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食は広州にあり①~広州で食べた物あれこれ~

これは昨日の記事の続きです。

日本でも「京の着倒れ、大阪の食い倒れ、神戸の履き倒れ」なんて言われますが、中国でも「生在蘇州、住在杭州、食在廣州、死在柳州(生まれるなら蘇州、住むなら杭州、食べるなら広州、死ぬなら柳州)」という言葉があります。読んで字のごとくですが、死ぬなら柳州と言う謂れは、この場所が棺桶を作る上質の杉材に恵まれていたから、という事らしいです。

で、

以前の記事でも書いた通り、香港に来る前は広州におりました。

食は広州にあり」と言われた広州です。

一口に中国と言っても北方と南方では実は食文化も習俗も色々な違いがあります。そこらへんは今日のメインテーマではございませんので割愛しますが、確かに広州では色々なものを食べる機会に恵まれました。

この記事では、まず広州で食べたものを簡単に紹介します。

そもそも見て食欲が起こらなかったものは、圧倒的に昆虫系が多いです。次に日本では食べない動物の部位や食べ方。

食べてめちゃめちゃ美味しかった昆虫は、日本でも食べるところがあるという「ハチの子」ですね。これは完全に美味しかった。ニンニク醤油味で臭みもなく形も虫虫してなくて(?)良かったです。

2000.07.16夕飯4
蜂の子だから、蜂の形はしてませんが、まあいわゆる幼虫の形

アヒルの舌も形状が本当にクチバシの形をした骨の中の舌の肉+軟骨を食べるので見た目は悪いですが、味は普通に美味しかったです。ピリ辛砂糖醤油味。

2000.07.16夕飯3
クチバシそのものの形

ちなみに私が食べた中で一番、不味かったものはカイコの蛹の水煮です。

広州工場の事務所に朝鮮族出身のコがおりました。

ある時里帰りして、生きた蚕を鮮度を保つ為、ひと箱生きたまま世話しながら持って帰って来てから煮たんだとタッパーに入れて持ってきて、工場の食堂でお昼ご飯に食べる時に、事務所の皆に一個ずつ分けてくれました。

「茶色い薄皮の中に真っ白でふわふわした布団に包まれた細い緑色のカイコ」の姿を見ただけで食べる気は失せていましたが「死なせないように世話しながら持って帰ってくるの大変だったんだから」とそのコが言うので、そこまで手をかけてくれたのだからと試してみました。

・・・・・・・生臭い!

虫臭い!

子供の頃、一応カブトムシとかトンボとか蝉とか捕ってた世代なので、虫の匂いってわかるじゃないですか。あの匂い。

食べる事はないだろうというあの匂い。え?この匂いはもっと生姜とか八角とか何かで消さないのか?!日本でも食べるところあるらしいけど、多分日本ならもっと上手にこの虫の臭みを消しているんじゃなかろうか・・・と思わされる代物でした。

私は一口食べて、口いっぱいに広がる虫の匂いで食欲を失くして、バレないようにTKGをする時のようにこっそり白いご飯を掘ってその中に沈めました・・・。

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ご飯を食べ残したフリをして食べるの断念!

 あと、蛇を食べるのは珍しくない話ですが、ある時事務所の皆で数台の車に分かれて広州市内近くまで食事に行きました(私がいたのは当時番禺市という場所で後に広州市に吸収合併された広州の南端)

蛇鍋を食べると聞いておりましたが、店の前で「じゃあコレでいいか」って感じで3mくらいの大蛇を指さしているのを見ました。

程なく、黒地に黄色い縞の入った腕程の太さの蛇が5cmくらいの肉塊になって、皿の上でそれぞれの肉塊がまだ生きて動いている状態で次々と運ばれてきました。3mほどもあるので延々何皿ものたうち回る肉塊が運ばれてきます。

それをザラザラ~っとたらいのような鍋に滑らせていくのですが、衝撃だったのは「蛇鍋」というのは蛇しか入れないという事です

鍋と名がつくからには日本みたいに他に野菜とかキノコとか色々他のものも入っている、と思っていたのですが全くそういう様子はなく蛇のみの水炊きで、事務所メンバーはその蛇がゆで上がるのを今か今かと待ち構えています。

いやいやいやいや、何か…他のもの頼もうよ・・。私は蛇以外のものでお腹を膨らますしかないなと思ってきているので予想外の展開に呆気にとられました。

すると私より先に日本人総経理が中国人副総経理に「すみません、何か野菜とか他のものも頼んでください。」と言ったので蛇がゆで上がる前に白菜とか、日本人が鍋に入れそうな野菜も運ばれてきて来て、それらもドボドボと蛇のぶつ切りの入った鍋に投入されましたが先に蛇が茹で上がりました。

事務所の皆は、あっという間にその握りこぶし大の蛇のぶつ切りを自分のお椀にとると嬉々として食べ始めました。

誰かが私のお椀にもその肉塊を取ってくれました。黒地に黄色縞は、今や白地にベージュ縞となっておりました。

「・・・・・。」

もう!だからせめて鶏のささみのようにもっと細かくほぐした状態で出してくれればいいものを・・・!

腹正しく思いながら、その物体を口にしました。

ガチ!

硬!

ちょっと歯を立てるとそこはもう骨。

・・・まあそうなんでしょう。蛇は皮膚のすぐ下がいわゆる肋骨で囲まれているのでしょう。恐らく中の肉を食べようと思ったら、この肋骨を割り崩して突破口を開かねばならぬのでしょう。

しかし私は、何かその肋骨バリアで心が折れました。

いや、食べる前からもう心が折れていました。あの皿の上でのたうち回る肉塊を見た時既に。

なので、その周りの皮膚部分をアギアギと2mmほどだけ削り取ると、その肉塊におさらばをし、野菜をいただきました。

って言うか味は別に臭みも何もないただの肉の食感のするものでした。蛇くらい食べた人は多くいらっしゃるでしょうから敢えてリポートする必要もないでしょう。

よく聞く「鶏肉のようなクセのない味」というアレでいいです。鶏肉っぽいかどうかと言われたらクセがないからよくわかりませんが、まあそうなんでしょう。

事務所のスタッフたちは食べきれない程の蛇肉を腹いっぱい食べて大満足の様子でした。

私は3名の日本人用(総経理、生産部長、私)に頼んでくれた申し訳程度の野菜だけで空腹のままでした。

しかし帰る段になって車に乗り込むと、急に内股からお腹にかけてカアア~っと身体が熱くなりました。

(えっ!?あんな2,3mmほど齧っただけなのに?!)

蛇は身体を温める効果が高く、滋養強壮に良いとは聞いていましたが、まさかここまでスゴイとは!


でも、これらより何より嫌だったモノ・・・、それはまた次回。














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