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マイフォトがクリエーターさんに使われて嬉しいのでこちらのノートを作成しました。
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#小説

【小説】生き人形(リビングドール)は夢を見る【短編】

祖父の遺言 変態で偏屈。いくら名声を得ようと、我が愛すべき祖父の人間的な評価はそんなものだ。  ぼんやりと空に祖父との思い出を描いてみる。 「否定はしないけどさ」  利明が思い出すのは、初めて知ったサンタクロースという存在を、興奮気味に話したときのこと。確か、枕元に靴下を置いておくと、子どもが欲しいものをプレゼントしてくれるって。そこばかり強調して伝えたのだ。  今とは違って素直な子供時代。それが真実だと心の底から信じていた。それを聞いた祖父の心中は穏やかではなかったろう

ゴルフと小説は似ている

ゴルフと小説は似ている。そう言ったら、笑われるかもしれませんが、小説の作業をしていると、ゴルフをイメージすることがあります。 ゴルフは、ティーショット、セカンドショット、パットを経てカップインします。飛距離が違う複数のクラブを使い分けて、最短でホールを目指します。 どんなに長いショットも短いパットも一打は一打です。どんな素晴らしいショットでグリーンに載せてもパットを失敗してしまえばバーディーは奪えません。 ゴルフでは、長いショットを打つ力と正確なパットでホールに沈める能力が

悲しき自動操縦 【戦国時代の自動操縦】

悲惨な世の中になった。 女性の数が激減したこの世界では、男たちは女性に選ばれるためにあらゆる手を使って必死だ。まるで戦国時代のように。 高給取りの私は、運良く彼女を射止めたが、そこからが大変だ。一刻も早く子供を作らないといけない。これは国の政策だから逆らえないのだ。周りからのプレッシャーも凄い。元々淡白な私は、苦肉の策として自分の下半身を自動操縦に改造した。 「妻よ。そろそろ時間だ」 「あら、23時。もうそんな時間なのね」 こんなふうに毎日定時に始まる行為。慣れてしまえ

第15話「世の中はコインが決めている」

 横浜の赤レンガ倉庫で銀次郎は木箱の蓋を開けた。木箱の中は木屑で埋まっている。銀次郎は白い手袋をはめて、木屑の中へ手を突っ込んだ。  まるでカブト虫の幼虫を育ててるみたいな木箱。木箱の側面にはマジックで文字が書いてある。銀次郎が蓋を開けた木箱は指(R)と。  倉庫には銀次郎の他に三人の人間が居た。銀次郎と同じように木箱の蓋を開けて、木屑から何を取り出した。一人の男が取り出したのは、人間の二の腕みたいなパーツ。そしてもう一人、女が木屑から太ももみたいなパーツを手にしていた。

【感情紀行記】欺瞞

 民主主義の国、日本では、どの地域にも選出される政治家というものがいる。そんな政治家達のことは、日々流れゆく、枚挙にいとまが無いニュースの中に映る、旬の政治家を調べていくうちに詳しくなっていった。  最近は、自分がどこにいるのかというのを街に貼られているポスターでわかるようになったくらいだ。そんな街の中で違和感を感じさせ、目線を惹きつける大きな顔の笑みは、考えさせられるものがある。その政治家が見てほしい自分を、最大限詰め込んだ一枚の紙にはどのくらいの人がどのように感じている

老いてきた選挙

林です。 市議会議員選挙が終了し、1日が経過しましたね。 選挙運動が活発になっていましたが、私はふと思いました。 「選挙活動をしている人達は老人しかいない。」 もちろん名前は出しませんが、最近誕生した政党は、若者が多いですが、某宗教団体の政党だとか、親の七光りで構成されている政党の支援者は何というか、「老人が多い」。 若者の選挙離れの深刻化と、高齢化の深刻さを感じました。 ただし、私自身若者の選挙離れは別に悲観視していません。 理由として、 選挙で色々言われない

居酒屋繁盛異聞 旅が好き〜列車居酒屋〜         P74

5.ロベルト・シュンク ヤーパン紀行⑮ 「ジャン? どうかしたのかい?」  野崎課長が不思議そうに問いかけた。  ジャンは曖昧に笑って 「いや…その……。御神輿の掛け声が……フランス語に聞こえるんです」 「へぇ…。なんて言葉なんだい?」  ジャンはかなり口ごもりながら…… 「その…えっと……『為政者を討ち倒せ。貴族は◯せ』が一番近い……かと……」 「ブッ!!」  黒田さんがビールを吹き出した!  私もギョッとして肉片を喉に詰めそうになる。 「へぇ…過激だねぇ」  野崎課長は

