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Neptunian Maximalism ‎/ Éons

Neptunian Maximalism(NNNM)はベルギーのブリュッセルを拠点に活動するバンドというかアート集団というか。アートワーク含めて強烈な個性を感じます。衝撃盤10枚にも選んだ作品。

音楽体験として新鮮だったアルバムです。曲というか、メロディ、リズム、ハーモニーはあるがいわゆる「曲」としての輪郭は薄く、むしろ、そうした従来の「曲」を構成する要素から離脱しようという意思も感じます。純粋な音色、音の変化によって場面が変わっていくというか、リズム、ビートはしっかりとあるが、その上はさまざまな音が現れては消えていき、一定の連続するメロディの印象は薄い。音楽体験としては衝撃的だが、40分の3枚組で全体で2時間、しかも展開はかなり緩やかなので実験的(エクスペリメンタル)、時間と共に変化する音像に浸り、酩酊できるかとうか。娯楽性や普遍性には欠けるが、個人的には今まで聞いたことがない新しい音楽だと感じたし強い印象に残りました。この酩酊感と「120分」という長尺さ、2時間にわたる「音楽体験」は強烈で、また体験してみたいと思わせる中毒性があります。

アルバムは以前も紹介したので、今日はライブをどうぞ。ライブの方が掴みやすいかもしれません。

スマホで聴きながら読みたい方はこちら(noteに戻ってくればYouTubeでバックグラウンド再生されます)。

2020リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

To The Earth (Aker Hu Benben)
1-1 Daiitoku​-​Myōō No Ōdaiko 大威徳明王 鼓童 : L'Impact De Théia Durant L’Éon Hadéen 6:13
太鼓の音、何かをはじくような音、金属でできた口ではじく笛か(民族楽器にある、名前を忘れた)
同じリズム、プリミティブなリズムが続く
金属を打ち鳴らすような音、音が増えていく、ガラスのような、何かが割れるようなメロディが入ってくる
笛の音が入る、どこの音像だろう、中央アジアなのか、トルコの軍楽隊か
だんだんと音色は増えていく、煮えたぎるような
弦楽器、バルカン半島の音楽的でもある、突進力があるブラス・セクションというか
ひたすら同じプリミティブなリズムが続く、声はないが声より主張が強い
喧噪、打楽器も増えてくる、とはいえポリリズム感は薄くベースとなるリズムはどっしりしている
原始のダンス・ミュージックを描いているのだろうか
そういわれたら石器時代というか、太古の音楽のようにも聞こえてきた
リズムがいったん鳴りやんだ、サックス、管楽器がうねる
さまざまな楽器が鳴り響く、行進してきた恐竜たちの群れが水場で休むような
また進みだした、ジャズと言えばジャズか、エレクトリックマイルス(特にビッチェズブリュー)以降というか、カマシワシントンの2枚組なんかもこんな音像があった気がするが、プリミティブさと音の厚さ、情報の質量が多い
★★★★

1-2 Nganga : Grand Guérisseur Magique De L’Ère Probocène 8:35
ゴリゴリしたベース、うねるように続く、リズムと絡み合いマグマのように
底流にベースのグルーブが流れ、鉄を打つようなリズムが入ってくる
溶けた鉄、溶鉱炉で真っ赤な鉄がうねりを巻いて流れているような
中央アジア、インド~タイ的な鳴り物、鐘の音が聞こえる
ややオリエンタルなメロディが乗る、なんだろうこれは
緊迫感というか、そうしたものが強い音像
静謐さを感じさせる笛の音、鉄の流れが止まる
気品ある笛の音、トルコ的な音階、ドラムと鳴り物が戻ってくる
像に乗った王族たちの行進、王の帰還だろうか
何か気品がある光景、砂漠の中の宮殿の楽隊を思わせる
ドラムが再びリズムを打ち鳴らし始める、鳴り物、鐘の鳴り物が寺院や宮殿を思わせる
ドラマティックな音、一曲目の最初にも出てきた震えるような単音、ああ、これは管楽器で出しているのか
リズムが少しづつ変化していく、いや、ベースは変わっていないのか
ゆらめく、スライドしていく情景、さまざまなサウンドレイヤーが重なり合い、後景に移っていく
風景がだんだんと変わっていく、モーフィングのように
きっちりと曲が終わり、無音が訪れる
★★★☆

