経営者を目指すなら経営企画を知ろう!①
もし自分に『経営企画の仕事の経験がなかったら』、経営者としての役割は務まっただろうか?
経営企画17年を経た後、自らM&Aした事業会社の取締役常務執行役員を5年間、そして海外事業会社立ち上げの社長を3年間経験したが、以下に挙げたような経営企画での経験を総動員してその任を務めてきた。
どの会社でも、経営企画は要員数が少ないため、その仕事を経験できる人は限られている。だが、会社のマネジメントに関わる方、会社全体を視野に入れた視座の高いビジネスパーソンになるためには必須の仕事である。
この記事は自分の自慢話ではなく、【経営企画という仕事がいかにビジネスパーソンとしての能力を高め、様々な経験ができる仕事であるかをお伝えしたい。】
ここでは、ツイッターに上げてきた『経営企画の役割やマインド』を中心に、新たに解説を加えながら一気にご紹介する。
また、当然のことながら参考書籍は一切ない。自分の経験をもとに頭の中にある言葉をアウトプットしている。そのため文章構成に統一感がなく読みにくい点は予めご容赦いただきたい。
また、タイトルに①とあるのは、本内容がツイートの寄せ集めであるため、まだ私の脳内開示のほんの一部であり、おそらく今後続編を書くであろうからである。
1.経営企画の使命
羅針盤そして旗振り役
経営環境変化を捉え混沌とした状況下でも、冷静に自社の採るべき策を打ち出し旗印となって会社を導く。
時に経営トップの考え付かぬことや対立する策を出すべき時も。
これが経営企画最大の役割であり醍醐味。
時代の変化を背景に自社の改革を実現するために奔走する。
他部門との違いは『未来思考』
事業部門は足元の収益確保、目標達成思考が強い。経営者もそうなりがちだ。経営企画は同じ視点に立ってはいけない。
視座を高く保ち常に未来を想定し提言する。だから孤独を感じるがそれは醍醐味でもある。
ポートフォリオに変革の必要性が見えていても、大きな変化を好まない事業部門はそれに反対の姿勢を崩さない。時には経営者も足元の業績への影響などから躊躇する。
それでも経営企画だけは、5年、10年先を想定する必要がある。
2.経営企画の役割
経営企画人材が『Brain』の役割を果たす。
ベトナムでは120名規模の会社だったが経営企画専任を設ける余裕がなくワンオペに近い状況であったためチームとしての厚みに欠けた。
スタートアップ企業の成長にも自社事業に精通した企画提案人材が必要。そのためにも今後、経営企画人材が増えることが望まれる。
会議体を実効的、効率的に
意思決定のプロセスはその成否や責任の所在に関わる重要事項。経営層に必要な情報が伝わり問題点が十分に審議されることが組織的対応力。
会議体が形骸化せず高いレベルで運営されている企業は経営力が高い。そのキーとなるのが経営企画。
会議体議事録で会社が動く
経営企画は会議体でのトップの発言を指示事項として発信する役割を担う。
わずか2〜3行、Twitterよりも少ない。この中で背景や目的、誰が何をするかを明確にする。その一文が事業部門の大きな負担にもなる。実際に書くと一言一句に重圧がかかるがそれが経営企画の日常。
3.経営企画のマインド
危機感と熱量を持つ
バックオフィスの中でも経営企画は舵取り役、牽引役として経営者参謀の自覚が必要。働きかける相手はフロント側だけでない。経営トップを動かす力を持たねばならない。
経営企画への反感
理解と共感のない理論は受け入れられない。この仕事は上位のレイヤーと対峙する。そこでたとえ経営目線であっても理論と知識だけを振りかざすと『机上の空論』の一言で終わる。私も何度もその言葉を受けた。事業の最前線の難しさや苦労を体感し理解していなければならない。
4.経営企画に向いている人
経営企画で必要とされる素養
①正解のない問いに挑むことが好き→仮説を立てることができる
②論理的思考力を仕事に活かせる→抽象化と具体化を自在に使える
③情報収集と処理能力→仮説の検証にダイレクトにつながる情報処理
④説得できるプレゼン力→まずストーリーを作り込む
⑤新しいことへの好奇心→知ろうとするだけでなく飛びつく、飛び込む
⑥火中の栗を拾える→自分を犠牲にできる、損な役回りもできる
5.経営企画はビジネスパーソンを経営者に育てる
17年間の経営企画の経験。その間5人のトップの個性的な経営スタイルを肌で感じた。それが事業会社での『経営者としての発想と決断につながった。経営企画の仕事を通して『経営』を学んでいたのだ。
経営企画では最初のころから、様々な新たな取り組みを提案させてもらったが、それらはいずれもトップをはじめ経営層への挑戦でもあった。
自身の持つ問題意識に対する方針と対応策を考えに考え抜いた。当然のことだがそのテーマに関する専門書で常に勉強していた。それでも何日も考えが進まない時もあったが投げ出すことはなかった。上司に相談しようにも、上司も考えたことのない課題だったためいつもひとりで向き合っていた。
それは最初は不確かで確信のない自分の考えを、覚悟を決めて打ち出せるものに昇華させるプロセスでもあった。
そうやってできた素案を上司から順に説明していくのだが、ぶつけては跳ね返され、またぶつけ…の繰り返しだった。
そこから、上司、部長、役員、トップの考え方、判断基準、好機の捉え方、リスクの感じ方を学び、トップがそれらをどう伝えるのかその表現のしかたを自然と学んでいった。
正直言うと、自分が事業会社を牽引するなかで、方針や判断に迷ったことはない。経営企画の仕事で培った自分の軸をもとに自分で答えを出していた。賛否はあるだろうがワンマン経営。立ち上げ直後の会社でリソースも充分でない中ではそうせざるを得なかった。
だが、自分の経験をベースに新たな環境要因を加味すれば行き先を見失うことはなかった。
対外交渉も同様で、相手に対して何をカードとして持つか、行き詰ったときでも優位に立つ方法、相手のペースにさせない工夫などの駆け引きはM&Aでのハードな交渉が役立っていると感じる。
繰り返しになるが、経営企画という仕事がいかにビジネスパーソンとしての能力を高め、様々な経験ができる仕事であるかをお伝えしたい。
将来、経営者を目指す皆さんはぜひ経営企画の仕事の経験をお勧めする。そんな遠回りなことはできないという方は、まずは、経営企画から経営者になった経験者から話を聞いてみていただきたい。きっと何らかの学びがあるはずだ。
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