今日は、座っているだけでいい。

 睡眠導入剤を服用するのが、正午。ということで、屋形船にでも、乗った気分でいます。どうせ、寝るのが、真昼なので、よく眠れると思います。睡眠導入剤が一番効くのです。甘木心療クリニックに行くのに、電動自転車を使いますが、電動自転車は漕ぐのが楽勝なので、寝ているような状態でもいいのです。つまり、ボク自身、背水の陣を敷いた、ということです。甘木心療クリニックは、旧甘木市にあって、朝倉市からは、片道1時間程度。楽に行けます。どうせ、寝るのが正午ですから、甘木市で暴れてやります。楽に行け

今日、甘木心療クリニックに行きます。 

 さっき、レキサルティーとサプリメント類も服用して、着替えてから、今、部屋にいます。今日は、甘木心療クリニックに行きます。院長と以前書きましたが、院長じゃなくて、担当医の青年医師、と銘打っておきましょう。担当医に、ゼプリオン注射を打ってもらってから、そのまま、朝倉市に帰ってきます。さっき、妻(名前は分かると思いますが、あえて言いません)から、電話で言われました。もう、note等で、個人名は出すな、と。だから、言いません。ボクは、今日は楽勝です。さっき、服薬したので、正午には、

箱根駅伝と小説の自由さのこと

 箱根駅伝から始まる正月2日。  もはや「朝起きたら顔を洗う」のとさほど変わらない習慣になってしまっている。  学生たちがただ走る。必死に走る。体力の限界を超え、目に見えているものが何なのかもわからなくなっていても、「次に繫ぐ」本能だけで走る。  襷を渡した後には壊れた人形のように動けなくなる選手たちの何を見たくて6時間近くもテレビの前に座り続けているのが、自分でもわからなくなる。だが、それでも見るのをやめる気にはならないのだ。  「物語の要諦とは」とまとめてしまうのはあま

【とある老人の人生】母がいたあの日

私が成人した頃の話だ。 母が帰宅する。 「ただいま」 「おかえり。お母さん、病院大丈夫だった?」 「別に大丈夫よ」 「そう。良かった」

【短編小説】 優しいお神輿。

分からなくは無いけど、酷いことをするね。 隣の上辺村に大手商社がゴルフ場を造成するらしいと、数年前から噂には聞いていた。同じように何にもない我が下辺村に話が来ても良さそうなものだと思っていた。 だが、上辺村の山に連なる四季折々に咲く花や木々を鑑みると、我が村には話がやって来ないらしい。 山の栄養が足りないのか、楓やイチョウ、コナラなどは紅葉の季節でも色付きにムラがあり、村の位置関係で気象条件が違うのか、上辺村の華やかなるグラデーションを展開するようには望めない。 山の

【はがきサイズの短編】それでも、トイレ掃除は嫌がります テーマ:もがく

こんにちは!高木梢です。 最近寒くなってきましたが、体調などお変わりありませんか。 私は布団から出られない日々が始まったな~と実感しております。 そうそう、そろそろ秋薔薇が咲き始める季節でもありますね!薔薇のジャムをひとさじ紅茶に溶かしてマドレーヌと一緒にいただきたいところです♡ さて、今回の言葉は、「もがく」です! タイトルは、「それでも、トイレ掃除は嫌がります」です!   ハクチョウは優雅に湖の上に浮かんで見えるが、水の中ではバタ足をしているらしい。人魚姫は軽やかに

【教育論】AIに負けないための教育

――単純な仕事は世界から消え、自ら考え、行動する時代がやってきます。それは生きるのに難しい時代の到来のように感じますが、それを超える喜びを感じられる機会が多い時代の到来でもあります。 人生は物語。 どうも横山黎です。 今回は「AIに負けないための教育」というテーマで話していきます。 ◆変わる仕事、変わる教育普段は創作に関する記事を書いているんですが、実は僕は教育実習生で、近々教育実習があることもあり教育に関する記事を書いています。 今日は大学の図書館に行って教育に関す