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「おくやみコーナーがあるならば」vol.2

術後、癌がミクロレベルで体内に残っていることも想定して、症状はないものの抗がん剤を服用しながらの生活が始まった。
薬の影響で体調の揺れはあるものの、勤務などオンタイムに関しては自分で体調コントロールができるようになった。
帰宅するとオフタイム。ここは自由度が高い。そうなると疲れた時にイライラを大声に変換してしまう思考がコントロールできなくなる。

今までであれば「そんな大きな声で言わないでよ」と言うと「だって、〇ちゃんができていないから注意しただけだよ。」と「でも・だって・どうせ」の3Dが頭文字に来る返答が返ってきていた。気分次第で特定の相手に対応が変わるのは家族が共に暮らすうえで精神衛生上良くない。
もちろん私も言い訳をしたりごまかしたことはある。しかしその自覚があるかないかは大きく違うと思う。

ナースさんとのやり取りに関して現時点で2つのLINEグループがある。一つは夫とナースさんと私の3人グループ(これは後に長女も入り4人グループとなる)。もう一つは私とナースさんがやり取りをするLINEだ。これは夫をのけ者にすることが目的ではない。「YOKOさん、どこにもぶちまけられない悩みや不満をここに出して。」と全て墓場まで持っていくつもりで(大げさだけど)何でも書いて良いですよ、と決めたものだ。

「夫が疲れた時に周りの弱い者に大きな声をあげることをやめてほしいが、上手く伝えられない。そして、なんとなく彼もそのことを私に言われることが嫌で何とかしたいがどうにもできないような辛さも感じる。」ナースさんに呟いた。

それは生まれ持った性格の一部であって、術後余力のない身体がどうしても助長してしまう。彼の性格が悪くなったわけではない。術後際立って見える症状の一つだとナースさんに教えてもらい、彼の状況にすぐに大きく反応する私自身の思考のクセにも気が付いた。
そうだ、伝える言葉を変えよう。今までは「なんでそんな言い方するの?」だった。そう言うと「そんなことない!」の拒絶反応になってしまう。「今の口調キツいんだけど、それって体調悪いから?」と尋ねると彼もハッとするようになった。「あぁ、疲れてるのかな。ちょっとベッドで休むね。晩御飯は食べないかもしれない。」と自由に過ごす言葉を発するようになった。

抗がん剤治療は2クールを無事に終えた。ナースさんのお宅が造園業をしていることもあり、体力的に庭の手入れがなかなかできない夫の希望も整えていただく。

夫:庭のお手入れはとてもきれいです。庭を眺める楽しい時間を過ごしてます😃😃ありがとうございました😄」

ナースさんとのやり取りにも余裕が出てきた。そして術後初めての夏がやってくる。今年も猛暑が予想される。

ナースさん:抗がん剤治療にいたるまでのいろいろでSさん(※夫)に知識がつき検査の必要性やその数値で注意すること安心できることの理解が深まり継続的に自発的な治療への参加への意欲につながってらっしゃるなと感じます。先生の説明も具体的な感じでされているようですよね。
術後初めての夏です。今年は新生活の新入社員の気持ちで一年目は慣れるのを確認しながら慎重に完全にペースを掴むには、3年はかかるかなーというようなゆったりした気持ちで進まれたらいいのでは、と思います。夏はほんと要注意です。朝ごはんに十分な塩分とミネラル万病は脱水からおこりやすいのでほんとに熱中症予防は今年はいつもより気をつけてください。少しずつこまめに水分補給をお願いします。熱中症対策と注意すべき症状をお伝えしますね。あと、もう厳密な食事管理については言われてないのではないかと思いますので、熱中症対策で積極的にとって欲しい食材や食事のタイミング等もお伝えできればとおもいます‥

夫:ご丁寧な説明でわかりやすく、納得しました😃3年間の中で、じっくりとゆったりと生きて行きます。今年の夏は、脱水症状に気をつけて、水分をまめにとります。
ご配慮ありがとうございます!

あぁ、私は読むだけでよいのだ。起こりうる危険なことを知識として知り、夫の理解度を知る。その後は様子をみる。

ナースさん:年齢的に「高齢者」ではありませんが、体の機能の急な低下のレベルは手術の影響で「高齢者」の対策くらい慎重にしてもらったほうがいいと思います。

□なんとなく元気がない、言葉数が少ない
□落ち着きがない
□食欲がない
□眠りがち
□便が硬くコロコロしている
□脈が速い
□舌が乾いている
□手足が冷たい
倦怠感が持続したり疲れやすい、ぼんやりしているなども気を付けて。
 とにかく、症状が出てからでは遅いので、3食規則正しくかつ特に朝ごはんできちんと塩分をとることが要になります。朝、必ず塩分多めの汁ものがおすすめです。塩分をとらないまま水分を多量にとらないことも要注意ですね。あとは、こまめに飲むこと。

夫: とても参考になります。 自分自身に対する評価は甘いので、この夏は、高齢者の視点で生活をします!もちろん、病人だという意識はいつもあります。

ナースさん:でも今日偶然お会いできたとき、顔色も表情もとても良くて嬉しく思いました!

夫:それは嬉しいです😄😄  これから、少しずつ運動を増やしていきたいと思います☺

夫とこの様なやり取りをしつつ、私には「こういう食事が良いですよ」と食事リストのURLを別便で送ってくれる。

ナースさんが関わることで「私が決めなくてはならない」ことが大幅に減り私のQOLが上がった。段取りが取りやすくなり仕事に集中できる時間が増えた。 

良い時もサポートする、と話しておられたのはこういう予防面もあるのかとナースさんの介入により夫と自分の相乗異常の変化に驚く。


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