1-3 Lamasthu : Ensemenceuse Du Reigne Fongique Primordial & Infanticides Des Singes Du Néogène 4:00
不協和音、オーケストラの調律のような
各自が自由に音を鳴らす、ただ、ベースになる和音が後ろで響いている
それらの音の塊がだんだんと消えていき、別の音が現れる、ノイズの強いギターか
やや明るめの音、低音と高音、金属的な音
飛行機が離陸する音のようにも聞こえる、機械の音
ここからどこか別の場所に移動するのだろうか
低い、うめくような声が入ってくる、歌いだす
空洞のような場所、音が途切れる、ドローン音としてなり続けていた低音が、楽器のベースとして動き出す
展開なくうめくような流れで終曲
★★★

1-4 Ptah Sokar Osiris : Rituel De L’Ouverture De La Bouche Dans L’Éon Archéen 9:16
前の曲から引き続き、同じ世界観でスタート
先ほど呻いていた声がそのまま残るがもっと邪悪な声に変わっていく
邪悪な何か、小鬼のような、指輪物語のゴラムのような声
リズムが入ってくる、打ち鳴らす、シンバルだろうか、鐘の音だろうか
鳴り物の音が祝祭的、音はドローン音が響き続けている
だんだんとメロディが立ち上がってくる、バルカン・ブラスのようなメロディ
声が入る、ノリが良いリズム、だんだん体が動き出す
足を踏み鳴らす、ダンスのリズム、パーカッションも入っている、リズムが強い
上の方では何かが崩落するような音が続いている、クラッシュしつづける、そこに管楽器のメロディが乗る
メロディはところどころ立ち上がっては消えていく、リズムが強まっていく
リズムがだんだん小さくなっていく、ドラムだろうか、音がシンプルになりリズムを叩く
上物、管楽器の音圧が上がっていく、それが静まり入れ替わるようにリズムが出てくる
いろいろな音が入れ替わり立ち代わり前に出てくる、演劇的というか各自のキャラクターが立つというか
リズム、動物たちの描写なのだろうか、ライオンキング的な、さまざまな動物たちの声のように聞こえてきた
鳥がさえずるような音もする、となるとこのリズムは像やサイだろうか
踏み鳴らす野生のダンス、多くの生命力を感じる
何かを叩く高音の打楽器、金管のような、バリのガムランのような
オーソドックスなドラムに戻る
やがて少しづつ去ってゆく、静けさが訪れる
★★★★

1-5 Magická Džungl'a : Carboniferous 2:20
低音、ベース音だろうか、ノイズ成分がかなり強く、岩が崩れるような音
管楽器、動物の鳴き声のようにも聞こえる、猿や鳥、小型ですばしこいもの
崩れるベースの上でそうした管楽器がちょこちょこ飛び回る
インタールード、場面展開だな
これ、動物園や植物園でBGMに流しながら歩いたら迫力が倍加しそうなアルバムだ
★★☆

1-6 Enūma Eliš : La Mondialisation Ou La Création Du Monde : Éon Protérozoïque 7:11
一度音が途切れてからのスタート、前の曲は動物たちの世界からの移動だったのだろうか
そういえば最初は砂漠、次は動物たち、まぁサバンナかジャングルか
今度は電子音が入ってきた、都市だろうか
管楽器が哀愁っぽいメロディを奏でる、ただ、音色だけで明確なメロディではない
サックスか、大都会を演出するスムースジャズ、のような音色
リズムが再び息を吹き返す、プリミティブさが少しづつ出てくるが抑圧されている
リズムは抑え目、ベースは低音でなり続いている、電子音も続いている
人の声が入ってくる、男声、歌っている
ややアラブ的な音階、アラブ? 北アフリカか、あるいはイエメンあたりか
声が分裂する、LとRで一瞬分かれて残像のようになる、分離したのだろうか
電子音が強くなってくる、なんだろう、モデムがつながる音のような音色、それが不規則に反復するメロディ
ベースがうねり始める、リズムが熱を帯び始める
声が戻ってくる、歌というかチャントというか、ややオペラティックにも聞こえる
管楽器が戻ってくる、プールの中のように音が反響・残響する
ベースがだんだんとおとなしくなっていき、ドローン音に戻る
引き延ばして着地し終曲
★★★☆

