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「ママは良い人生なの?」Vol.34

まず、今かかっている病院の相談窓口に「セカンドオピニオンとしてこの内科医に行きたいので、症状など情報を共有させてほしい」と相談した。相談員の看護師はとても協力的だった。医師との間に入り、相談内容を伝えてくれる。
すると、話しを聞いた医師は納得がいかないという返事をしていた。専門病院でもない総合病院でもない小さな町医者に何を聞くのだ、理由は何か?と想像がつかないようだった。

ナースさんが窓口の担当者に再度医師に伝える内容を説明をしてくれた。
「新しく治療を受ける先を探すのが目的ではなく、実はこの病院の医師は、◇さん(夫)と同じような手術の経験をしておられ、回復後に再び医師として医療に従事なさっておられる方です。実際に術後、退院後、数年後・・・と経験を踏まえた視点と医師との観点から、◇さん(夫)の治療のことも含め一緒に相談に乗ってもらいたいと思っているのです。」

医師は理由を聞いて納得してくれた。ただし「ご本人が実際にもう一度受診すること。その時に話を聞いてから対応します。」と言う返事だった。

夫はすぐに外科の予約を取り、受診した。「ナースさんや妻の言いなりになっているのではないか?」と医師は夫を心配していた。夫は治療をしたいのに周りの人間の考えで治療に取り組ませてもらえないのではないか、と懸念していた様だ。今思えば、何となく医師の気持ちはわからないでもない。機関銃のように話す妻が同行しなくなったと思ったら、医療従事者でありながらフリーの看護師が受診時に必ず傍について来る。(この夫、そうとう頼りない人なんじゃないか?)と夫の援護をしてくれようとしたのかもしれない。

「私の意志です。」と伝え医師は納得し、手紙をその内科クリニックに郵送してくれた。

数日後、病院前のパーキングでナースさんと待ち合わせをした。住宅街の一角にある内科クリニックだ。診察が終わった後に話しを伺いに診察室に入った。

「この度はお話聞かせていただきありがとうございます。よろしくお願いします。」と言って頭を上げると、その先生は思ったより若い男性の方だった。
「〇〇病院からの手紙、読みましたよ。大変でしたね。私からお伝えできることはお話しますよ。術後の経過はどうですか?」と初めて会ったにもかかわらずオープンマインドな雰囲気で話しを進めてくれた。

機関銃のようにたくさん質問するつもりで腕まくりしていた私だったが、先生の柔らかい口調に安心し、(たぶん今日私は必要ないな)と傍に座り話を聞くことにした。

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