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読書メモ

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【読書メモ】依存症・トラウマ・発達障害・うつ 「眠り」とのただならぬ関係

【読書メモ】依存症・トラウマ・発達障害・うつ 「眠り」とのただならぬ関係

 日々の臨床の中で、睡眠薬を処方しない日は1日もないぐらい、精神障害と「眠り」の問題は深く関わっています。
 入院の前日まで、あるいは当日の朝まで飲酒していた人は、アルコールが鎮静作用の強い薬物なので、入院して断酒すると、脳が「重石がとれた状態」となって興奮してしまい、不眠がほぼ100%出現します。
 入院診察時に、「お酒切ったら、眠れなくなるのが一番心配です。飲んだら直ちに倒れ込むように眠れる薬

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【読書メモ】酒好き医師が教える最高の飲み方

【読書メモ】酒好き医師が教える最高の飲み方

 2017年11月に出版された本書が日経BPから文庫化されました。

 著者の葉石かおりさんがアルコールに関わる様々な領域の医師に取材し、エビデンスに基づいて書いた本です。

 私は以下の記事の取材を受けました。
 ・第3章 飲んで病気にならないためのルール
  <顔が赤くなる人、ならない人は何が違う>
 ・第7章 絶対NG! 危険な飲み方
 <恐ろしいアルコール依存症の末路>

 葉石さんの「酒

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【読書メモ】最後の一杯: 依存症を克服した医師の手記

【読書メモ】最後の一杯: 依存症を克服した医師の手記

 日本では、アルコール依存症の治療薬は、長らく抗酒剤だけでしたが、2013年にアカンプロサート、2019年にナルメフェンが治療薬として使えるようなったという進歩がありました。
 しかし、臨床の現場では、本気で断酒しようとしても失敗を重ねてしまう人に対し、「次の一手をどうするか?」について本人も家族も治療者も、とても悩むことが少なくありません。
 アルコール依存症の治療は、薬物療法にしても認知行動療

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【読書メモ】_おとなの自閉スペクトラム

【読書メモ】_おとなの自閉スペクトラム

 Twitterで紹介されていてピンとくるものがあり購入&読了しました。11月1日に出版された出来立てホヤホヤの本です。
 依存症者は、定型発達者であっても、背景に信頼障害があるため、出会った頃は強烈な不信感を向けられるのが普通です。その壁を乗り越えるのに、年単位、時には10年単位の時間がかかることもあり、しんどい想いをすることもままあります。
 しかし、一度、壁を乗り越えてしまえば、強い治療的な

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【読書メモ】_依存症者の家族にお勧めしたい本

【読書メモ】_依存症者の家族にお勧めしたい本

 依存症の治療に専門性のある医療機関では、必ずと言っていいぐらい、家族教室や家族ミーティング(スタッフが司会をして、家族同士が体験をわかちあう集まり)が行われます。当センターでもコロナ禍になる前は、毎週金曜午後に行っていて、毎回、20名近い方が参加していました。コロナ禍になってからは頻度は減ったもののオンラインで続けています。
 必須とも言える理由があります。私が家族教室で使っているスライドを使っ

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【読書メモ】_CBT(認知行動療法)の基礎を学ぶ書

【読書メモ】_CBT(認知行動療法)の基礎を学ぶ書

 最近、指導医として後輩にCBTについて教える機会があったのを機に、CBTを学ぶのに良い本を整理しておこうと思い、読書メモを公開します。

 エビデンスのある精神療法といえばCBTをおいて他にはなく、依存症臨床にも応用されています。
 アルコール依存症の場合、大量飲酒していた期間の記憶が乏しかったり、断酒開始期はアルコールの影響で脳が元来の性能を発揮できないので、認知面のアプローチは効果を上げにく

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【読書メモ】_人を信じられない病 信頼障害としてのアディクション

