yoko san

〜どうしても見過ごせないことがあります。ゆるいことも重いことも。でも、書きためないと忘…

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〜どうしても見過ごせないことがあります。ゆるいことも重いことも。でも、書きためないと忘れちゃう。忘れない様にここに。〜

最近の記事

「おくやみコーナーがあるならば」vol.4

数日前から「胃が動かない」「食欲が無い」など呟いたり、血液検査の結果があまりよくなかったり…と不安定な日々が続く。 「もしかしたら再発したかもしれない。」と夫から連絡が入る。 その後精密検査を受け「やっぱり再発していたよ。」と短いLINEが入る。 あぁ、8カ月で癌が再発か・・・。 昨年12月に5時間半の手術を終え、2月~10月まで術後の身体の声を聞きながら働くことも楽しむこともできていたのだが、残念ながら癌が再発してしまった。 「あぁぁ。」と返す言葉が見つからない。夫も気

    • 「おくやみコーナーがあるならば」vol.3

      7月、8月と暑さを調整しながら、抗がん剤も量の増減はあれども順調に投与。仕事は職場に術後の働き方を相談し新しい働き方ができるようになった。食べものも生ものや冷たい飲み物などを控えれば、家族と共に楽しめる食事も多くなってきた。  定期健診は毎回結果をドキドキしながら聞くことになるが、目先の数値に一喜一憂するだけでなく、検査前後の流れや生活の状況など生活トータルで見てもらえるナースさんがいることで、不要な悩みはずいぶん減った。疑問に思うことは夫も医師に尋ねる習慣が少しずつ出てきた

      • 「おくやみコーナーがあるならば」vol.2

        術後、癌がミクロレベルで体内に残っていることも想定して、症状はないものの抗がん剤を服用しながらの生活が始まった。 薬の影響で体調の揺れはあるものの、勤務などオンタイムに関しては自分で体調コントロールができるようになった。 帰宅するとオフタイム。ここは自由度が高い。そうなると疲れた時にイライラを大声に変換してしまう思考がコントロールできなくなる。 今までであれば「そんな大きな声で言わないでよ」と言うと「だって、〇ちゃんができていないから注意しただけだよ。」と「でも・だって・ど

        • 「ママは良い人生なの?」

          夫が緊急入院した。突然黄疸がでて病院へ。 コロナ禍の入院。夫から「入院グッズを管理人に渡して。」とだけLINEが来る。病状は全く分からず。コロナめ・・・。  数日後病院から病状説明の連絡が来る。久しぶりにボサボサ髪の夫と待合室で会う。お互い他愛もない日常のことを話す。名前を呼ばれ診察室へ。「何かが原因で黄疸が出ている。胆汁を体外に出す必要があり、その後手術の可不可がわかる。この病気の治療法は開腹外科手術のみだ。」と説明を受ける。(最悪、死ぬの?)夫の存在感が急に大きく感じる。

        「おくやみコーナーがあるならば」vol.4

          【おくやみコーナーがあるならば】vol.1

          「すべての命が、家族的なつながりの中で地域で始まり最後まで過ごしてほしい。」ナースさんとの出会いはこの言葉からだった。 2022年の冬、コロナの真っただ中で出会った人。 夫が胆管がんになり、大きな手術を受け、退院し術前の生活にできる限り近い状態を我が家の生活との距離感を自由自在に保ちながら作ってくださった方。( ※その流れはここに書き留めている。37話もあるのだが、もしご興味のある方はこちらからどうぞ。https://note.com/yoko6226/n/n352add

          【おくやみコーナーがあるならば】vol.1

          【2日目のカレーが美味しいのに】Vol.1

          障害のある人を育てている親は少なからず「自分が死んだ後の彼らの生き方」を考えている。 今ある福祉の制度を使って、彼らが心配なく生きて行けるように。 私もそう思っていた。 親亡き後、この家に姉妹で暮らすことはあまり現実的でない。次女の生き方を尊重することで、長女の人生に大きな負担と不自由を負わせることはしたくない。 となると、施設入居、グループホーム、ヘルパー制度を利用した一人暮らしか。なぜか私はこれらの制度を利用した住まいに乗り気になれない。次女がそこで暮らしている様子

          【2日目のカレーが美味しいのに】Vol.1

          「ママは良い人生なの?」Vol.37            ~最終回~

          年度も変わり、夫の生活も安定してきた。仕事も入院以前とあまり変わらないペースで働けるようになっている。 術前や術後直後の彼と今の彼の思考は大きく変わった。 (今の自分はどういう気持ちなのか。) (今の自分の体の調子に変化はないか。) この2つの問いに敏感になったのだ。大病前はありたい自分に寄せていくように心も体もコントロールすることを好んでいた。そのために無理をすることにも抵抗が無かった。優先順位の変更がとても苦手で家族にもそれらを強要することが多く、思うように進まない周り

          「ママは良い人生なの?」Vol.37            ~最終回~

          「ママは良い人生なの?」Vol.36

          内科クリニックで治療への不安や今後の生活に関する相談した日から約10日後、夫は手術を行った病院に定期検診に行き血液検査、栄養指導、外来診療を受けた。 と言っても私は同行していない。夫はナースさんと一緒だ。内科クリニックでの話しの内容、今後の治療をどうするかについて担当医師に伝えた。ここから先に書くことは、夫が帰宅してから伝えられた内容だ。 まず、医師は内科クリニックの先生からの返信の手紙を読んで夫の心境がわかったのかとても明るい表情だった。「無表情が印象的だった先生に笑顔

