4人でいっしょに池袋に出かけたときの話を私はえんえ

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ディズニーランドを取り戻したい

ディズニーランドを取り戻したい

 眠れない夜、ディズニーランドに行きたくて、ディズニーランドのことを調べる。

 少し前はミスタードーナッツのメニューをひたすら調べていたし、その前は珍しい苗字をひたすら調べていたから今のブームがディズニーランドなだけなのかもしれない。

 とは言え私、ディズニーランドに行ったことは数えるほどしかない。そして、そんなにディズニーが大好きなわけでもない。なんでこのタイミングでディズニーランドにこんな

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