【478】フィクションの果実(2):社会契約の白いキャンバス
政治思想におけるフィクションとしておそらく最も際立っているのは、社会契約論(とその背後にある自然状態)かもしれません。極めて大雑把に言えば、自然状態にある(とされる)人間が契約に基づいて或る種の政治体制を樹立する(そしてインペリウムを譲り渡す)という図式ですが、これは17世紀以降の政治思想の一個の主流とも言えるものです。
少し文脈や内容は違いますが、ロールズの「原初状態」もまた、当然のことながらフィクションです。
フィクションだというのは、そんな状態が現実に存在していたわ