(23)「希望は売り切れですか」私のリアル。飾ったり、ありのままだったり。

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幻にもならなかったいのち

浴槽に浮かぶ金魚を見つけても動じなくなって少女の終わり 「金魚」の比喩は宇佐美りん『かか』から拝借した。あの書き出しを読んだ瞬間、鈍器で頭かち割られたような衝撃を受けた。あまりに痛すぎて続きを読めていない。『くるまの娘』も『推し、燃ゆ』も読みたいのだけれど、これ以上傷つくのが怖くて読めないまま数年が過ぎた。気付いたら四度目の春を迎えて大学を卒業し、もう夏も通り過ぎて秋に差し掛かっている。早い。 新たに傷つくのは嫌だけど、過去に傷ついた事象に関してはもう一度それを追体験しよ

    • 春は嫌いだ

      昨日の鬱が嘘のように、今は洗いたてふわふわの枕に上機嫌で頭を預けている。 昼間のうちにお風呂に入ったのが功を奏したらしい。そのあと過食しちゃったからマイナスだけど、映画を2本立て続けに観られたから結果プラスになった。 昨日の天気は知らない。晴れていたのか曇っていたのか、カーテンを閉め切っていた部屋に空の色は届かなかった。気温が高かったのは肌感覚で分かる。Instagramのストーリーではみんなが桜を見に行っていた。桜、桜、酒、友、桜、桜、桜。薄桃色の攻撃力は存外高くて、私の

      • 一進一退、日進月歩

        入社から2ヶ月が経とうとしている。 書店員として成長したか否かは不明だが、体は着実に成長した(肥えた)。帰宅後の自炊が面倒でつい外食や出前で済ませてしまい、ストレスで暴飲暴食を重ねた末に過去最高体重を更新しそうになっている。昼間あんなに動いているとはいえ、消費量に対して摂取量が過剰なら無意味だ。月平均1万歩の歩数も水の泡。南無。 ダイエットシェイクなるものに手を出すも、夕方〜夜にかけての食欲に抗えずに"つい""今日だけ""明日から"を繰り返してしまった。一食分を抜くよりも、毎

        • 仕事帰りにメロンパンを買うような

          仕事を始めて二週間が経った。 これまでの半年ほどの昼頃まで暢気に眠っていた暮らしが嘘のように、毎朝6時に起きて身支度を整えお弁当を作り、8時に家を出て電車に揺られ職場に向かう日々を過ごしている。 出勤3日目にあの大雪の日に打ち当たり、それを乗り越えたあたりで「もう安泰だな」と漠然と思った。雪を乗り越えられたら猛暑も乗り越えられるだろう。夕立もどんと来い。 どうやら私は仕事覚えが早いらしい。 私としては毎日死に物狂いで喰らいついているのだが、指導者には余裕そうに見えるみたい。

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        幻にもならなかったいのち

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          死ぬために生きる 殺すために生かす どちらも依怗で独りよがり。 それでも、その手に握った刃を自分に突き立てることも、あの人に向けることもしない、今は。

          死ぬために生きる 殺すために生かす どちらも依怗で独りよがり。 それでも、その手に握った刃を自分に突き立てることも、あの人に向けることもしない、今は。

          母に愛されてみたかった

          鏡台の前で母が身なりを整えている。髪を梳き、襟を直し、指輪をはめる。そうして最後に乳白色の瓶を手にして、金色の蓋を指先で回し開け、空中に薔薇の霧を降らし、その下をすっとくぐり抜ける。鏡の中の母はなんだか上機嫌で鼻唄でも歌い出しそうな雰囲気を醸していて、その様子にほっと胸を撫で下ろした。 「邪魔」 身支度を終えた母が部屋の入り口付近に立っていた私の足を蹴る。母から香る濃縮した強い薔薇の香りで鼻の奥がつんとして、思わず息を止める。薔薇に棘があるように、自分に近づくなと言わんばかり

          母に愛されてみたかった

          正しく母になりたい

          夜、散歩をするとき、暗くて他人に見られないのをいいことに妊婦のふりをしている。下腹部のあたりを服の上から撫でて、まるでそこにいのちが宿っているかのように腹部を覗きこむ。だれも住み着いていない、がらんどうの子宮を守るようにして歩く。 そうすると、不思議と妙な活力が湧いてくる。使命感のような充足感。義務的な愛情。確立された存在理由。地面を踏みしめる足の裏に力が入る。胸を張って堂々と歩く。胎児なんていないのに、私はすっかり母親になっている。 "結婚が早そうランキング1位" 卒業ア

          正しく母になりたい

          毒を以て愛と為す

          理性の箍が外れる瞬間が同じだと嬉しい。 目が合った時の熱、肩に触れた時の微かな震え、背後に感じる衣擦れの気配。 些細な言動ひとつひとつに対する感度を高めると、むしろ繋がっているときよりも生々しい多幸感を覚える。 この感覚は最近身に付いた第六感だ。今後もさらに研ぎ澄ませていく所存。 ところで、私に恋人はいない。 過去のnoteの記事にそれらしい人物の存在を仄めかすことはあったけれど、一度も彼のことを恋人と明言していない。なぜなら単純に"恋人ではない"から。 じゃあどんな関係性

