垣渕 洋一
啓発活動、学会参加などの記録を公開します。
情報発信を始めた経緯 いつの間にか医師歴が30年を超えるようになり、後輩の指導や社会に向けて啓発する仕事が増えています。講義や講演のスライドを沢山作ってきましたが、せっかく作ったのに、1回講義をしてお蔵入りになっているのは勿体ないものです。 また、患者さんや家族に質問された際、言葉で伝えるより、ネットで公開されている資料を見てもらった方が良いことがあります。その場で、検索しても、すぐには出て来ず、もどかしい思いをすることがあるので、リンク集や私が作った資料をネットで公開して
2017年11月に出版された本書が日経BPから文庫化されました。 著者の葉石かおりさんがアルコールに関わる様々な領域の医師に取材し、エビデンスに基づいて書いた本です。 私は以下の記事の取材を受けました。 ・第3章 飲んで病気にならないためのルール <顔が赤くなる人、ならない人は何が違う> ・第7章 絶対NG! 危険な飲み方 <恐ろしいアルコール依存症の末路> 葉石さんの「酒ジャーナリスト、エッセイスト 一般般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション理事
日本では、アルコール依存症の治療薬は、長らく抗酒剤だけでしたが、2013年にアカンプロサート、2019年にナルメフェンが治療薬として使えるようなったという進歩がありました。 しかし、臨床の現場では、本気で断酒しようとしても失敗を重ねてしまう人に対し、「次の一手をどうするか?」について本人も家族も治療者も、とても悩むことが少なくありません。 アルコール依存症の治療は、薬物療法にしても認知行動療法にしても、有効性が伸びる余地が大きく、より良い方法を模索する毎日です。 な
日本アルコール関連問題学会には各地域に地方会があり、当学会は、その1つです。 2022年12月4日(日)、筑波大学で行われた第6回学術総会に参加しました。 参加者はオンラインですが、登壇者は、選ぶことができるので、私は現地に行き、教育講演(B会場の最初のプログラム)を行いました。内容は「これまでアルコール関連問題に関心はあったが学会に参加するまではいかなかった方々(医師、看護師、保健師など医療保健福祉関係者)が聞いて、「明日から仕事で使ってみよう」と思えるような講演
Twitterで紹介されていてピンとくるものがあり購入&読了しました。11月1日に出版された出来立てホヤホヤの本です。 依存症者は、定型発達者であっても、背景に信頼障害があるため、出会った頃は強烈な不信感を向けられるのが普通です。その壁を乗り越えるのに、年単位、時には10年単位の時間がかかることもあり、しんどい想いをすることもままあります。 しかし、一度、壁を乗り越えてしまえば、強い治療的な愛着関係が形成され、支援者としての甲斐を感じる機会も多いのです。壁を超えるために
依存症の治療に専門性のある医療機関では、必ずと言っていいぐらい、家族教室や家族ミーティング(スタッフが司会をして、家族同士が体験をわかちあう集まり)が行われます。当センターでもコロナ禍になる前は、毎週金曜午後に行っていて、毎回、20名近い方が参加していました。コロナ禍になってからは頻度は減ったもののオンラインで続けています。 必須とも言える理由があります。私が家族教室で使っているスライドを使って解説します。 家族依存症が進行すると、家族、特に同居している家族は悶々とし
最近、指導医として後輩にCBTについて教える機会があったのを機に、CBTを学ぶのに良い本を整理しておこうと思い、読書メモを公開します。 エビデンスのある精神療法といえばCBTをおいて他にはなく、依存症臨床にも応用されています。 アルコール依存症の場合、大量飲酒していた期間の記憶が乏しかったり、断酒開始期はアルコールの影響で脳が元来の性能を発揮できないので、認知面のアプローチは効果を上げにくく、行動面からのアプローチがメインとなります。 ここで問題となるのは、「断酒っ
10月16日(日)断酒会の第59回全国大会@奈良県天理市に参加しました。全断連(全日本断酒連盟)が主催する全国大会です。 北海道から沖縄まで全国から集まった仲間達と会える年に一度の大事な機会ですが、コロナ禍で2年、中止となりました。その間、オンラインで会う機会はあったとしても、やはり対面で会って受けるパワーにはかないません。 我が家から会場まで5時間近くかかるのでので、奈良市内に前泊したかったのですが、満室のため、京都市内のホテルに泊まり、当日朝、近鉄で天理駅を目指しま
