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アルバムレビュー

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漫然とアルバムを聴いていると印象を忘れてしまうので、アルバムを聴きながら1曲づつ感想を書き留めてみることにしました。特にジャンルレス。その日選んだアルバムを聴いてレビューしていき… もっと読む
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2021年1月の記事一覧

大森靖子 ‎/ Kintsugi

大森靖子 ‎/ Kintsugi

大森靖子は2006年活動開始、2014年にAvexからメジャーデビューした日本の女性SSWです。ギター一本の弾き語りスタイルからスタートし、今はややロック寄りのバンドサウンドを主体にしています。もともと弾き語りで、アウェーの環境を自分色に塗り替える衝撃的なライブを繰り広げ、異種格闘とも言えるようなさまざまなイベントに乱入してきた彼女、今作はメジャーデビューして6作目(セルフカバーアルバム含む)。前

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Beneath The Massacre ‎/ Fearmonger

Beneath The Massacre ‎/ Fearmonger

2020年 ベストアルバム10(衝撃盤)でも取り上げた一枚、とにかく速さが衝撃的。未聴の方は是非。テクデス初体験なら衝撃間違いなし。

激走する30分。一応クレジットで各曲分かれていますが、もう全曲ひとつの組曲に聞こえるというか、勢いで押し切られるアルバムです。テクニカルデスの極北。なんというか、1.5倍速ぐらいで延々と演奏が続いている感じ。レコードだったら回転数(再生速度)間違えてるか疑うレベル

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Gama Bomb / Sea Savage

Gama Bomb / Sea Savage

Gama Bomb(ガマ・ボム)は2002年結成、2006年デビューのUK、北アイルランドのクロスオーバー・スラッシュメタルバンドです。この界隈では有名なので名前は知っていたのですがどこのバンドかまでは知らず。今回、音像だけ聞いたらアメリカのバンドだと思ったんですけどね、能天気に疾走していくしユーモアのセンスがアメリカ的、、、と思っていたら北アイルランドだったという。なるほど。勉強になりました。ひ

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Katatonia ‎/ City Burials

Katatonia ‎/ City Burials

2020 ベストアルバム10(愛聴盤)でも選んだアルバム。いわゆるゴシックと言われるバンドですが、カタロニアのメロディや音像は個人的嗜好にハマります。適度にエッジがあり、抑揚が効いているんですよね。音響的にもドラムの音とか、一つ一つの音がフレッシュな感じがします。

Katatonia(カタトニア)は1991年結成のストックホルムのバンドです。中心人物はジョナス・レンクス(ボーカル、ドラム)とアン

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Fiona Apple ‎/ Fetch The Bolt Cutters

Fiona Apple ‎/ Fetch The Bolt Cutters

Fiona Appleは1996年デビューのアメリカのシンガーソングライターです。本作は2020年発表の5作目、キャリア24年で5作なのでかなり寡作な人です。さまざまなランキングで上位に選ばれていたのが納得の出来。ポップセンスと前衛性、実験性が絶妙なバランスで両立しています。聴いたことがない心地よさと、どこか懐かしい感じが同居しているというか。2020年に作りうる「エバーグリーンなポップス」という

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SKÁLD / Vikings Memories

SKÁLD / Vikings Memories

以前、こちらの記事でも紹介したSKÁLD、2020年リリースの2ndアルバムです。北欧伝統音楽をモダンポップスの手法も取り入れて洗練させた作品。中央アジア的な喉笛もあったり、さまざまな伝統音楽の影響を取り入れつつ基本はバイキング音楽。とはいえポップさに振った曲ではEnyaにも通じる音像もあったり。心地よい良盤です。

skáld(スカルド)は2018年デビューのフランスのグループです。作曲家/プロ

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Sabaton ‎/ The Great War

Sabaton ‎/ The Great War

北欧メタルスウェーデン編でも取り上げたSabaton。1999年結成、2001年デビューのパワーメタルバンド。戦争をテーマにした曲が大半なので「ウォーメタル」とも。日本ではそもそも人気が高く、Babymetalとの共演もあったので知名度も高いと思われます。個人的には一番メタルを熱心に聞いていた時期と活躍期間が重なっていなかったのではじめてきちんとアルバムを聴いてみました。シングル曲だとそこまで突出

