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仁義なき戦い

私はいつも眉毛を最後に描く。

メイクさんにも「えぇ〜?」と言われ、友達にも「意味分からない」と言われたこのメイク手順。  

気付けば当分新しいコスメだって買っていないし、ポーチの中身をアップデートしていない。

口紅もファンデーションもアイライナーもアイシャドウも無くなったら同じものを買い足すだけ。 自分に合うメイクが分かってきたとも言えるけど、時代遅れのメイクをしている可能性もある。(そっちの可能性のが高い、信じたくないけど)

私が中高生の時、目が小さい人は人権が無いと思ってた。

あの頃はギャルってなんて可愛いんだろうと思いPopteenばっかり読んでた。その頃のPopteenは(今もなのかな?)デカ目!カラコン!つけま!って感じで、まつ毛バサバサにフチありカラコン、コンシーラーで唇の色を消してヌーディピンクのグロスを塗ったギャルが正義だった。

とにかくアイメイク重視。これがとっても可愛く見えた。

私も可愛くなりたい。好きな人に可愛いって言ってもらいたい。褒められたい。「可愛くなって好きな人に褒められたい!」という気持ちは魔法にも呪いにもなる。

ドンキで根元が透明な束感のある付けまつ毛を買い、太くて黒いアイラインをひき、コンシーラーで唇の色を消してその上からヌーディピンクのグロスをつけてみた。

やばい、イケてるかも。

そう思って颯爽と家を出た私を引っ叩きたい。

その時の私は眉毛の描き方が全く分からなかったので描いていなかったのだ。 「眉毛描かない方がケバく見え無いし、目が強調されるじゃん♪」と思い、さらにメザイクで二重幅を広げて下まつ毛まで付けてた私をもう3回くらい引っ叩きたい。

眉毛は細くて薄いのがイケてると思ってた。
眉毛を細く薄くしちゃう時期ってありませんでしたでしょうか?

そんな黒歴史により、当時のプリクラは目が黒くて大きい眉毛がない化け物がたくさん映っていたワケ。

そして月日が経ち、とんでもない罪を犯していたことに気付いた私はギャルを崇拝するのをやめて「モテ系」に走り始めた。

雑誌のRayやSweetを読み漁り、小花柄のヒラヒラしたワンピース、ヒール、顔まわりをふわっとさせた巻き髪、ジルスチュアートなどを偏愛した。

可愛くなりたい!わたしは今、ギャルではなく「可愛いお姉さん」になりたいのだ!! 

その頃はじめて眉毛を描く練習をしようと思った。でも全然うまくいかない。

まあ、当たり前だよね。 ガイドになる自眉がないんだもん。完全に2Dの眉毛が完成し、落胆。 そして小花柄ワンピースもピンクのチークも似合わない。どっからどう見ても出来のいいオカマ。

もう、どうしたらいいの?現世では可愛くなれないの?と嘆いた。でもまた気付いてしまったのだ。

私は小花柄のワンピースよりもタイトなレザースカートが好き!!似合わなくてあんまり好きじゃないものを着ていると生きた心地がしない、と。

その頃から読む雑誌はGOSSIPSやELLEgirlに変わった。太眉が流行りはじめ、私は海外セレブに夢中に。ケイティ・ペリーのレトロな可愛さに惹かれ、ピンクとケシャのワイルドさに惚れ、ヴィクトリアズシークレットのエンジェルたちに恋をした。

こんな風になりたい。

目はアイメイクでどうにかなる。

問題は眉毛。眉毛だけはちゃんと生えてないと顔の立体感と私が欲しかった「元から綺麗な人」って印象を与えることが出来ない。

綺麗な眉毛を作りたい。

とはいえ、肝心の毛がなければ始まらない。

眉毛にまつ毛美容液やワセリンを塗って生えてくるのを待った。

だんだん細い眉毛の周りに短くて太い毛が生えはじめ、ダサいし痒いし嫌だったけどとにかく我慢して放置。私はそう、今はサナギなの、と。

そして小学生ぶりのぶっとい眉がお目見えする前に、整え方と顔の形に合う眉と描き方をお勉強。 眉毛はあった方が垢抜ける。

だから私は眉毛を最後に描くのかもしれない。

1番最後に習得したポイントメイクだから。

結果、蝶になれたかは分からないけれどマシな顔にはなった。ここで私のメイク黒歴史は幕を閉じたのだ。(と思いたい)。

きっとの今の中高生にもメイク黒歴史は存在するはず。

眉毛の描きすぎと赤い口紅ベタ塗りあたりかな。
でも大丈夫。メイクは本当にトライアンドエラー。

今似合うメイクを見つけても歳と共に顔面は自動更新していくから、自分に合う可愛さと綺麗も更新しなきゃいけない。

流行だってある。「古臭い顔」にはなりたくない。

本当に、長い戦い。気抜いたらすぐ負ける。

だから私はシュウウエムラのビューラーを武器に戦い続けるのである。

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