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ダービーは終わらない、ドイチェスダービー大予想!

 日本の中央競馬では春のクラシック戦線を終えてすっかり夏競馬の季節ですが、まだまだダービーはある! というわけで、今回はドイツのダービー競争、ドイチェスダービー(Deutsches Derby)の特集であります。

ドイチェスダービーとは

 ドイチェスダービーとはその名の通り、ドイツ競馬におけるダービー競争。ハンブルク競馬場、芝2400mを舞台に行われる3歳最強馬決定戦です。2022年で第153回目を迎える歴史あるレースです。過去にはジャパンカップを制したランドなどの名馬が同レースを優勝し、近年でも凱旋門賞を制したトルカータータッソが2020年に2着に入るなど、ドイツ一国のレースというだけでなく世界の競馬という目線からも注目の一戦です。

ドイツのクラシック体系

 ドイツでは3歳牡馬クラシック戦線が以下のように整備されています。

ドイツ3歳牡馬クラシック戦線(日付は2022のスケジュール)

 まずクラシック初戦がメールミュルヘンスレネン、日本でいうところの皐月賞にあたります。そして3つのダービートライアル競争があって、ダービーに至るという流れです。
 2022年のドイチェスダービーは7/3。これは欧州主要国でも最も遅いダービーの開催日となっています。
 クラシック戦線の日本との違いは初戦のメールミュルヘンスレネンがマイル戦というところですね。実際のところ、大半は今年の優勝馬はドイチェスダービーには向かわず、イギリスのセントジェームズパレスSに挑みました。一方でトライアルは2200メートルと、より本番に近い距離になっているところはポイントになりそうです。
 ちなみに、菊花賞にあたるドイチェスセントレジャーは現在では古馬にも開放されていて、3歳クラシックはこの2戦で完結することになります。

過去10年の勝ち馬から見る傾向

 それでは次に過去10年の勝ち馬から傾向を探っていきましょう。

過去10年のドイチェスダービー勝利馬

〈生産国〉 
まず生産国ですが、ドイツ産馬:6勝、アイルランド産馬:3勝、フランス産馬:1勝となっています。ドイツ馬が他国出身の馬を迎え撃つというような形でしょうか。
 と言っても、例えば2014年優勝馬のシーザムーンはドイツ産馬ですが、父のSea the Starsはアイルランドの種牡馬ですし、逆に2021年優勝馬のシスファハンはフランス産馬ですが、父のIsfahanはドイチェスダービーを制したドイツ馬です。そのあたりの交流が進んでいるのは大陸ならではという事情もありそうです。

ドイツといえばビール!

〈血統〉
 父系ではサドラーズウェルズダンジグと言った現在の欧州での主流血統の活躍が目立ちますね。

 一方でドイツで発展した血統の活躍にも注目したいところで、2017年のヴィントシュトースの父父はドイツの大種牡馬モンズン。自身もドイチェスダービーを制した名馬でもあります。
 このMonsunはブランドフォード系という20世紀前半に発展した血統に属する種牡馬で、その仔であるノヴェリストが日本でも種牡馬入りしていますし、また2017年のオークスを制したソウルスターリングの母父でもあり日本でも馴染みのある血統ですね。母父としての優秀さという点は、上記の直近10頭のドイチェスダービー馬のうち3頭の母父がMonsunであるという事実からも知ることができます。
 
 そして、ドイツ血統といえば2019年の優勝馬ラカーリオの父父はドイチェスダービー馬でもあり、また1995年のジャパンカップを制覇したランド。この父系は代々ドイツ馬で構成されており、まさにドイツ競馬の結晶ともいえるのではないでしょうか。

 また、2016年の優勝馬のイスファハンの仔であるシスタファンが2021年に親子制覇を果たしていますから、〈ダービー馬はダービー馬から〉という格言がドイチェスダービーにも当てはまると言えそうですね。

〈ローテーション〉
 過去10年の勝ち馬のレースのローテーションですが、前走にウニオンレネンを選んだ馬が5頭。ダービーに直結するレースとして注目する必要ありそうです。
 日本の皐月賞にあたるメールミュルヘンスレネンからの直行で勝利したのは2012年のパストリアスのみ。それも一冠目は7着と敗れていますので、このレースがダービーに直結するとは言えないところは日本とのレース体系の違いですね。 
 他にもイタリアダービーやフランスの重賞を経ての勝利もあり、ローテーションはかなり多様。ウニオンレネンも距離は2200mと本番に近いですが、開催競馬場が異なりますので、その結果を過剰評価するのは危険かもしれません。

次回予告

 ということで、ドイチェスダービーについてご紹介しました。次回は主要なステップレースの結果を踏まえつつ、2022年の有力馬をご紹介したいと思います。ご期待ください!

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