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Persuader / Necromancy

Persuader / Necromancy

Persuaderは1997年結成、2000年デビューのスウェーデンのパワーメタルバンドです。主要メンバー2名(イェンス・カールソン(Vo)、エミル・ノーベリ(G))が元ブラガのトーメンとSAVAGE CIRCUSというバンドを組んでおり、音楽性的にもブラガを彷彿させるファンタジックで曲展開が複雑ながら勇壮感と突進感のあるパワーメタル。とはいえスウェーデンらしいメロディセンスも感じられ、(個人的北

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Neptunian Maximalism ‎/ Éons

Neptunian Maximalism ‎/ Éons

Neptunian Maximalism(NNNM)はベルギーのブリュッセルを拠点に活動するバンドというかアート集団というか。アートワーク含めて強烈な個性を感じます。衝撃盤10枚にも選んだ作品。

音楽体験として新鮮だったアルバムです。曲というか、メロディ、リズム、ハーモニーはあるがいわゆる「曲」としての輪郭は薄く、むしろ、そうした従来の「曲」を構成する要素から離脱しようという意思も感じます。純粋

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Emma Ruth Rundle & Thou / May Our Chambers Be Full

Emma Ruth Rundle & Thou / May Our Chambers Be Full

衝撃盤ベスト10に選んだ作品。Emma Ruth Rundleはオルタナティブフォークに分類されるアメリカの女性SSWで2008年デビュー、Thou(ザウ)はスラッジメタル、ドゥームメタルに分類されるアメリカのバンドで2005年にデビュー。この2者のコラボ作品です。

けっこう穏やか目の女性ボーカルと哀切感漂う絶叫系のボーカルの絡み合いが面白い。なんというか、他者から見ると平熱・平静を装っているけ

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Ammar 808 ‎/ Global Control

Ammar 808 ‎/ Global Control

チュニジア人プロデューサー/シンセサイザー奏者のソフィアン・ベン・ユーセフによる音楽プロジェクト。名前の“808”はローランドのリズムマシーン“TR-808”に由来。チュニジア北西部の音楽“タルグ”を紹介するユニット“バルグー08”のメンバーとして活動。ベルギー・ブリュッセルを拠点に、TR-808が奏でるエレクトロニックな重低音とマグレブ地域に息づく伝統音楽とを融合させた近未来的なエスニック・ミュ

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The Struts / Strange Days

The Struts / Strange Days

ザ・ストラッツ(The Struts)は2012年デビューのイギリスのハードロックバンドです。UKロックの伝統を引き継ぎつつスター性もあり、UKロック界の新星という印象。元気が良くてアリーナロック的ですね。とはいえUSとは違う湿り気あり。オーラがあるバンドです。ポップながら適度にエッジもアリ、聴いて純粋に楽しいですね。あと、ちょくちょく過去の偉大なUKバンドを彷彿させるオマージュ的なところがある。

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Paradise Lost ‎/ Obsidian

Paradise Lost ‎/ Obsidian

Paradise Lostは1988年結成、1990年デビューのUKのバンドです。デス/ドゥーム的な音像からスタートし、独自の耽美かつ暗黒な音世界を構築。ゴシックメタルの源流の一つとされます。一時期はデスボイスを封印しかなりシンセポップに寄せた音像になっていましたが今作はアグレッションと聞きやすさを両立させつつ独特な音世界を築いています。英国のバンドということでやはり北欧、ノルウェーやスウェーデン

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Avatar / Hunter Gatherer

Avatar / Hunter Gatherer

Avatorは2001年結成、2005年デビューのスウェーデン、イェーテボリのバンドです。初期はメロデスだったようですが今作ではメロデス要素も残しつつもっとアメリカナイズされたメタアルコア的な要素も取り入れて音楽性を拡張しています。スウェーデンで活躍するバンドらしい「グロバルなメタルシーンの潮流」とシンクロし、進化しつつある作品。メロディが直線的であまり個人的嗜好と合いませんでしたが、いろいろなパ

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