To The Moon (Heka Khaibit Sekhem)
2-1 Zâr : Empowering The Phurba / Éon Phanérozoïque 7:05
ここから場面が変わるらしい、さっきまで地球だったのがここからは月
確かに月と言われればそうかも、音数が減った、生命が減ったというべきか
灰色、写真で見る月、死の世界、真空の空間のようにも感じる
地形はある、岩場を進んでいく、探索車だろうか、起伏はあるが穏やか、同じペースで進んでいく
探索を表すような、探るような音、ベースがうねる
ドラムはトライバルなリズムだが音圧は控えめ、全体として抑制された音像
だんだんと音数は増えていく、音圧も少しづつ上がっていく
音数が増えるのは何かとの遭遇だろうか、あるいは単にさまざまなことを思い浮かべる内面の表現だろうか
これは月面を表しているより、月を見上げる地上の人々、夜の風景を表しているのかな
物語性が強い音像、メロディは反復するベースフレーズ、それがずっと続いている
その上でさまざまなノイズが走る、時々ベースラインをユニゾンで管楽器が奏でる
基本的にはジャズの構成なのか、分類的にはジャズ・ロックの影響が色濃いプログレッシブ・ロックとも言える
★★★★

2-2 Vajrabhairava གཤིན་རྗེ་གཤེད་, རྡོ་རྗེ་འཇིགས་བྱེད། : The Summoning (Nasatanada Zazas ​!​) 6:03
前の曲からノイズでつながっている
管楽器のフレーズが立ち上がってくる、他の音が消えていく
なんだろう、市場だろうか、不思議な情景
確たるメロディやリズムが解体されていき、いろいろな音に分解される
ただ、ノイジーで情報量が多いがそれほど耳障りな音はない、金属音などはあるが角は取れている
声が入ってくる、低い、深い声
邪悪さはそこまで感じない、何か大きなもの、あるいは超自然的なもの、祈りをささげる部族の長
声に導かれるようにして細かいリズムが入ってくる、ただ、遠方で鳴り続け、そこまで前面には出てこない
声が続く、ライオンキングあたりに出てきそうな、部族の名乗りを上げるような声だがエフェクトで少し切り刻まれている
それが異界からの通信のように感じる
The Summoningというタイトルなので何かを召喚している、儀式の描写だろうか
佳境に入っていく、管楽器が噴き上がる
★★★★

2-3 Vajrabhairava གཤིན་རྗེ་གཤེད་, རྡོ་རྗེ་འཇིགས་བྱེད། : The Rising 2:04
警報のような響きにも聞こえる、ギターの音だ
ノイズのような、ゆがんだギター音で前の曲からつながっている
ギターがフレーズを奏でる、低音のドローン音、フィードバックノイズのようにも聞こえる低音がなる
実際、ベースのフィードバックループだろうか、ベースとギターの音
それぞれディストーションとリバーブが強い、音数は少ないが音の残響音が多く空間を塗りつぶしている
インタールード
★★☆

2-4 Vajrabhairava གཤིན་རྗེ་གཤེད་, རྡོ་རྗེ་འཇིགས་བྱེད། : The Great Wars Of Quaternary Era Against Ego 8:36
リズムが入ってくる、だんだんとギターが遠ざかっていく、リズムは行進するようなリズム
メロディはあまり感じないがいろいろな音が入っている
ひとつの主メロというより、さまざまな音、さまざまな声というかフレーズが出ては消えていく
なので、全体としたらメロディは渦を巻いている
ただ、曲を貫く主題、主旋律というものはあまり感じられない
といって即興性が高いわけでもなく、計算されて構築はされていると感じる
それぞれが勝手に出てくるわけではなく、秩序を保ってメロディを奏でていく
ただ、どの程度構成が決まっているのだろう、音響的にはかなりこだわっているが、演奏はインプロビゼーションなのだろうか
ベースがリフというか反復するフレーズを弾き始める、リズムが複雑化していく
パーカッションが別に入ってくる
異界の情景を描いて終曲、2-11曲目からここまでが一つの組曲
★★★★

