002『雨雲ドローン』#ショートショート(1183文字)
「ごめんください、雨雲メンテナンスのCAPPAです」
顎を伝って滴る汗を手の甲で拭いながら、玄関のチャイムを鳴らしてそう声をかけた。真夏の午後二時。もっとも暑い時間帯。マンションの廊下はまるでオーブンの中みたいだった。
「どうもご苦労さまです」
冷房の冷気とともに、女の人が出てくる。冷房のおかげで彼女自身は涼しい顔をしていたが、その頭上に浮いている雨雲はどことなく元気がなく、貯水が尽きかけているのは明白だった。
「すぐに補水します」
「助かります。これがないと外出もできなくて