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農大の新規就農研修ってどんなことやってるの? 〜農業始めたい方向け〜

令和7年に熊本でアスパラガスで新規就農を目指しているYASUPARAです。
僕が受けている新規就農研修では、一体どんなことをしているのか?
農業を始めたい人や、新規就農を決心した人たちの参考になればと思い、この記事を書いてみました。

地域の農業を引っ張る、農業経営者を育てる

僕が在籍している「プロ経営者コース」についてお話しします。
これは地域を担う農業経営者を育成することを目的としたカリキュラムで、実際に自分たちで運転資金を出し合い模擬経営を行っています。

具体的にはこんな感じです。

  • 栽培計画を立て、皆で出し合った運転資金を元に苗や肥料を購入

  • ハウスや露地で野菜を栽培・管理

  • 収穫・出荷調整をし、地域の直売所へ納品

  • 得た売上を再投資し、各自の収益として分配

ざっくりですが、このような模擬経営を前期と後期の二つの期間に分けて実践しています。
前期は作物の栽培管理や農業経営に関わるすべての業務を皆で役割分担し運営し、後期は各自が栽培計画を立てて個々で模擬経営を実践します。

甘長とうがらしの定植風景

広範囲をカバーしたカリキュラム

研修期間のほとんどはハウスや露地での栽培技術の習得や直売所への出荷・販売に充てています。
雨天時や作業が早く終わった場合は、座学も行われます。
土壌や病害虫、農薬、野菜栽培の基礎知識を学びます。

農業経営者を育成するコースなので、農業経営に必要なカリキュラムが幅広く用意されています。
例えば以下のような内容です。

例えば..

  • 野菜栽培&販売実践

  • 農業機械の操作・メンテナンス

  • 経営管理

  • 視察

  • 外部講師を招いた特別講義

野菜栽培&販売実践

これは冒頭で述べた内容です。
まず、研修生で運転資金を出し合い、栽培計画を立て、苗や資材を調達します。
野菜をハウスや露地で栽培し、自分たちで収穫・出荷作業を行い、直売所へ納品します。
売上が立ったら、その結果を元に次はどの野菜をどの直売所にどれくらい出荷するか、単価をどうするかなどを話し合い、PDCAを回していきます。

収穫したナス(PC筑陽)

農業機械

トラクターをはじめとした農業機械の操作やメンテナンスを学びます。
希望者には大型特殊免許や牽引免許の取得機会も提供されています。
農機の修理代は非常に高いため、日々のメンテナンスを心がけることや、軽微な修理を自力で行えるようになることが重要です。
とても役に立つ講義です。

トラクター耕うん実習

経営管理

これは別途で記事にしますが、基本的に僕たち「プロ経営者コース」の研修生は「認定新規就農者」の認定を得ることを前提としています。
その際、各市町村の農政課や農業委員会に提出する5ヵ年の「経営計画書」の作成サポートを受けます。
また、日々の経営に必要な会計の知識や、税制、制度資金についても学びます。

視察研修

研究機関や先進農家への視察もあります。
卒業生の元も訪れます。
この記事を書いている時点ではまだ視察は行われていませんが、7月に1回目の視察が予定されています。
どこへ赴くのか楽しみです。

外部講師を招いた特別講義

農地法や農産物の物流、マーケティングなど、外部の専門家を招いた講義を受けることができます。

良くも悪くも広く浅く

現在、13品目の野菜を育てて販売しています。
これの良いところは、「手がかからないと思っていた作物が、出荷調整作業で非常に時間を取られる」といった発見がたくさんあることです。
たとえば、単価が高く収穫量も多く、栽培に手がかからない作物があるとします。
一見、労働生産性が高く、最適な選択肢に見えます。
しかし、実際に収穫してからの工程(出荷調整作業や出荷)は作物によって作業量に差があります。
泥を落とす、下葉を刈る、選別、袋詰めなど、収穫後の作業に時間を取られてしまうと労働生産性が低下します。
自動化したり、雇用すれば良いですが、*時給換算すると他の作物を選んだほうが良い場合もあります。

*これはあくまで労働生産性という観点だけで話をしているので、実際に栽培する作物を選ぶ時の指標はこれだけではないです。

ただ後期では自分で栽培する作物を1~2つ決めて栽培するので、ここで一定の経験を積むことはできます。


以上、「農大の新規就農研修ってどんなことやってるの?」というテーマで少し書いてみました。
農大で研修を受けるもう一つのメリットは、インフラが整っていることです。
ここで言うインフラには設備だけでなく、各分野の専門家が多数在籍しており、いつでも質問できる環境も含みます。
今回は熊本県の農大での例を取り上げましたが、各都道府県ごとにカリキュラムは異なると思います。
興味があったら、自分が就農したい都道府県の農業大学校に問い合わせてみてください。


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