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どこかで見聞きした何かや言葉を、気の向くまま、考えてみるマガジン。 記事や書籍などの推薦もあり。ニュースソース、真偽のほどは、ご自身で確認を。
運営しているクリエイター

#哲学

蜘蛛の糸の経済学

蜘蛛の糸の経済学

誰かを優先することと、自分を大事にすること。

この二つが同時に叶えばいいと思う。

「遠慮するな、自分を出せ」

「自分に自信をもって、意見を通せ」

 そんな言葉ばかり聞いていると、ふと世の中には「自分を優先するか」「他人を優先するか」の、二種類の人間しかいないような気がしてくる。

 さらには、他人を優先する人間は損をする一方で、自分を優先させる人たちは限られたパイを取り合い、勝者がたった一

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匿名社会の深度

匿名社会の深度

「書く・読む」行為は、いまや「話す・聞く」と同じ速さか、それ以上の速さで実現可能だ。

紙やペン、字を書くスキルといったものから、パソコンもしくは携帯一つで事足りる。その唯一の道具の使用方法も、ますます容易になっている。

通信技術の発展が、書き手と読み手との間のタイムラグを取り去った。
匿名性を盾に、「話す・聞く」が自由になれない現実の力関係から、「書く・読む」を解き放った。

ネットワーク社会

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SNS

SNS

誰かに話を聞いてほしいだけなら、聞いてほしいまさにその瞬間に、時と場所を選ばず、言いたいことを言える場所があればいい。

人を呼んで言うほどのことでもないけれど、ちょっと言いたい。聞ける余裕のある人が常にそこにいる、そういう安心感で、発信するメッセージ。

自分以外の人が日ごろ何を感じ、何をしているのか。

自分という籠の中だけでは退屈してしまっているから、拘束されない自由な環境なら、顔の知らない

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耳を傾ける自由

耳を傾ける自由

自分はどちらかというと、ぼんやり人の話を聞いていたい人間だと思う。
話したい、という欲求に勝るのが、聞く面白みとでもいうのか。

休日の昼どき、珍しい場所で外食などをすると、さっそく周囲の話し声が耳に入ってくる。

もちろん一人で食べに入っている。注文さえ済めば、ほかに優先することがない。

周りのお客の中で特に目立つのが、大きな声が途切れない女性二人組。
彼女たちの会話を聞く中で、気付いたことが

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器用な孤独

『ことばを紡ぐための哲学:東大駒場・現代思想講義』

中島隆博・石井剛編著

白水社さんのwebマガジンを読んでいると、中島隆博さんと星野太さんが、「孤独」について話しているのに出会った。初出は上記の書籍である。

本のテーマに沿った文脈もあるのだが、お二人の意見は「孤独は確保すべきもの」という点で、足並みが揃っているようだ。

ここでいう「孤独とは何ぞや」と思われた方は、是非読んでほしい。

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