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PMマネージャーを降りる覚悟の先にあるもの〜会社を作ってプロダクトチーム広報を支援する新規事業にチャレンジ〜

こんにちは、PMノートでのPMインタビュー活動を生きがいにするマツバラヤスユキ(@yaspontax)です。

この記事は プロダクトマネージャー Advent Calendar 2023 の12/15公開記事になります。

pmconf2023は「覚悟」がテーマでしたね。
現地参加しましたが、セッションの内容としても刺さるものが多く、交流会などでもたくさんの方々とお話させていただき、非常に満足度が高かったです。
YouTubeにアーカイブ動画も公開され、年末に全て見てみようと思います。

このnoteでは、pmconfのテーマを受けて、「PMとしてキャリアを歩み、PMマネージャーを経験する中でのこれまでの覚悟と、PMマネージャーを降りる覚悟の先にあるもの」について、書いていきたいと思います。

要約すると、やりたいことが特になく、流れに身を任せてきた20代を過ごしてきたマツバラは、プロダクトマネジメントに出会い、30歳を目前に情熱を燃やせる事業ドメインに向き合いたいと転職した。周りからの期待に応えようと覚悟を持ってPMを務め、その結果PMマネージャーを担うことになり、精神的にキツイ時もあったがサウナと上司に救われつつ、さらに覚悟を持って頑張った。世の中全体でPM職の人材不足で給与水準が上がってきている背景もあるが、転職時には想像していなかった給料もいただけるようになった。が、35歳を目前に立ち止まって考えた時に、PMマネージャーを降りる覚悟をした。というのも、40歳までの次の5年間は、PMノートを足がかりにしながら、会社を作ってプロダクトチーム広報を支援する新規事業・プロダクトづくりに挑戦する。その戦略で人生を通してレベル3PMを目指す。という感じです。

お察しの通りポエムなので、「まあ、年末時間あるし、読んでやるか」くらいのテンションで読んでいただけるとちょうどいいと思います。よろしくお願いします。


流れに身を任せてきた20代終盤でプロダクトマネジメントに出会う

就活は実力も実績もなく、事業に対する解像度も一切ない状態にも関わらず「新規事業立ち上げがやりたいです」と言い続けて、とても成功したとは言えないものでした。
でも、どうにか拾ってもらって社会人になることができ、事業会社で未経験からWebディレクター職として働くことになりました。

「ゆくゆく新規事業立ち上げができるなら、営業でも何でもやります」と言って入社しており、理系出身?を理由に、特に自分の意志はなく配属されたので、流れに身を任せつつ、任せてもらえる仕事を何でもやるようにしました。(結果的にこの配属にめちゃくちゃ感謝)

開発ディレクションから始まりプロジェクトマネジメント(PMPを取得)、未経験状態での企画・デザイン領域含めたチームリーダー、さらに小規模事業におけるプロダクト領域の戦略策定、Webマーケ連携、KPI目標設計、コスト予算策定などと、横にも上にも立体的に広がりながら、主にtoCですが担当サービスも7つくらい(濃淡あるが0→1、1→10、10→100、サービス閉鎖も)経験させてもらいました。

そんな形で流れに身を任せてきた僕に変化が訪れました。
2017年(だったはず)にプロダクトマネジメントカンファレンスに参加したことがきっかけで、「自分がやっていることに近く、やるべきことはこれだ!これからはプロダクトマネジメントを軸として生きていくんだ!」と、思ったことを覚えています。

超解像度が低い状態で今振り返るとかなり恥ずかしいですが、

プロダクトマネージャーは、WhyとWhatを求められる。
プロジェクトマネージャーは、HowとWhenが求められる。
ということで、僕はWhyとWhatを追いたいので、PMP(Project Management Professional )を取得したけど、深堀りのキャリアパスではなく、プロダクトマネージャーへ!

