夏目葉

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夏目葉

バーチャル図書委員書籍、夏目葉です。Youtubeで本に関する動画をアップしております。 Twitterでも随時つぶやき中!

最近の記事

2023年に読んだ本ベストテン

今年わたしが読んだ本で面白かったベストテンです!順不同での10作となります。 原武史『地形の思想史』 土地と思想の深いつながり。特にコロナ禍を経験した今となってはハンセン病についての記述に考えさせられるところ多し。 グレアム・グリーン『権力と栄光』 追われるものの苦闘が描かれる。舞台となったメキシコのカトリックへの迫害の苛烈な描写に圧倒されるのですが、どれくらい現実に即しているのかというところに興味が湧いた。 トマス・M・ディッシュ『SFの気恥ずかしさ』 SF作家

    • 2023 競馬予想の成績!

      Twitter(で今後も通します)でほぼ毎週、メインレースを中心に競馬予想を呟いているのですが、2023年の結果を報告します。 単勝:的中率 9% 回収率 76%  複勝:的中率 23% 回収率 71% う~ん、ちょっとイマイチな成績でしょうか? ちなみに2022年は単勝の回収率が119%、複勝回収率が79%だったので特に単勝は成績悪化してますね・・・自分の予想を振り返ってみると、理屈というよりも応援みたいなスタンスで印をつけているケースも多いので、競馬を楽しんでいる

      • 2022 競馬予想の結果発表!

         Twitterでほぼ毎週、メインレースを中心に予想を呟いていたのですがその的中率がどうなったか? ということで6月が終わった時点で中間報告をしました。いよいよ2022年の競馬も締まりましたので最終結果の報告をいたします! 上半期の記事は以下リンクにあり。 夏目葉の予想と弁明(上半期の競馬予想を振り返る)|夏目葉|note 2022年の回収率発表!  基本的に本命一点勝負で予想をあげている(一部例外あり)ので、◎をつけた馬に単複100円ずつ賭けたと仮定したときの回収率で

        • 『武蔵野夫人』の鉄道

          『武蔵野夫人』の中央線  大岡昇平『武蔵野夫人』は〈はけ〉と呼ばれる崖地に住む人々の不貞を描いた作品であり、大岡の代表作の一つとされている。  〈はけ〉は国分寺崖線とも呼ばれ作中の冒頭に詳述される通り、東京の西部、鉄道でいえば「中央線国分寺駅と小金井駅の中間」にあり といった地形なのである。本作はその〈はけ〉の日当たりのよい高みに建つ家の住人である秋山家とその近隣に住まう大野家にまつわる不貞を軸として展開される。時代設定としては作中に明確に「終戦三年目の六月」をはじまりと

        2023年に読んだ本ベストテン

          夏目葉大賞 2022上半期編

           2021年末に、その年にわたしが読んだ各ジャンルの中で最も優れていた本を表彰する〈夏目葉大賞〉という記事を作りましたが、今回はその2022年上半期編です。  年末に通期での大賞を決めたいと思っていますので、暫定版としてとらえていただければ幸いです。なお、2021年版は以下リンク参照。 ベストミステリ賞 『死まで139歩』(ポール・アルテ著 早川書房)   ミステリ作家の殊能将之が敬愛するフランスの作家、ポール・アルテによる作品。殊能氏をしてアルテの最高傑作と評価するのが

          夏目葉大賞 2022上半期編

          ドイチェスダービー 2022 有力馬紹介!

           前回記事でドイツのダービー、ドイチェスダービーの紹介をしましたが、今回は有力馬を紹介したいと思います。 ソームーンストラック(独) So Moonstruck 父:Sea the Moon 母:So Smart(母の父: Selkirk) 戦績:3戦1勝  父のSea the Moonは2014年のドイチェスダービー馬。親子2代制覇がかかります。前走は重要なステップレースであるウニオンレネンを2着しており、ここでの期待も高まります。  そして鞍上は日本でもおなじみの名

          ドイチェスダービー 2022 有力馬紹介!

          ダービーは終わらない、ドイチェスダービー大予想!

           日本の中央競馬では春のクラシック戦線を終えてすっかり夏競馬の季節ですが、まだまだダービーはある! というわけで、今回はドイツのダービー競争、ドイチェスダービー(Deutsches Derby)の特集であります。 ドイチェスダービーとは  ドイチェスダービーとはその名の通り、ドイツ競馬におけるダービー競争。ハンブルク競馬場、芝2400mを舞台に行われる3歳最強馬決定戦です。2022年で第153回目を迎える歴史あるレースです。過去にはジャパンカップを制したランドなどの名馬が

          ダービーは終わらない、ドイチェスダービー大予想!

          夏目葉の予想と弁明(上半期の競馬予想を振り返る)

           わたしこと夏目葉、普段は本にまつわるツイートをメインに活動していますが、今年の1月末の根岸ステークスから、以下のような感じで毎週末にせっせと競馬予想のツイートもしています。  これは自分の備忘を兼ねている部分も大きいのですが、おかげさまでみなさまとも色々と交流できてとても嬉しい限りです。  一方、もしかしたらわたしの予想を参考に馬券を買っている方もいるかもしれず(自意識過剰!)、馬券は自己決定の世界とはいえ外れればほんのちょっと申し訳ないな、という気持ちにもなるわけで、じ

          夏目葉の予想と弁明(上半期の競馬予想を振り返る)

          プリンス・オブ・ウェールズ・ステークス大予想!

