キョンシー映画の頂点「霊幻道士」~
この記事は昨日の続きです。
映画「エクソシスト」でホラーの扉を開いてしまった私は、怖い怖いと言いながらホラーを漁り続け、とうとうマンガじゃない映画、しかもホラー映画を自分で見に行くのです。
そして、この霊幻道士で道士を演じているのが香港のアクション俳優「林正英」(偶然日本語の名前のように読めてしまいますが広東語でラム・チェンインと読みます。後日ラムチェンインの記事を書く予定)
殭屍(キョンシー)というカチカチの硬直した死体がジャンプしながら移動して吸血するというユニークさ、ラム・チェンインのスピーディなアクション、そしてこのスゴイ道士にドジな弟子たちという組み合わせの妙で、アクション×ホラー×コメディ映画としてキョンシー映画が大ヒット。
ちなみに霊幻道士のウィキにも書いてありますが、元々はあの洪金寶(サモ・ハンキンポー)が監督をした「鬼打鬼」という映画から端を発しており、この霊幻道士でもサモ・ハンキンポーは制作に携わっています。(サモ・ハンキンポーは香港映画界では大御所で、大半のアクション香港映画の武術指導です。)
この、ただ怖いだけじゃないアクションホラーコメディのキョンシー映画は80年代当時、吸血鬼と言えば、ちょっとロマンチストな西洋のドラキュラ像が一般的だったので、キョンシーのようにロマンの欠片もなく、めちゃめちゃアグレッシブに襲ってくる吸血鬼像がすごく新鮮に映りました。
しかも硬直しているため、手を突っ張ったりすることで牙の攻撃を暫く防ぐ事もできる他、目が見えない為息を止めれば見つからなくて済むなど「自分でもいざとなればちょっと逃げ延びられそう感」や息を止めるのに鼻を塞ぐ俳優たちの「にらめっこ」のようなコミカルな表情がホラーの「怖い」感をイイ感じで緩和してくれます。
最初から最後までホラーの持ち味である「恐怖」や「そこはかとなく薄ら寒い感じ」や「救いようのない絶望感」を全く感じることなく、しかしそこら辺の欠けた分は、息もつかせぬアクションが埋めてくれるので、
ホラーなのに怖いとか嫌だとかいう気持ちを抱かずに見れた最高の映画でした。
尚、ウィキに書いてありますが
とこれだけを霊幻道士としてひとくくりにしてあり、「霊幻道士」はその後も2,3,・・と来るのですが、映画としてはどれも続き物ではない独立したストーリーです。
で、本来4となるべきところが「完結篇」となっているのは、どうやら「霊幻道士」の名を冠してのキョンシー映画の日本公開ではコレが最後だったからっぽいです。
しかも、この完結篇に至っては主役の道士がラム・チェンインでさえありません。
「霊幻道士5 ベビーキョンシー対空飛ぶドラキュラ!」からは日本では公開されませんでしたが、ラム・チェンインが道士役で香港で続きます。
そして「霊幻道士こちらキョンシー退治局」以降は比較的最近のキョンシー映画なので道士はラム・チェンインではありません。
(ラム・チェンインは(1997年)44歳の若さでに亡くなってしまうからです。それについては、こちらのラム・チェンイン記事で。)
とにかくキョンシー映画はホラー映画でも超楽しめるホラーです。ホラーを苦手とする人でも楽しめる事うけあいです。
個人的にはキョンシー映画で本当に見ごたえがあるな~と感じられるのはラム・チェンイン主演のものだけですが、この霊幻道士大ヒットでキョンシーの波はここから更に広がって、今度は台湾がキョンシー映画を作り始め、それもヒットした為、そのテレビドラマシリーズも作ります。それが日本でも放映された「幽幻道士来来!キョンシーズ」です。
*映画シリーズが「幽幻道士キョンシーズ」でテレビシリーズが「幽幻道士来来!キョンシーズ」です。
中でもこのキョンシー退治をするのに、まさかの子供道士という役どころテンテンを置いた事で、これはこれで大ヒットします(映画館に行かなかった人にとっては、キョンシー物と言えば、こちらの方が却ってよくわかるかもしれませんね。)
テンテンのみならず、色々個性豊かな子供達が主役なので、きっと「私はチビくろファン、とか・・私はトンボファン」とかそういう効果もあったでしょう。
余談ですが、この幽幻道士が日本でも大ヒットした事で、このテンテン役をしたシャドウ・リュウは、シリーズ終了後に芸能人としての活動の場を日本に移してアイドルとして頑張ります。日本語も勉強して、日本に来た当時の芸名はこの幽幻道士時のキャラ名テンテンでした。
私もキョンシーものとして欠かさず見るくらい好きでしたが、まず香港のキョンシーと台湾のキョンシーでは同じキョンシーでも、色々な設定が細かく異なっていたり、やっぱり本家本元のラム・チェンインのものとはスピード感も違い、圧倒的ヒーロー不在が居ないままで、ちょっと頼りない感じと物足りなさは否めませんでした(個人的には)
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