とつぶやいたのでした。

そこから社内でもプロダクトマネジメントを意識した動きを行いながら、30歳を目前に、情熱を燃やせる事業ドメインに向き合いたいと思い転職しました。


周りからの期待に応えようと覚悟を持ってPMを務める

2019年頃、初めてのHR領域で、大企業への転職となりました。

入社直後から炎上しかけのアプリ立ち上げプロジェクトにぶち込まれ、要件定義とUI設計、プロジェクトマネジメントなどを頑張ることになりました。
どれだけ炎上しかけだったかと言うと、あれ?すでに開発進んでいるのに、Webサイトの既存仕様のことが把握できていないし、全体俯瞰できる画面遷移やUIデザインはどこにあるんだ?みたいな状況でした。

そのあたりの問題提起をしつつ、率先して手を動かしながらも、プロジェクトチームメンバーとのコミュニケーションを取りながら上手くいくように取り組んだことが評価されたのか、いつの間にかリリース後はプロダクトマネージャー組織のチームリーダー的ポジションを担うことが決まっていました。

今振り返ると、一番後に入ったとか関係なく、いいプロダクトにするために、やるべきことをやる覚悟があったかと思います。

どうにかリリースにこぎつけ、プロダクトをグロースさせるフェーズのスタートです。チームも一からの立ち上げだったため、プロダクトビジョンやロードマップの策定から、KPIモニタリングの仕組み、目標設定、企画開発プロセスの整理、ドキュメントの整備なども一からしながら、まさに覚悟を持ってプロダクトのグロースを牽引しました。
リリース直後ということもありますが、この2年間のKPIはYoYで200%以上の成長をしています。


PM組織のマネージャーとなった

2021年頃、所属していたPM組織のマネージャーを担うことになりました。

改めてプロダクトビジョンをアップデートし、これまで1つだったスクラムチームを2つ→3つと増やしながら、各チームのPOをメンバーのPMにお任せしつつ、ロードマップも拡張して、プロダクトの提供価値の向上とKPIグロースに組織でチャレンジします。
また、組織のマネージャーとして、初めて人の評価と採用に関わるようになり、目標設定や育成に対する向き合い方も変化が必要になりました。
さらに、1年経った頃から、新規機能開発のPMや事業部連携プロジェクトのPjMを兼任するようになりました。

挫折を味わう

順調に取り組むミッションを増やしたり難易度を上げて順調そうに思ったのも束の間、コロナ禍のリモート環境でのピープルマネジメントの難しさと、マルチミッションで組織のマネジメントとPM・PjMを兼任することで全く余裕が無くなってしまい、組織としての求心力がなくなり、結果として一度組織がバラバラになってしまいました。スクラムチームも元の1つの状態に戻さざるを得ない状態。プロダクトビジョンも過去の遺物となってしまった。

この時期は、自己否定を繰り返し、もぐらたたきで改善アクションを行うものの上手くいかない状況が続くが、マルチミッションでやらないといけないことは山ほどあるし、「今日このタスクやらないと死ぬ!」みたいな感覚にとらわれていたので、かなり精神的にキツかったです。

どう持ち堪えたかと言うと、サウナに出会い、考えることをやめる時間を作れたことで思考がフラットに戻りました。その上で、上司に相談してミッションを減らしたことです。
つまり、サウナは偉大だし、無理し過ぎないことが大事です(コンフォートゾーンから出ようとよく聞くけど、ストレッチゾーンを越えてパニックゾーンにいると思ったらすぐに戻ってくることが大事!)

また、上司との振り返りを行い、反省ポイントを洗い出したので、ここでシェアしておきます。

  • 常に組織として我々がどんな状態を目指し、現在地としてどこにいるのかを示せていなかった

    • 中長期で組織の理想状態とその実現に向けた計画を行い、3ヶ月や半期ごとにやり切り、振り返ることで組織と所属する個人としての成長実感が得られる状態が望ましい

  • 組織の問題やメンバーが持つ不満に関して対話する機会が持てず、結果的に放置してしまったり根本解決できなかった

    • メンバー全員で組織の問題を洗い出し、理想状態の会話や改善活動をメンバーで分担して行う、定期的に対話の機会を設けるべきだった

  • メンバーがやりやすいように権限委譲しようと思っていたが、結果的に丸投げになってしまっていた

    • メンバーが自信を持ってできることや支援が必要なことをちゃんと把握しながら、どんな状態になると良いのかを目線あわせして任せる、分からないことはティーチングすることが必要だった