           6/15にイギリスのアスコット競馬場でプリンス・オブ・ウェールズ・ステークスが開催され、日本からシャフリヤールが参戦します。JRAによる馬券の発売もあるということで、せっかくですから同レースの予想をしたためました。みなさまの予想にも役立てば幸いです。  同レースを含めたロイヤルアスコット開催についての記事もまとめていますので合わせてご覧ください! 1.コース  距離は1990m(正確には9ハロン212ヤード)で、特徴は何と言っても高低差が20メートルもあること。中山競

          プリンス・オブ・ウェールズ・ステークス大予想!

          行きたい! ロイヤルアスコット!

           いよいよ火曜日からロイヤル・アスコットが始まりますね。  ロイヤル・アスコットはイギリス王室が主催する競馬の祭典。今年は6/14-18の日程で開催されるのですが、毎日G1が行われるという豪華さに加えて英国王室のメンバーも臨席するという格式高いイベントでもあるのです。  今年はシャフリヤールがプリンス・オブ・ウェールズ・ステークス(6/15 芝1910m)、グレナディアガーズがプラチナ・ジュビリー(6/18 芝1200m)に出走します。プリンス・オブ・ウェールズ・ステークス

          行きたい! ロイヤルアスコット!

          まとまくPOG2022-2023 指名馬!

           今回は競馬のお話。  的射まくりさん主催のPOG(Paper Owner Game = 仮想の馬主になってポイントを競う遊び)に参加することになりましたので、その指名馬10頭を4つのセクションに分けてご紹介しますね。まとまくPOG概要の概要は↓ 1.がんばれサクラユタカオーの血脈!  サクラユタカオーは1986年の天皇賞(秋)を優勝した名馬。その父テスコボーイ(英)は、日本に種牡馬として輸入されトウショウボーイをはじめとした多くの名馬の父となりました。  サクラユタカオ

          まとまくPOG2022-2023 指名馬!

          球春到来! 野球×文学3選

           すっかり春ですね。始まりの季節でもあり……そう、プロ野球もいよいよ開幕です! わたしの応援する阪神タイガース、今年こそは去年の雪辱を果たしてくれるのではないかと胸をときめかせていますが、そんな手に汗握るペナントレースを楽しみつつ、本を読むのも一興ではないでしょうか?  というわけで本日は野球を題材にした文学作品を3つ、ご紹介いたします。 高橋源一郎『優雅で感傷的な日本野球』  まずは高橋源一郎の『優雅で感傷的な日本野球』。七章に分かれた連作短編集ともいえる体裁の一冊です

          球春到来! 野球×文学3選

          ウクライナ情勢を理解するための新書3冊

           日々、状況が変わっていくウクライナ情勢ですが、何が起きているのか、またこれから何が起こり得るのかを知るのに役立つ新書を3冊紹介してみたいと思います。自分も最近読んだ本ばかりなので、自分の備忘と理解も兼ねて。 『アメリカの制裁外交』(岩波新書) ――経済制裁の意味とその効果は?  一冊目は、杉田弘毅『アメリカの制裁外交』 (岩波新書)。本書は題名の通りアメリカがこれまでどのような経済制裁を他国に課してきたかを解説する一冊です。ロシアをSWIFTから排除するという措置が発表さ

          ウクライナ情勢を理解するための新書3冊

          『ヒカリ文集』の一人称について

           松浦理英子『ヒカリ文集』は同じ劇団に所属していた人物たちが、あるきっかけから劇団の同僚であったヒカリという人物にまつわる思い出をしたためるという構成の小説です。  五人がそれぞれ一人称で文章を書くことになるわけですが、この記事ではその一人称の表記について見ていきたいと思います。 飛方雪実の「私」  一人目の鷹野裕は「私」、以下、飛方雪実「私」、小滝朝奈「あたし」、真岡久代「私」、秋谷優也「私」→「僕」となっているのですが、ここではまず、飛方雪実に注目したい。彼女はライタ

          『ヒカリ文集』の一人称について

          エリスンの名作「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」を読んでゲーム版をやろう!

           ハーラン・エリスンの「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」はコンピュータが反乱を起こし、人間を支配下に置くという短編SF小説。  AMというマシーンが人類をせん滅した未来。AMは最後に生き残った5人に不死を与え、そして残酷な幻覚を見せて弄ぶ。死ぬことを許されない5人を、AMは109年もの間、閉じ込め続けるのだった。  テーマは古典的でありますが、むしろ今の時代にこそ顧みられるべき古くて新しいテーマでもありますし、表現も極めて暴力的なのですが、緊張感があって巧みな文章が光

          エリスンの名作「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」を読んでゲーム版をやろう!

          筒井康隆「遠い座敷」 少年の心細さとファンタスティックな座敷の道

           筒井康隆の「遠い座敷」は一九七八年に中央公論新社の文芸誌「海」に発表された作品です。筒井康隆といえば、SFから始まって多種多様な作品を生み出してきた多面的な作家ですが、この作品は文芸誌に発表されたということで、純文学的な格調のある文体を持ちながらも、非常に幻想的な短編に仕上がっています。  主人公である宗貞という少年が、兵一という友達の家で遊んでいるところから物語は始まります。彼は兵一と遊ぶうちに帰り時を逃してしまい、彼の  家で夕飯をごちそうになります。しかし、 と、帰

          筒井康隆「遠い座敷」 少年の心細さとファンタスティックな座敷の道