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目まぐるしい日々に1冊の小説を

目まぐるしい日々を送っていると、ゆったりとした時間が恋しくなるし、ゆったりとした日々を送っていると、目まぐるしく過ごす時間が恋しくなる。

ないものねだりな僕らは、そうやって人生のバランスを取っている。

週5日以上働いて、週2日以下休む。

1週間はあっという間で、平日忙しなく働くと、休日はゆったりと過ごしたくなる。

けれど、家で何もせずぼっーとしていても、ネットサーフィンや動画鑑賞をしていても、物理的にはゆったりしているはずなのに、不思議と残るのは虚無感だけだ。

一応何かしたはずなのに、「ああ、今日も何もしなかった」という罪悪感。

やはり、人間には能動的な行為が必要不可欠で、「ゆっくりする」との行為一つとっても、受動的過ぎてはダメらしい。


「小説を読もう」

そう思い立ってしまうほど、休日の過ごし方が下手だった。

小説なんて、中学時代の朝読書でかじった本と、高校時代に授業で取り扱った夏目漱石の『こころ』くらいしかまともに読んだことがない。

藁にもすがる思いで、書店の小説コーナーへ足を運び、直感的に気になったタイトルの本を手に取った。

何かに憧れていたのか、当時の深層心理は定かではないけれど、『あこがれ』を読んで以来、川上未映子さんを筆頭に様々な小説を読むようになった。

動画ばかり観ていたから、文字を読むのは疲れそうで抵抗があったけれど、全くそんなことはなかった。

むしろ、文字だからこそ能動的に物語を読めるし、結果的にその世界へどんどん惹き込まれていく。

読み終えた後の充実感や不完全燃焼感、消えない余韻、それらを一度味わってしまったが最後、気づけば次の作品を求めている自分がいた。

様々な作品を読んできたけれど、どうやら自分には女性作家の文章が合っているらしい。言葉の選び方や文章から滲み出ている柔らかさが好きだ。

おかげさまで今では「趣味」と言えるくらい、すっかり小説に魅了されている。

文章を読んでばかりいたからか、今度は自分で文章を書いてみたくなって、こうしてnoteに文章を書くようにもなった。

ないものねだりだよな、本当。


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