つまり、マネージャーとして、組織やメンバーと本気で向き合う覚悟が足りなかったということだと思います。

もう一度立ち上がる

新しくご入社いただいたメンバーをはじめ、部署異動メンバー含めて新体制でやっていくことになりました。

それに伴って、頼りになる同僚のサポートも得ながら、改めて覚悟を決めて、前述の改善ポイントの実践に加えて、僕自身が先頭に立って組織のメンバーを巻き込みながらプロダクトビジョン・バリューなどを策定し直すことを決意しました。

せっかくやるならと「プロダクマネジメントのすべて」を参考にプロダクトの4階層の概念に基づき、「Core」「Why」「What」を中心に言語化しました。上位方針の情報整理・インプット、プロダクトビジョンの言語化、ターゲットユーザー特定、どんな状態にしたいかの言語化、ペイン・ゲイン抽出、バリュープロポジションキャンバスの整理、競合調査・ポジショニング整理、ユーザー体験の整理、ロードマップ策定など

実施するにあたっては、全員が何か貢献できるような役割分担を行い、僕がファシリテーターを務めつつ最も作業を行い、各種情報整理の結果として方向性を考える際の原案作成も行うようにしました。
以前のマルチミッション状態でのマネージャースタンスであれば、「最も作業を行う」ことも「方向性を考える際の原案作成」も行わなかったと思いますが、これをやったことが非常に重要でした。小さいようで大きな違いであり、この組織のフェーズにとっては絶対に必要な取り組み方だったと感じます。

その結果、いい感じにチームメンバー全員で取り組むことができ、チームの中でも共通のゴールができました。僕だけではなく、チームで支えるプロダクトビジョンに。
日常の中でも、プロダクトビジョン策定のプロセスで調査した結果やディスカッションしたこと、言語化した内容などが引用されて、我々の中に一本の軸ができたように感じます。

結果得られたもの

まとめると、失敗を糧に取り組んだ結果、組織として以下のものが得られました。

  • 対話を通じて全員で組織の問題に向き合い、役割分担して解決を行うチームの状態

  • プロダクトビジョン・バリューをもとにしたチームの軸(求心力と共通言語)

  • メンバーの自己効力感を高めながら組織のケイパビリティを向上する権限委譲の実践知

個人としてもやり切った感覚を得ることができ、新しいメンバーのおかげもあり、挫折期と比べるとチームのコンディションは間違いなくいい状態になりました。

また、あえてこんな話もしてみるのですが、挫折を味わいながらもこれまで覚悟を持ってやってきたことで、(世の中全体でPM職の人材不足で給与水準が上がってきている背景もあるが、)転職時には想像していなかった給料をいただけるようになった。
※あくまで凡人PMの感覚


マネージャーを降りる覚悟

組織もいい状態になった、プロダクトもこれからさらに良くなっていきそう、頑張れば報酬もさらに上げられそう、という状態ではありますが、2023年9月末をもって、マネージャーを降りることにしました。

掲げ直したプロダクトビジョン・バリューの実現に向けて、チームの先頭に立って牽引することも捨てがたかったのですが、この意思決定には、大きく2つの理由があります。

  • もうすぐ35歳になるので、40歳までの5年間にどんなチャレンジをしようか考えた時に、やりたいことが明確になった

  • 新体制を構築する際に部署異動いただいたメンバーにマネージャーを任せられる状態になった

1点目について、もともと就活時代から「新規事業を立ち上げたい」と事業に対する解像度がめちゃくちゃ低い状態で言っていましたが、これまでの経験によって事業に対する解像度が上がり、プロダクトマネジメントとの出会いと実践によって実現力も養われました。個人活動で続けているPMノートを活用できるかもしれない。やるなら早い方がいいだろうということで、チャレンジしてみることにしました。(Connecting the dotsを実感します)