【読書メモ】_人を信じられない病 信頼障害としてのアディクション

1、 メモを公開する経緯 本書との出会いは衝撃的でした。書名を見ただけで、「アディクションって、確かに、信頼障害とういう表現がピッタリだ!」と思いました。読んでみて、自分が感じていたけれど言葉として表現できなかったことが、研究によって証明されていたこと、信頼障害からの回復のための具体的な方法もたくさん書かれていることに感銘を受けました。本書が出版された2016年か2017年だったと記憶しています。

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【読書メモ】_ばいばい心の緊急事態 追い求めるのをやめてみた ~「生きづらさのカラクリ」を知って幸せになる方法

【読書メモ】_ばいばい心の緊急事態 追い求めるのをやめてみた ~「生きづらさのカラクリ」を知って幸せになる方法

1、 メモを公開する経緯
 著者(妹尾まみ氏 心理カウンセラー)から献本していただき、読んだところ、これは依存症当事者や家族が回復のために有用な本だと思ったのでメモを公開さします。

2、どんなことが書かれていましたか?
 著者の父は妹尾河童氏です。
 グラフィックデザイナー・舞台美術家・エッセイスト・小説家として大活躍した人です。自身の少年時代を描いた著書『少年H』は上下巻を合わせて300万部以

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【読書メモ】_依存症がわかる本~防ぐ、回復を促すためにできること

【読書メモ】_依存症がわかる本~防ぐ、回復を促すためにできること

1、 メモを公開する経緯
 『依存症のすべてがわかる本』(監修:渡辺登 講談社 健康ライブラリー イラスト版 2007年)という本を診察室の本棚に常備しています。アルコールだけではなく、様々な依存症に共通するメカニズム、対処法についてイラストを豊富に使って分かりやすく説いています。
 患者さんや家族から、「そもそも、依存症ってどんな病気ですか?」とか「お酒が止まったら、ギャンブルに走ってしまいまし

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【読書メモ】 伝わる文章術見るだけノート

【読書メモ】 伝わる文章術見るだけノート

1、メモを公開する経緯 Note、FB、Twitterを始める時の懸念の1つが、校正が入らない文章をネットという公共の空間にさらすこと。
 自分の文章の癖として、「漢字が多く硬め」、「前提条件から丁寧に書こうとするので洒脱ではない」ことを自覚しています。専門誌に寄稿するなら強みになりますが、啓発書を書く時は、弱みです。
 『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』を書く時も、その癖のた

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【読書メモ】 読書は1冊のメモにまとめなさい(完全版)

【読書メモ】 読書は1冊のメモにまとめなさい(完全版)

 本や論文を読む際、マーカーを引いたり、付箋紙を張ることは行ってきたが、それを抜き書きしたり、感動を受けたこと、新しく知ったこと、自分の考えの間違いを修正したことなどを、継続して記録する習慣はなかった。

 診療で解決したい問題があって読書する場合は、その本に、解決に役立つ内容があって、それをすぐに活用すると、患者さんの症状が軽くなったといったエピソードができる。
 例えば、頑固な不安で西洋薬では

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【読書メモ】 大人のトラウマを診るということ(医学書院)

【読書メモ】 大人のトラウマを診るということ(医学書院)

1、メモを公開する経緯 依存症者に機能不全家庭で育った人が多いということは、当然、トラウマを持った人も多いわけで、日常的に出会っています。
 しかし、断酒開始期から、トラウマ関連症状が表面化する人は、なぜか、稀です。年単位で断酒が継続してから表面化した場合、専門外来に紹介して治療をうけていただきます。
 EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocess

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【読書メモ】 サイコメタボリズム(ニューサイエンス社)

【読書メモ】 サイコメタボリズム(ニューサイエンス社)

特集:代謝疾患と精神疾患の交点(サイコメタボリズム)
メディカル・サイエンス・ダイジェスト Vol.45 No.12 2019年

1、メモを公開する経緯 私事ですが、小学校時代、小児喘息で医者通いをしましたが、なかなか治らないので、母が、食養生で何とかしたいと考え、白米を玄米に変えるとか、菓子を制限するとか、様々に工夫をしてくれました。中学生になって、喘息は治癒したのですが、今に至るまで、食養生

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