見出し画像

鉄鋼業界のバリューチェーン転換へ

以前もお話ししていた、日本での伝統的な産業の転換が見られている鉄鋼業界について、続編を書いてみたいと思います。

過去投稿は下記リンクをご確認ください。
-鉄鋼業界シリーズ(業界背景振り返り投稿
-石油業界シリーズ(石油先物逆張り業界シフト今後の展開原油と金
ー不都合な真実シリーズ(Part1Part2Part3Part4Part5Part6

上記記事のように、高炉型鉄鋼業で重要な材料である石炭(もしくは原料炭)によるCO2排出を削減するため、天然ガスなどCO2の排出量が比較的少ないエネルギー源に転換している会社もあるそうです。

【欧州アルセロール・】ミタルが新設するのは一般的な製鉄法で使う「高炉」に代わり、天然ガスを使い鉄鉱石(酸化鉄)を還元し鉄をつくる「DRI(直接還元鉄)」と呼ばれるプラントだ。高炉はコークスなど石炭由来の原料で還元し、その工程で大量のCO2が出る。DRIは製鉄工程のCO2排出量を現行に比べ2~4割減らせる。ミタルはCO2回収技術などと組み合わせ2030年に、CO2排出量の3割削減を目指す。同社が50年までに計画するDRI関連設備の新設など低炭素投資は1年あたり約1700億円。同社の19年の設備投資は約3800億円で力の入れようがわかる。

またこの背後には、以前投稿でもお話しした、米シェール革命を起点とした天然ガス自体が米国以外にも欧州でも安価な資源になったことで、石炭に比べてコスト競争力も上がり、加えて石炭対比でCO2排出量が少ない、ということが総合的に勘案されて、という意味もあります。

日本にとっては天然ガスも石炭も輸入が必要であり、コスト競争力という面ではそんなに違いが見えにくいかもしれないですが、ESGなり環境保全に向けて、鉄鋼業界の生産段階前のバリューチェーンも変化してきており、これもまた様々なインプリケーションがあるだろうな、と思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?