2点目については、記載の通りですが、タイミング良くお互いのWillが合致したので、今しかない!と決めました。上司もその後任の方も、本当にありがたかったです。

ということで、今はエキスパートコースに変更して、特定テーマに向き合ってPMしています。


覚悟の先にあるもの

ということで、改めて、新規事業の立ち上げにチャレンジします。
PIVOTの動画で紹介されていた書籍『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』の中で「手中の鳥」という概念を知りましたが、それを実践する形になりまして、
現在個人で運営しているPMノートを足がかりにしながら、新たに会社を作って事業・プロダクトづくりにチャレンジしていきます。

この戦略で、エムスリーの山崎さんがおしゃっていて衝撃を受けた「レベル3のPM」を人生を通して目指していく!

レベル3:ここまで来ると超一流のプロダクトマネージャーとなります。年間利益 50~100 億を作れるレベルです。バーニングニーズを見つけ、マーケティングも使いこなし、更に経営もできるようなプロダクトマネージャーとなります。

超一流のプロダクトマネージャーへの道

既に動き始めていますので(公開までは間に合わなかった…)、少しだけ内容を紹介させてください!

これまでPMノートではPM個人のキャリアや業務内容、スキル開発、マイルールなどについてインタビューを行い情報発信してきましたが、
新規事業においては、PMノートを活用したプロダクトチーム広報に特化した情報発信(技術広報のプロダクトチーム版)のプラットフォーム提供とご支援を行います。
※(リスクヘッジのために、)求人サイトではありません

具体的には、各プロダクトチームが有するプロダクトの紹介をはじめ、プロダクトビジョンやロードマップの考え方、解くべき課題、チーム体制、プロダクト開発プロセス、カルチャー、所属メンバーなどが見える情報を提供します。プロダクトチームにフォーカスするからこそ、リッチで深い情報提供を行うことができ、もっとプロダクトとプロダクトチームに関するリアルな情報が世の中に流通する状態を実現したいと考えています。

その結果、世の中を変えるポテンシャルを持つプロダクト・プロダクトチームにヒトモノカネが集まったり、チャレンジを応援してくれるファンが増え、プロダクトチームがもっとエンパワメントされ、より良いプロダクトがさらに日本から生み出される状態の実現に貢献したいと思います。

現状ですが、以下の通り、過去にPMインタビューさせていただいた繋がりをもとに、先行でご協力いただける企業様のプロダクトチームに関する取材が完了し、ページ作成を進めている状況となります。ぜひお楽しみに!

今後の動きですが、年明けに法人設立と上記の(仮称)プロダクトチーム紹介ページの公開を行う予定です。
その際に、またnoteを書いてアナウンスさせていただこうと思いますので、もしご興味持っていただける方は、ぜひXかnoteをフォローいただけますと幸いです!

なお、現時点でもご興味を持っていただけるPMやプロダクトチーム関係者の方がいらっしゃれば、下記のウェイティングリストにご登録ください!
ご案内の準備ができ次第、順次ご登録いただいたメールアドレスにご連絡させていただきます。


最後に

このnoteを書いてみて、就活時代に何も持たない状態で言っていた「新規事業立ち上げがやりたいです」を、これから会社を作ってまでチャレンジしようとしていることに自分でも驚いています。
社会人になった時点や、全く希望していなかったWebディレクター職に配属され、流れに身を任せてきた20代においても全く想像できなかったです。

pmconf2023のテーマ「覚悟」に立ち戻って、このnoteを終わるためのメッセージを書いてみたいと思います。

  • 迷ってないで、まずは何でもいいからコミットしてやりきる覚悟を持とう

  • そうすると、何でも良く無くなってくるから、覚悟を持ってやめよう

  • そして、やりたいと思ったことを覚悟を持って始めよう

ということで、これからのマツバラの覚悟もぜひ見守ってください。

松原 泰之 / マツバラヤスユキ

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