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フィクションの使い方

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人間は言語を使うことを、つまりフィクションを立てることをう運命づけられていますが、その力は甚大です。人生を傾かせることも、人生を上向かせることも、どのようなフィクションを立てうる…
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記事一覧

【770】注意欠陥者のための料理環境

牛の心臓をよ〜く下処理して葱爆牛心を作っていました。大蒜を使わない・オイスターソースを使…

墓場
2年前
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【769】裸エプロンのエロティシズム序説(続かない)

裸エプロンそれ自体は裸のうえにエプロンを身につけるだけですが、或る文脈において一定の効果…

墓場
2年前
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【173】愛を証明するための結婚、あるいは契約の力を活かす(畑健二郎『トニカクカワ…

新婚夫婦の生活を描いた、畑健二郎『トニカクカワイイ』という漫画が『週刊少年マガジン』で連…

墓場
3年前
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【535】エンドコンテンツの彼方に

endgameないしはendgame contentとは、日本語では「エンドコンテンツ」と呼ばれ、ゲームの通常…

墓場
2年前
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【481】フィクションの果実(4):その虚構で、現実を断ち切れ

フィクションは紡ぐ側にとってはもちろん現実から一歩離れて、現実の物事を考えるための素材に…

墓場
3年前
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【479】フィクションの果実(3):擬制は進歩の一里塚

fictionは「曲げる」くらいの意味を持つラテン語の動詞fingereの名詞形ですが、これは法学にあ…

墓場
3年前
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【478】フィクションの果実(2):社会契約の白いキャンバス

政治思想におけるフィクションとしておそらく最も際立っているのは、社会契約論(とその背後にある自然状態)かもしれません。極めて大雑把に言えば、自然状態にある(とされる)人間が契約に基づいて或る種の政治体制を樹立する(そしてインペリウムを譲り渡す)という図式ですが、これは17世紀以降の政治思想の一個の主流とも言えるものです。 少し文脈や内容は違いますが、ロールズの「原初状態」もまた、当然のことながらフィクションです。 フィクションだというのは、そんな状態が現実に存在していたわ

【475】論破より籠絡を!

人を「論破」することが流行りなのでしょうか、私にはよくわかりませんが、以前にも増して、「…

墓場
3年前
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【470】『ジョゼと虎と魚たち』を観ずに語る

田辺聖子原作の短編『ジョゼと虎と魚たち』は、既に2003年に妻夫木聡と池脇千鶴の主演で映像化…

墓場
3年前
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【469】「私に触れるな」:劣後順位と説明責任byイエス

イエスはなかなか過激なことをよく言います。上司には持ちたくないタイプ、などと言うと問題が…

墓場
3年前
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【451】額面通り受け取ってもらうための2つの道?

極めて雑駁に言えば、人が何か言ったり書いたりする場合には、2つの意図を区別する可能性が生…

墓場
3年前
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【435】不感症者の感動/ルクレーティウスの入れ子?

学びを深めていけば当然、当該の分野に関する知識は増え、感覚は研ぎ澄まされてゆくことになり…

墓場
3年前
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【411】あなたのマスクの下を見たい/思想テロリストたちの密かな戦い

私たちが当たり前にやっていることが弾劾の対象となる世界を描くフィクションは極めて多いもの…

墓場
3年前
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【374】「人それぞれ」の功罪

何かにつけて「人それぞれ」だと思っておくことは、余計な思考の手間や諍いを回避するために、そして自分が集中すべきことにのみ集中するために一定の効果を持つ方策ですが、もちろんこうした方策には悪い面もあり、そのどちらも見たうえで態度を決定することが求められるでしょう。 あるいは、「人それぞれ」だとすることが態度を決定しないという決定に基づいているからには、目下の問題は原決定(Ur-entscheidung)の問題に関わる、と言っいてもよいかもしれません。 ※この記事は、フランス