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【読書メモ】依存症・トラウマ・発達障害・うつ 「眠り」とのただならぬ関係

 日々の臨床の中で、睡眠薬を処方しない日は1日もないぐらい、精神障害と「眠り」の問題は深く関わっています。
 入院の前日まで、あるいは当日の朝まで飲酒していた人は、アルコールが鎮静作用の強い薬物なので、入院して断酒すると、脳が「重石がとれた状態」となって興奮してしまい、不眠がほぼ100%出現します。
 入院診察時に、「お酒切ったら、眠れなくなるのが一番心配です。飲んだら直ちに倒れ込むように眠れる薬を出してください」などと話してこられる方がたくさんいます。
 入院後も不眠が続くと、それが飲酒の引き金にもなったり、「こんなに眠れないんじゃ、入院している意味がない」とさっさと退院してしまう場合もあります。逆に、嫌々入院した人が、薬物療法が著効して、「久しぶりにぐっすり眠れた」ことが、入院全体に対する満足度を大きく高めることがあります。
 本人にとっては、断酒を続けるための第一の関門が不眠からの回復であり、治療者にとっても、1日でも早く眠れるように工夫をしていくポイントです。 
 工夫を積み重ねる中で、アルコール依存症だけをもっている方の睡眠障害に対しては、ある程度、自信をもって治療できるようになりました。
 しかし、治療者にとっても本人にとっても、トラウマ、発達障害、双極性障害など併存する障害があると、難易度が一気に上がります。
 生活上の工夫を凝らし、処方を様々に変えてみても、納得のいく睡眠に至らないことも多々あります。
 そういう悩みを解決すべく作られたのが本書です。
 私は、 
 PART1<アルコール> 寝酒のリスクと断酒後の不眠
 について監修させていただきました。
 他のパートの監修者も、第一線で活躍中の方々です。
 当事者の体験談も載っており、今日から役立つ内容です。