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「人間は見たいと欲する現実しか見ようとしない」ユリウス・カエサル

  昨年2023年に文化勲章を受章した、塩野七生さんの代表作の1つに『ローマ人の物語』という本があります。その中で重要人物と言うべきユリウス・カエサル(紀元前100年 - 紀元前44年)の言葉として紹介されている「人間は見たいと欲する現実しか見ようとしない」という教訓があります。今回はこの言葉について思ったことを書きたいと思います。
 自分はこの言葉はけだし名言かつ真理であると思うのですが、少し根拠を上げると、「確証バイアス」という「認知心理学や社会心理学で取り上げられる、自分の思い込みや願望を強化する情報ばかりに目が行き、そうではない情報は軽視してしまう傾向」を表す用語があります。まさに、カエサルの言はこれを簡潔に言い表したものと言えるでしょう。そして、認知心理学や社会心理学にとどまらず、見えている世界を認識しているわけではなく、認識したい世界を認識しているという事実を言い当てているものとも言えるでしょう。現代に通じる真理を2000年以上前に言い当てていたというのはカエサルが素晴らしい洞察力を持っていたことともに、人類の考え方は古代から変わっていないことを裏づけるものでしょう。
 今回は、カエサルのとても有名な言葉を取り上げましたが、カエサルは戦争や政治に長けていただけでなく、文筆家としても偉大な業績(『ガリア戦記』)をあげ、さらに稀有な人間的魅力を持っていたそうです。そして、『ローマ人の物語』を読むと、塩野七生さんのカエサル愛が伝わってきます。『ローマ人の物語』は長編時代小説ですが、名作だと思うのでぜひ読んでみてほしいです。読めば人生の大きな糧になると思います。
<参考文献、ウェブサイト>
・『ローマ人の物語』 塩野七生 新潮文庫 2002/06/01
Amazon公式サイト https://shorturl.at/lHZ24
確証バイアス|グロービス経営大学院 創造と変革のMBA 
2024/04/19 21:30


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