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「ママは良い人生なの?」Vol.36

内科クリニックで治療への不安や今後の生活に関する相談した日から約10日後、夫は手術を行った病院に定期検診に行き血液検査、栄養指導、外来診療を受けた。

と言っても私は同行していない。夫はナースさんと一緒だ。内科クリニックでの話しの内容、今後の治療をどうするかについて担当医師に伝えた。ここから先に書くことは、夫が帰宅してから伝えられた内容だ。

まず、医師は内科クリニックの先生からの返信の手紙を読んで夫の心境がわかったのかとても明るい表情だった。「無表情が印象的だった先生に笑顔が見られて今までとは別人のようだった。すごく話しやすかった。」と言っていた。

医師との会話に変化が見られたと言うことは、きっと夫の表情にも変化があったからではないか、と思う。内科クリニックでの時間が不安を軽減し、心が軽くなった状態で診察が受けられた。治療は医師だけがするものではない。患者側の心の変化が鏡のように医師に映ったのかもしれない。相手に期待してしまうと、お互いにいつも相手に何か足りないと思うばかりで満足感を得にくい。 言わずに期待するのではなく、相手に伝わる形で気持ちを伝える努力を双方共がする必要があるのだ。

入院中、夫に「お利口に病院側の言うことを聞くだけじゃなくて、質問や疑問をぶつけることも大事だ」と伝えていたことの意味を退院してからようやく理解したようだ。

「投薬をします。手続きをお願いします。」夫は迷いなく医師に伝えて更なる治療に踏み込むこととなった。

ナースさんはその薬の副作用を事前に調べ、予防できる処方や手段を伝えてくれていた。あくまでも「保険」であってその必要があるかどうかはわからない。備えあれば憂いなし。何度もナースさんに助けてもらっている我々はその予防が「安心感」だと理解している。

投薬が始まった。

仕事を徐々に増やし、家でのルーティン(朝、土鍋でご飯を炊く・洗濯物を干す・庭の水やり・犬の餌やり)も入院前と同様に動いている。薬を飲むことで体調に変化が来ると困る・・・と心配していたが、体調に変化は見られず順調に生活を送ることが出来ている。

血液検査の結果も変化なく、ナースさんへの連絡も数日に1回、数週間に1回と徐々に間隔が空くようになってきた。

「お変わりないですか?」とナースさんから時々連絡がくることで、「あ!この1週間ナースさんに何も伝えていなかった!!」と気が付き、慌てて近況を伝えるほどだ。ナースさんは「体調が良い時も悪い時も伴走しますね。」と言ってくださった言葉通りに私たちのそばにいてくれる。

健康とは「身体的」「精神的」「社会的」な多方面からの関係が絡み合っている。「身体的健康」は、術後の傷跡も少しずつ薄くなり筋肉も付き始めて体力が戻ってきた。「精神的健康」はナースさんや内科クリニックの医師のおかげで心折れそうな時、不安や悩みを抱えた時に的確なアドバイスを頂き、心の平安を保つことが出来た。「社会的健康」は仕事復帰も良いペースででき、社会との関わりも入院前と同様に行っておりリハビリ生活から脱出し始めた。

彼の入院途中からの様々な出会いが、健康で健幸な生活に導いてくれていたのだと実感している。

私の心も身体もずいぶん軽くなってきた。

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