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「ママは良い人生なの?」Vol.29

「昨夜のやりとりの記録、とても大事です。理由を聞くとなるほどなと思われるでしょう。そしてご主人の身体に起きていることの影響をご本人もご家族の皆さんも少しでも知ると楽になれることもあると思います。」

そうなのか!術後に起こりうる症状の一つなのか! 理由と対策がわかれば夫の感情に振り回されることも減りそう! とにかく驚くことばかり。

「あまり焦らずに。お話を伺いながら伴走していきますよ。長いおつきあいをしましょう。もう少ししたら 主観と客観のスペースを分けたノート記入も良いかもしれません。周りから言われたこと、なども書き込めると良いですね。自分の主観だけだと残らない「家族のいる豊かさ」も書くことで残ります。 そう考えると喧嘩も大事ですよー。」

夫には「新しい生き方」を求めていながら私自身の彼に対する感覚は全くアップデートしていなかった。急に怒り出した彼をみて「変だ」という感情はあったものの、知識が無いのでそれ以上寄り添うことはできていなかった。むしろ感情のままに生活している彼に対して不満材料が増えた、と感じたくらいだ。

「取り急ぎ、低血糖についての資料を添付しますね。読んでみてください。」と資料が送られてきた。

低血糖とアドレナリンの関係について。

血糖値がある一定の値になると身体は血糖値を上げようとする。まず初めに交感神経症状が生じる、とある。症状としては以下の通り。
◇冷や汗
◇ 悪寒
◇不安
◇ イライラ
◇頻脈
◇ 手足の震え
◇顔面蒼白
◇ 手のしびれ
◇足がつる
症状には個人差があり、上記の症状は低血糖の初期症状だ。早めの対処が望ましい。

上記の内容を見ると、夫は「寒い寒い」と言ってこたつに潜り込み始めた。
◇悪寒がする、寒いと感じる、の項目がまずヒットする。体を動かすためのエネルギー源となるブドウ糖が足りないと低血糖となる。エネルギー源が不足している状態は体温を保てずに低体温になったり、悪寒を感じてしまうことが多くなってしまうのだ。納得。

◇不安な気持ちが大きくなる、も思い当たる症状だ。低血糖になると、血糖値を上げるために様々なホルモンが多く分泌されるようになる。分泌されるホルモンの1種である「ノンアドレナリン」は、感情の変化に大きな影響を及ぼすホルモンだ。このホルモンは神経伝達物質ともいう。ノンアドレナリンが過剰に分泌されることで不安感を増大させてしまうなど感情に悪影響を与えてしまう、と書いてある。
はぁ、こちらも納得。あれこれ上手くいかないことばかり目に着きそれを安心できる状態に変えたくてたまらないようだったのだ。

◇イライラする
不安な気持ちが大きくなることと仕組み自体は同じ。低血糖になることで多く分泌されるホルモンの1種である「アドレナリン」は、イライラするといった感情の変化を与える。こうした感情の変化は集中力の低下を招いてしまう恐れもある。お腹が空いてイライラする人は低血糖の症状であることも考えられるため、注意が必要だ。とある。

◇異常にお腹がすく
異常にお腹がすくという症状は低血糖の症状である可能性が高い。脳には「摂食中枢」という神経があり、低血糖になると糖(食事)を摂ることを命令するからだ。そして、これらの症状は交感神経症状なので食事を摂ると改善する。夫は食事をし始めて数分するとすぐに機嫌が良くなった。その様子が不自然で違和感を感じたほどだ。

夫は臓器をかなり摘出したこともあり、血糖値を安定してキープすることが難しい身体になっている。なので、今までのように3食食べる時間に食べたいなと思う量(昔より少ない)を摂るだけでは一日を通して様々なホルモンの働きを順調にコントロールすることが難しいのだ。

急激に空腹になり、寒くなり、不安になり、イライラする。自分でも気が付かないうちに。これは辛いだろう。慣れるまでに色々な工夫が必要だ。

ナースさんから具体的なアドバイスも届いた。
「低血糖にならないために普段から意識して取り組めば未然に防ぐことができます。ここでは普段からできることを6つ紹介しますね。どれも簡単なことです。普段から意識して心がけるようにしましょう。」

まず、自分が低血糖になりやすい状況を覚えておくことが大切。自分ではよくわかっていないようなので、周りの人が気が付いた時に声をかけると傾向がわかってくる。そうすることで早期に対処できるようになってくる。

ちなみに低血糖になりやすいタイミングは以下の通り。
• 空腹時
• 食後3~5時間
• 睡眠時
• 飲酒後
• 入浴後
• 運動後

夫は食間だ。食後3時間~5時間と言う項目がピッタリ合う。朝起きて、朝食を食べ仕事に行くとしたら、職場の最寄駅に着く頃が3時間経つ。そこで糖分を摂る必要がある。そして、運動(通勤歩行)は術後の彼にとっては負荷の高い運動になるので、休息時間を設けることも必要なことが分かった。最寄駅から職場まで、2度の休憩場所を確保する。休憩時間に捕食を採り、血糖値を安定させ脈を測定し落ち着いたら動くようにする。

小さなおにぎりを数個持ち歩き、通勤途中の休憩ベンチに座っておにぎりを食べてはまた動く。その習慣をつけるように心がけた。仕事の合間などおにぎりを食べられない状況の時や、手早く血糖値を戻すときはブドウ糖を摂取することにした。他の栄養素に比べ早く吸収されエネルギーになるのだ。すぐにコンビニに行きラムネを購入した。昔駄菓子屋で売っていたような小さな粒の物もあったが一粒が飴サイズのラムネも売っており、数個口に入れると舐め終わるころには気持ちも落ち着くらしい。

なにごともやってみる価値はある。早速翌日の仕事の帰りに上記のアドバイスに従って自分でどこまでできるかトライすることにした。

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