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「呪術廻戦」に見る、現代的ヒロインの在り方

今回は、「呪術廻戦」について少し書きたい。
この作品って、アニメのオープニングが妙にかっこいいんだよな。
呪術師がただ歩いてるだけの映像ひとつとっても、何か強そうなオーラ全開なのよ。
1期の17話で虎杖悠仁が先輩・禪院真希を評して「喧嘩は超強い。重心というか、歩き方がもうヤバい」とコメントするシーンがあるんだが、まさにその通りで、これは真希さんに限らず術師全員が歩き方ヤバいのよ。
全員が背筋をピンと伸ばして胸を張り、そこから身体の重心が全くブレない姿勢で歩いてるもんだから、ひと目そのシルエットを見ただけでも即座に「コイツらヤバい・・」と直感してしまう感じ。
マジの強者と対峙したら、その佇まいだけでも実力差を思い知る、っていうでしょ。
「呪術廻戦」に出てくる術師は皆、その佇まいが既にヤバいんだよね。
体の大きさや筋肉量という問題ではなく、体幹のバランスとでもいうべきだろうか。
こういう緻密な作画が、劇中における彼らの超人的強さに信憑性を与えてると思うよ。

その立ち姿だけでも、背中に一本芯が入っている感じ

ところで、私は以前から少し気になってるんだが、この作品のヒロインって釘崎野薔薇ということでいいんだよね?
こんな邪悪な顔つきで敵と対峙する彼女だけど、ヒロインってことでいいんだよね?

この顔、マジでヤバい・・

もうひとりヒロイン候補で真希さんもいるんだけど、彼女も釘崎に劣らず、恐い感じの人である。

飛んできた弾丸を素手で掴んじゃう真希さん

個人的には釘崎も真希さんも大好きなんだが、ちょっと女子力低いヒロインだよな~。
学ラン着てて肌の露出もほとんどないし、原作者もあまり性別を意識せずに描いてるんじゃないだろうか。

この作品の原作者は漫画家として「BLEACH」の影響を受けてることを公言してるらしいが、確か「BLEACH」はWヒロイン制だったと思う。
朽木ルキアと井上織姫ね。

朽木ルキア
井上織姫

朽木ルキアは少年っぽい風貌で、性格はサムライそのもの。
真面目でストイック、極度のブラコンでもある。貧乳。
対する井上織姫は可憐で清楚な美少女で、文武両道、学校の成績は優秀。
性格は穏やかで優しく、ちょっぴり天然。巨乳。
という感じになっており、織姫の方はまさに男の理想の女子像を具現化したようなキャラなんだが、人気投票をしてみると、これが2倍以上の圧倒的な票差をつけてルキアの方が勝ってるんだよ。
このへんは、「BLEACH」を見てた人なら割と理解できると思う。
正直、このてのバトル物で女子力高いキャラなんて邪魔なのさ。
ぶっちゃけ足手まといだし、特に織姫なんて敵に捕まって人質にされちゃうようなタイプだったからね。
また、彼女は敵に情けをかけて墓穴を掘るタイプだったがゆえに、とにかく
見ててイライラしたわ。
一方、ルキアも強くはなかったものの、ただ必死に強くなろうと頑張ってたし、少なくとも織姫と違って色恋にうつつを抜かすタイプじゃなかったのは好感が持てた。
うん、私も断然ルキア派だったよ。

確かに、昔はヒロインが無力ゆえ敵に捕らわれ、主人公がそれを助けにいくというのがドラマの王道だったかもしれん。
でも「BLEACH」の【ルキア>織姫】がいい例で、いまどきはもうそんなの流行らないのよ。
「進撃の巨人」のミカサだって、「鬼滅の刃」の禰豆子だって、いまどきのヒロインは主人公に劣らぬほど強いという設定である。
よって、「呪術廻戦」の釘崎も真希さんもある意味ではこれで正解なのかもしれん。
そういや、ひとりだけ普通に可愛いのがいたっけ。

三輪霞

三輪ちゃんは術師にしては珍しいほど普通の感性をもってる子で、メカ丸に乾電池をプレゼントするほど優しい性格である。
家が貧乏だから、弟たちを養う為に上を目指すというスタンスも少し泣けるし。
実にほっこりするキャラなんだが、案の定、闘うと弱い。
よってヒロインにはなり得ず、サブキャラの萌え枠といったところか。

さて、男性キャラの方も見ておこう。
基本、この原作者は女子でなく男子を描きたかったんだろうから。
男子キャラの設定としては、そのまんま「NARUTO」のパクリであることは皆さんも既にお気づきのことと思う。

【うずまきナルト(虎杖悠仁)】
・性格は基本バカで熱血
・体内に九尾の狐という最凶の妖怪が封じられている

【うちはサスケ(伏黒恵)】
・クールなイケメン
・実は最強のエリート血統

【はたけカカシ(五条悟)】
・学校の先生で、ナルトやサスケを担当
・作中における最強キャラの一人

【うちはオビト(夏油傑)】
・敵勢力の首領で最強キャラの一人
・かつてはカカシの親友だったが、あることがきっかけで闇落ちした

ここまで露骨に設定をパクって、岸本斉史先生からクレーム出てないのかな?
まあ、同じジャンプだから許されるのかもしれないけど。
基本、「NARUTO」の設定をベースにして、「BLEACH」のスタイリッシュさで味付けしたものが「呪術廻戦」ということでほぼ間違いないと思う。
ジャンプ黄金時代のアイデアをお借りしたというところか。
オリジナリティは、忍者でも死神でもなく、陰陽道をベースにした呪術師をモチーフにしたところ。
陰陽道というのもホントはさして目新しくもないんだが、でも今までの作品と比較しても群を抜いてカッコイイんだよね。
特に秀逸だと思ったのが、「NARUTO」における九尾の狐に該当するところの両面宿儺のキャラである。
「NARUTO」ではナルトと九尾の狐は和解できたものの、「呪術廻戦」では宿儺がそれほどチョロい存在では断じてない。

両面宿儺

もともと両面宿儺は日本書紀にも記録のある異形の悪党で、顔がふたつ、手が4本、足が4本あったという。
つまり、人間2人分の融合体。
そのせいなのか、宿儺はバケモノとしての伝承と同時に、英雄や神様としての真逆の伝承もあるんだよね。
やはり2人分の融合体だけあって、善と悪の二面性があるということだろう。
おそらく芥見先生も、そのへんはしっかり取材した上で敢えて両面宿儺をチョイスしたんだと思うし、きっと宿儺は単なる悪の権化のままでは終わらない設定だと思うよ。
だってジャンプ黄金期の漫画をモチーフにしたのが「呪術廻戦」なんだし、今まで敵だった奴が最後は味方になる展開なんて、それこそジャンプ黄金期のお約束じゃないか。

そしてジャンプのお約束といえばもうひとつ、てっきり死んだと思ってた奴が実は生きてた!というパターンも毎度お馴染みかと。
大丈夫、絶対に釘崎は生きてるよ(原作のネタバレごめん・・)。
そもそも、ヒロインが不意をつかれて瞬殺みたいな死に様なんて、ジャンプの長い歴史の中で一度もなかったことでしょ?
・・いや、ひょっとして芥見先生は、釘崎をヒロインだと考えてなかったのか?
だとすりゃ、ヤバいかもな・・。
案外、三輪ちゃんが「NARUTO」でいうところの日向ヒナタのポジションで、最後は虎杖と結婚して終了ってオチじゃないよね?
ホントは釘崎がヒロインだってこと、忘れちゃダメだよ!

三輪ちゃんって、確かにヒナタと少し似てるんだよな・・


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