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恋とか愛とか

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いのち短し恋せよ乙女

いのち短し恋せよ乙女

生まれてはじめて失恋をした。失愛をした。

……正確に言えば、別れたというより離れた。
だってそもそも付き合ってないから。恋人じゃなかったから。

大学の同期で、途中で後輩になったひとつ歳上の賢い男。煙草と酒と読書を愛し、研究熱心で聡い男。そんな印象だったのが昨年の7月以降ガラッと変わった。厳密には印象が加わった。誠実かつ変態で、根っからのサディストで、手が綺麗な男。
恋人関係になることで生じる責

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接吻

接吻

愛したい愛したい愛したい。
恋したい恋したい恋したい。

そう思っているうちはあんまりいい出会いに恵まれないというのが世の常で。くやしい。でもほんとうは新しい出会いになんてあんまり興味なくて、考えるのはいつだって君のこと。
なんでー?わたしかわいいのに。毎秒かわいいを更新してるのに。君のためならもっとかわいくなれるのに!
どうして君はここにいないの?

アイス食ってる。
愛、巣食ってる。
愛、掬っ

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春は嫌いだ

春は嫌いだ

昨日の鬱が嘘のように、今は洗いたてふわふわの枕に上機嫌で頭を預けている。
昼間のうちにお風呂に入ったのが功を奏したらしい。そのあと過食しちゃったからマイナスだけど、映画を2本立て続けに観られたから結果プラスになった。

昨日の天気は知らない。晴れていたのか曇っていたのか、カーテンを閉め切っていた部屋に空の色は届かなかった。気温が高かったのは肌感覚で分かる。Instagramのストーリーではみんなが

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幻にもならなかったいのち

幻にもならなかったいのち

浴槽に浮かぶ金魚を見つけても動じなくなって少女の終わり

「金魚」の比喩は宇佐美りん『かか』から拝借した。あの書き出しを読んだ瞬間、鈍器で頭かち割られたような衝撃を受けた。あまりに痛すぎて続きを読めていない。『くるまの娘』も『推し、燃ゆ』も読みたいのだけれど、これ以上傷つくのが怖くて読めないまま数年が過ぎた。気付いたら四度目の春を迎えて大学を卒業し、もう夏も通り過ぎて秋に差し掛かっている。早い。

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愛するには言葉が足りない

愛するには言葉が足りない

相手のこういうところが好きとか、あの癖が可愛いとか、言いたいことは幾らでも見つかるけれど、どうも言語化してしまうとしっくりこない。
だから、強いて言えば「愛してる」と換言するしかない。

言葉が足りない。
どれだけ相手を愛しているか、どれ程相手に支えられているか、それらを十全に伝える術は誰も知らないから、言葉は足りない。
この際、恋と愛のちがいなんて分からないままでいい。
好きだ。それ以外の感情は

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月とリンゴとコージーコーナー

月とリンゴとコージーコーナー

同じ空間で、私は仕事、彼は勉強をしている。
「分かんない分かんない・・・うわぁ~~~」と悶絶しながら文献資料と睨めっこをしている彼がちょっと可愛い、と言ったら怒られるだろうから言わない。自分はPC画面と睨めっこをして黙々と作業を進める。途中、行き詰まると私の手を一瞬触りにくるのも可愛い。え?かわいい。本当に年上?

自分の部屋に彼の私物が追加されていくのが嬉しい。
着替え、歯ブラシと歯磨き粉、シェ

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毒を以て愛と為す

毒を以て愛と為す

理性の箍が外れる瞬間が同じだと嬉しい。
目が合った時の熱、肩に触れた時の微かな震え、背後に感じる衣擦れの気配。
些細な言動ひとつひとつに対する感度を高めると、むしろ繋がっているときよりも生々しい多幸感を覚える。
この感覚は最近身に付いた第六感だ。今後もさらに研ぎ澄ませていく所存。

ところで、私に恋人はいない。
過去のnoteの記事にそれらしい人物の存在を仄めかすことはあったけれど、一度も彼のこと

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