2-5 Iadanamada ! : Homo​-​sensibilis Se Prosternant Sous La Lumière Cryptique De Proboscidea​-​sapiens 5:38
ゆっくりと管楽器のメロディがスタート、息遣いを感じる
場面が切り替わったことを感じる
かなり音数が控えめで、身をひそめる、息をひそめるような
あるいは一休み、安息だろうか
静かな音像の中で断片的なフレーズが展開していく
どことなく寂寥感、黄昏感がある
管楽器のフレーズにコーラスがユニゾンする、人の声、民の祈りの声のような
静けさが訪れる
★★★★

2-6 Oi Sonuf Vaoresaji ! La Sixième Extinction De Masse : Le Génocide Anthropocène 12:32
キャラクターを感じる、動きのあるリズム
装飾音が多い打楽器、何を叩いているのだろう、もののけ姫のコダマのような
何か自然の精霊を感じさせるような音
管楽器がゆったりとしたフレーズを奏でる、管楽器隊は中東的な色合いが強い
ベースが低音を支える、だんだんフレーズがはっきりしてくる、時々うめくような声が混じる
いろいろな音が現れては消えていく、サウンドレイヤーが複雑で情報量が多い
浮遊するような、安定するような、心地よい音空間
どことなく浮遊感があり重苦しさは感じないが、リズムは安定している、どっしりした感じはある
今までの曲全般に言えるが、リズムそのものは安定している、いろいろな音も増えてくる
メロディは現れては消えていくが、本質的にリズムが心地よい
リズムがところどころ遠ざかり(フェードアウトしていき)、メロディというか音響、和音が残る
そうなると不思議な音空間だけが残る
どうやってこういう音楽を生んだのだろう
あと、このバンドは分類だと「メタル/ハードロック」らしいが、なぜなのだろう
うーん、ドゥームメタルなどに音像的に近い部分はあるが、、、
ステージングやファッションがメタル系なのだろうか
あるいはレーベルがメタル系なのか、、、ちょっと音だけだと文脈が分からない
ヘヴィな音を使って音で物語を表現する、いわゆる従来の「曲」ではない、音空間を作る、といった流れがある気がする
そういう流れのアーティストが「メタル」に分類されているのは面白い
確かに、聴覚的にはヘヴィだし、金属的というかいわゆる「ヘヴィ・メタル」の質感がないわけではない
メタルらしさ、を超自然的なものや感情を激烈な表現で昇華する音楽、と定義すればその範疇には重なる部分も多い
ジャズに比べると、ディストーションがかかったギターとベースが入っているのがメタルの要素か
★★★★

To The Sun (Ânkh Maät Sia)
3-1 Eôs : Avènement De L’Éon Evaísthitozoïque Probocène Flamboyant 18:32
最後のパート、リリースは3枚組でそれぞれEarth、Moon、Sunに分かれておりここからSun。
静かな、ジリジリと照り付ける日差しのような、同じ音程が少し揺れながら続いている
それが太陽の照り付けを想像させる、じりじりと熱量が上がっていくというか、照らし続けられるというか
少し不協和音と金属音、熱で、熱さで溶けているような
宇宙空間は真空なので音がない、音がない空間、そこで太陽が燃え盛っている
そういうものを音で表現するとこういう音像なのかもしれない、「無音の空間」を音で表現するという例えも変だが
「2001年宇宙の旅」は、圧倒的な「無音」を感じさせる映像だった
同じような音像が浮かぶ、だんだんと太陽に近づいていく
ホルストの「惑星」を思わせる最初の和音だが、惑星のような分かりやすい主題は出てこない
導入部の「何かが起こりそうな和音」がかなり長く続く
静かな中で、ただ巨大な太陽が圧倒的な存在感を持って存在しているという印象
ゆったりとした音階、ただ同じ音程で鳴り続ける
少しづつ音程がずれていく、メロディが入ってくる
北インド音楽のラーガのようでもある、最初はドローン音、少しの音階から始まってだんだんと盛り上がっていく感じだろうか
ただ、今までの傾向から言ってそこまで音階は増えないだろう、最初の導入部がかなり引き延ばされているというか、音階やメロディの音数はそこまで増えそうにない
盛り上がりは主にリズムや、音の種類によって表現されてきた
この曲もだんだんと音が増えていく、その音はノイズであったりドローン音(継続した単音階)だったりする
一つ一つの音が音量が大きくなったり小さくなったりする、それによって前に出てきたり後ろに引っ込んだりする
複数の登場人物が会話をする、自分の出番を演じるかのように
ドアがきしむような、風の音のような弦楽器、だんだんとメロディ要素が増えてくる
声が入ってくる、引きずるようなヘヴィなバックの音に呪術的な声が乗る、この辺りは完全にドゥームメタルの音像
とにかく世界観が徹底して作りこまれている
しかしこのバンド、ライブはやるのだろうか、やるとしたらどんな編成なのだろう
★★★★