          毒を以て愛と為す

          月とリンゴとコージーコーナー

          同じ空間で、私は仕事、彼は勉強をしている。 「分かんない分かんない・・・うわぁ~~~」と悶絶しながら文献資料と睨めっこをしている彼がちょっと可愛い、と言ったら怒られるだろうから言わない。自分はPC画面と睨めっこをして黙々と作業を進める。途中、行き詰まると私の手を一瞬触りにくるのも可愛い。え?かわいい。本当に年上? 自分の部屋に彼の私物が追加されていくのが嬉しい。 着替え、歯ブラシと歯磨き粉、シェーバー、香水、本、お酒、PC、スピーカー、試しに買ってきた缶ピース。部屋に色が増

          月とリンゴとコージーコーナー

          ねぇ、さとちゃん。

          子が親を哀れむなんてどうかしている。 自分が親になるときは、子どもに哀れまれない親になりたい。 母は祖母のことを「かわいそうな人」と呼ぶ。 面と向かっては「お母さん」と呼ぶけれど、他人と話しているときの祖母の呼び名は決まって「あの人」、もしくは「かわいそうな人」だ。昔からそう。少なくとも、私が物心ついた頃にはそう呼んでいたと思う。母の口から聞かされる祖母の昔話はあまり明るいものではなくて、いつも居心地の悪さを覚えるような話ばかりだった。どうして母はそんな話を私に聞かせるのだ

          ねぇ、さとちゃん。

          脳ミソがジャマだ

          母親が死んだら、自動的に父親も死ぬことになるんだろう。 通帳管理も、ローンの手続きも、公共料金も、税金も、お金の管理はぜーんぶ母に任せっきり。最近やっとATMでお金の入出金ができるようになったばかりの父に、母が亡くなったあとの金銭管理なんてできるはずがない。 スーパーに行っても、どの野菜が新鮮でいいとか、そもそもレタスとキャベツの見分けとか、肉の種類とか、全然分かっていない。母が先陣切ってあれもこれもと選び取っていくのを、父はただ後ろからカートを押して追いかけているだけだ。先

          脳ミソがジャマだ

          夏の終わりでもなんとか生きてるよ日記

          日傘の似合う女の子になりたいと思っていたら夏が終わる音がした。焦る。 ていうか23ってもう女の子って言っちゃだめ?昨日料理酒買ったらレジで年確されたんだけどそれってそういうことじゃないの?だめか。 酒も飲めるし煙草も吸います。女の子じゃないかも。 母が三途の川を渡りかけたので急遽実家に帰省している。二階の自室の窓を開けると田舎の匂いがする。草、土、風、なにかを燃した匂い。虫の声も聞こえる。春だったらそこに発情期の猫の鳴き声が加わるし、お盆やお彼岸の時期ならお線香の匂いが漂っ

          夏の終わりでもなんとか生きてるよ日記

          愛するには言葉が足りない

          相手のこういうところが好きとか、あの癖が可愛いとか、言いたいことは幾らでも見つかるけれど、どうも言語化してしまうとしっくりこない。 だから、強いて言えば「愛してる」と換言するしかない。 言葉が足りない。 どれだけ相手を愛しているか、どれ程相手に支えられているか、それらを十全に伝える術は誰も知らないから、言葉は足りない。 この際、恋と愛のちがいなんて分からないままでいい。 好きだ。それ以外の感情はないし、要らない。 先日、好きなひとを泣かせた。 凜々しい眉が八の字になって、

          愛するには言葉が足りない

          箱と田舎と変拍子

          田舎は似合わないから都会に出なさい。 母にそう言われた。地元を嫌い、結婚を機に同じ県内の別の市に籍を移した母に。かかりつけの病院が東京にあるなら東京に引っ越せばよかったのに。彼女がそうしなかったのは保守的で不器用な夫のせいか、否か。彼女は田舎に留まることを選んだ。 ただ、私を産むときに生きるか死ぬかの選択を迫られた母は、東京の病院で私を産んだ。予定日より3ヶ月も早く生まれてしまったせいで、私は左耳が聴こえない。母はそのことを気に病んだ。自分が心臓病なんかじゃなかったら、ち

          箱と田舎と変拍子

          青いコンビニの鮭おにぎり

          東武線の特急の車窓から見えるスカイツリーと荒川を目に焼き付ける。今日が最後だから。 卒業論文の口述諮問。 それが本日のメインイベントだった。 昨年の8月頃から精神の不安定さに拍車がかかり、一人暮らしの東京の7畳間で自殺未遂をした。6月に始めたばかりの人生初のアルバイトも音信不通という不義理極まりない形で辞めた。小中高とインフルエンザや忌引き以外で休まず皆勤賞を取ってきたことだけが取り柄だったのに、大学に行ける精神状態じゃないからという理由で講義を何度か休んだ。9月半ば、両

          青いコンビニの鮭おにぎり

          タイムカプセル

          私には思春期の頃の思いを辿れる媒体がない。 中学時代、学校で毎日書かされていた「ライフ」という学習日記のようなものは残してあるけれど、それには学校の出来事しか書かれていなくて、家での生活のことは一切書かれていなかった。 だから、当時の私の考えていたことや実際の行動を思い出すには、私の朧気な記憶を頼りにするしか方法がない。 その記憶のなんと不安なことか。実に穴だらけだ。 自分にとって都合の良いように記憶するのが人間の脳の仕組みだが、都合の良いことすらあまり覚えていないみたい。

          タイムカプセル