          「ママは良い人生なの?」Vol.36

          「ママは良い人生なの?」Vol.35

          まず、今回こちらの内科クリニックに伺った理由を説明した。 「コロナ禍に入院したことで、本人や家族が医師の説明を一緒に受ける機会が限られています。共通理解をする場が持ちづらいので色々な判断をする際に不安な状態になりました。ですので、セカンドオピニオンというよりも今までの経過を医師と振り返る機会が欲しくて伺いました。もし、入院前にかかりつけ医がいれば、そこに伺ったであろうことを求めてこちらに来ました。」 珍しいパターンでの受診かもしれない。しかし、ご自分も大病をなさった医師だ

          「ママは良い人生なの?」Vol.35

          「ママは良い人生なの?」Vol.34

          まず、今かかっている病院の相談窓口に「セカンドオピニオンとしてこの内科医に行きたいので、症状など情報を共有させてほしい」と相談した。相談員の看護師はとても協力的だった。医師との間に入り、相談内容を伝えてくれる。 すると、話しを聞いた医師は納得がいかないという返事をしていた。専門病院でもない総合病院でもない小さな町医者に何を聞くのだ、理由は何か?と想像がつかないようだった。 ナースさんが窓口の担当者に再度医師に伝える内容を説明をしてくれた。 「新しく治療を受ける先を探すのが目

          「ママは良い人生なの?」Vol.34

          「ママは良い人生なの?」Vol.33

          願うようなやり取りができない入院環境に納得が行かなかった私は、夫に「セカンドオピニオンの必要性」を何度かLINEで伝えていた。治療に関しては医師の言うなりになるだけではなく、患者も積極的に意思表示すべきだし対話をする方が良い。体の弱い次女のそばで20年間通院や入院に付き添ってきた経験値がそちらのシグナルを鳴り響かせるのだ。 コロナだから黙って言うことを聞いておこう、で済ませてよいものなのか。彼の人生の選択肢を狭めてもよいものなのか。夫の人生なので彼が決断することだとは思って

          「ママは良い人生なの?」Vol.33

          「ママは良い人生なの?」vol.32

          コロナ禍の入院とは、入院患者と家族はほとんど顔を合わせることなく接点を持たずに過ごす期間になるということ。よって自宅で待つ家族と医師はほとんど会えない。 私が夫の主治医と会って話をしたのは入院時と手術時、そして退院時の3回だけだ。病棟看護師とも「荷物の受け渡し」で数秒会うだけ。そもそも病棟に長時間居ることができない。コロナが与えた「会えない」という状況が与えた影響は非常に大きい。人と人との対話が少ない環境では、お互いの考えや気持ちの行き違いが出やすい。数少ない情報で全てを理解

          「ママは良い人生なの?」vol.32

          「ママは良い人生なの?」Vol.31

          家族が夫の身体について知識を得ることで、本人が気が付かなくても察知できるようになった。この受信アンテナが生まれたことが様々な身体の変化の早期発見・早期対応に繋がる。 退院してすぐの貧血対応。多臓器切除が引き起こす血糖値の大きな変動。低血糖から来る体調不良など、ナースさんのアドバイスがなければ何度躓いたことだろう。専門的な知識は危険回避をし悪化の予防そして回復を助ける。 「本当に手立てを考えて実践しながら仕事に復帰できて良かったです。ナースさんありがとうございます。」諸手を

          「ママは良い人生なの?」Vol.31

          「ママは良い人生なの?」Vol.30

          効果てきめんだった。 夫が退院後に初めて職場から1人で帰宅した日、ナースさんも入っているグループLINEにメッセージが届いた。「職場で合間にラムネを5個食べました。マスクなので口に入れていても誰にもばれないので助かります。食べたらすぐに良い気分になり動きやすくなりました。」 「今日は、1人で無事に帰宅しました。職場を徒歩で出て駅までの半分の地点にスーパーがあり、そこのイートインコーナーで一息つきました。それから、駅構内の地下1階のイスで酸素飽和度と脈拍数をチェックしました。

          「ママは良い人生なの?」Vol.30

          「ママは良い人生なの?」Vol.29

          「昨夜のやりとりの記録、とても大事です。理由を聞くとなるほどなと思われるでしょう。そしてご主人の身体に起きていることの影響をご本人もご家族の皆さんも少しでも知ると楽になれることもあると思います。」 そうなのか!術後に起こりうる症状の一つなのか! 理由と対策がわかれば夫の感情に振り回されることも減りそう! とにかく驚くことばかり。 「あまり焦らずに。お話を伺いながら伴走していきますよ。長いおつきあいをしましょう。もう少ししたら 主観と客観のスペースを分けたノート記入も良いか

          「ママは良い人生なの?」Vol.29

          「ママは良い人生なの?」Vol.28

          お休み二日目。夫は家の周りを散歩したり、在宅でできる仕事をしたりと緩やかな生活をしていた。 「のんびりしたい」と口では言うものの、几帳面な性格の夫。周りが自分のリズムと違うと気になるタイプ。そんな彼がゆったりした生活をしているのは療養の視点からも大切。今日も一日気持ちよく過ごせたようで安心していた。 そんな穏やかな夕方。夫は「寒い寒い。」と言いながらこたつに入りテレビを見ている。長女も帰宅していて仕事帰りの私と一緒に晩御飯の準備を始める。次女はYouTubeを見てのんびり

          「ママは良い人生なの?」Vol.28