全日本断酒連盟・関東ブロック協議会が主催する<断酒School 2022>で、支援者として励ましのメッセージを伝えさせていただきました。 まずは感謝の意をお伝えしました。 断酒会は、長年にわたり、多くの当事者、家族を支えてくれました。 医療者は、皆様の回復の姿を見ることから、希望を見出し、多くのパワーを受けてきました。それにより解かれた誤解と偏見も多いのです。 また、当事者・家族・支援者にとって長年の悲願であったアル対法(アルコール健康障害対策基本法)ができ、
依存症の臨床、支援、研究に関わる全国規模の学会である日本アルコール関連問題学会(略称:JSARP)と日本アルコール・アディクション医学会(略称:JMSAAS)の2つは、近年は合同で学術総会を開いています。 筆者は、2003年に依存症臨床に携わるようになってから欠かさず参加しており、9月8日~10日まで仙台で開催された学術総会に参加してきました。 精神科全体から見るとマイナーな分野で、他の分野から理解されにくい部分も多々あるため、毎年、志を同じくする人達に会える学会は、研
医療からみた12ステッププログラム・テーマ: 医療からみた12ステッププログラム ~霊性を重視する意義などについて~ ・イベント名: ジャパンマック連続講座 「依存症からの回復について考える」 第16回 ・主催:ジャパンマック ・方法:オンライン ・実施日:2022年4月22日 ・参加者:アルコール依存症の当事者、家族、支援者、関係者など。 ・コメント: 当センターにとってジャパンマック(みのわマック、RDデイケアセンター、オ'ハナなど)は長年連携してきた欠
お酒を飲む人の9割が知らない「アルコールは嗜好品」という大間違い というタイトルでダイヤモンドオンラインに書評が出ました。 執筆に際し、ビジネスパーソンは、特に活用していただきたかった層なので、ダイヤモンドオンラインに書評が出たのは嬉しいです。 書評によって、256ページある拙著の焦点を当てる部分が違っていて興味深いです。 本書評では、「アルコール=嗜好品と理解されているが、実は薬物である」ことや、ストロング系の危険について紙面をさいています。 コロナ禍で歓送迎会
医師が教える減酒のコツ ・メディア名: 日経グッデイ ・媒体:ウェブ ・公開日:2022年2月8日 ・主な対象:酒害・酒量が気になる人 ・解説: 取材し、記事を書いて下さったのは、葉石かおりさん。酒ジャーナリストの肩書を持つ方です。 『酒好き医師が教える 最高の飲み方』という本を2017年に出されていて、丁寧に取材していただいた記事が収録されています。 仕事柄、飲酒する機会は多く、前著の取材の際も、「自分も飲み過ぎることがあります」とおっしゃっていました。 本記事中で
出版社から韓国語版が送られてきました。 装丁が全く違い、日本語は縦書きでしたが、韓国語版は横書きなので、一見、「これは、本当に、自分が書いた本か?」と思いました。パラパラとめくっていくと、図表のデータは同じでも、見せ方が違ったり、イラストも違います。 文章はどうでしょうか? 書名の、슬슬 술 끊을까 생각할 때 읽는 책 は、日本語を忠実に訳していますね。 슬슬=そろそろ 술=お酒 끊을까=やめようか 생각할 때=考える時 읽는 책=読む本 슬と술は日本人は音
2021年12月15日、韓国語訳が出版されました。出版してから、ちょうど1年です。 中田敦彦さんが紹介して下さった少し前の5月中旬に、韓国の出版社から「韓国語訳を出版してみませんか?」と青春出版社を通して提案があり、すぐに承諾しました。 というのも、韓国の飲酒文化は日本に比べても激しいです。 OECDによる韓国の公衆衛生のレビューに「2.1韓国では有害なアルコール使用は公衆衛生上の問題である」という章があります。その中に Figure 2.9. Prevalence
Amazonのレビュー数が、10月27日に500を超え、現在、566となっています。 11月に第9刷が出ました。 伊藤絵美先生から素敵な書評をいただき、嬉しかったです。 十数年前ですが、伊藤先生が所長である洗足ストレスコーピング・サポートオフィスで行われた認知行動療法の入門講座に参加しました。以来、ファンになって、著書を読んで、依存症の臨床に応用してきました。拙著にも、その成果を盛り込みました。それを分かって下さったのが嬉しく、とても励みになります。 そして、