3-2 Heka Hou Sia : Les Animaux Pensent​-​ils Comme On Pense Qu’ils Pensent ? 6:24
鳴り物がなる、鐘の音、寺院のような情景
断続的なリズムが続く
リズムに規則性が出てくる、インドネシアのガムラン的な
ブラスセクション、管楽器隊はずっと音を出している、管楽器隊もけっこうヘヴィな質感の音
声が入ってくる、ささやくような、遠くから響いてくる声
儀式によって何かが呼び出されている、あるいは呼びかけられているような
リズムの歯切れがよくなってくる、ややファンキーというか、跳ねるようなリズム感
声が聞こえる、残響音が聞こえる
神そのものが降りてきている、神を降ろそうとする儀式音楽
★★★★

3-3 Heliozoapolis : Les Criosphinx Sacrés D’Amon​-​Rê, Protecteurs Du Cogito Ergo Sum Animal 15:24
また長尺の曲、曲というか「場面」というか
調和をさぐるような和音、調律、人の声も入ってくる
瞑想的なシタールだろうか、弦楽器の音が入ってくる
アジア、インド辺りの音楽の影響を感じる
人の声もあまり音階移動はないが節回し、発声法が少しインドっぽい
聞いていると酩酊感がある、この3枚目が一番ドゥームメタル感があるか
あるいは耳が慣れてきて、「まぁドゥームメタルの質感だけを抽出したらこうなるよな」と気付いたのか
歌い方が盛り上がってきた
低い声、場面が展開していくが展開が緩やかで、ひたすら集中して聴くというよりゆったり身をゆだねる音楽
この曲はとろみというか、コクが強い、聞いていると意識がとろとろしてくる
エレクトリックウィザードのDopethroneとか、Sleepのエルサレムとか、あのあたりと共通する(より極端にした)ものを感じる
★★★★☆

3-4 Khonsou Sokaris : We Are, We Were And We Will Have Been 8:36
水面に水滴が落ちるような、金属弦をはじく音か
いよいよ最終曲、長く感じた音の旅も終着点が近い
3-1に戻ったような、同じ音階が引き延ばされて、熱量を感じる
同じモチーフだろうか
ほとんどメロディは変化しない、というかメロディらしいものはあまり感じない
色々な音色の変化だけで8分半が終わる
余韻を残しつつ去っていく、エピローグ的な曲
★★★☆

全体評価
★★★★☆
面白いものを聴けた。音楽体験として新鮮だった。
曲というか、メロディ、リズム、ハーモニーはあるがいわゆる「曲」としての輪郭は薄い
むしろ、そうした従来の「曲」を構成する要素ものから離脱しようという意思も感じる
純粋な音色、音の変化によって場面が変わっていくというか、リズム、ビートはしっかりとあるが、その上はさまざまな音が現れては消えていき、一定の連続するメロディの印象は薄い
調べてみたらベルギーのバンドのようだ、10名編成で、バンドメンバーにライティングスタッフも含まれている
音楽体験としては衝撃的だが、40分の3枚組で全体で2時間、しかも展開はかなり緩やかなので実験的(エクスペリメンタル)、時間と共に変化する音像に浸り、酩酊できるかとうか
娯楽性や普遍性には欠けるが、個人的には今まで聞いたことがない新しい音楽だと感じたし強い印象に残った
この酩酊感と「120分」という長尺さ、2時間にわたる「音楽体験」は強烈
強烈で、また体験してみたい、と思わせる中毒性がある

リスニング環境
昼夜・家・ヘッドホン

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