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猛暑期は買い込まないこと。【八百屋から見た“食”no.32】

猛暑期はフードロス回避とか言ってられません。
生鮮品&食品は傷みます。食べきる量だけ買う。安いからもったいないからとたくさん買わない。すぐに食べないのであれば、結果、捨てるのです。

真夏の生鮮品売場の判断は特にシビア。“売り物”でなければ/お客さんが買いたいと手に取る状態でなければ、見切りor廃棄します。
廃棄処分をもったいないという方は、売れなくていつまでも冷蔵ケースに置いてある干からびた野菜でも順繰りに買いたいか/買って使い切れるかを冷静に考えてください。もったいないと傷む寸前の野菜を買ったときの“つかまされた!”感は誰しもあるはず。

私は、たとえ見切り品だったとしても、美味しくない・状態悪い野菜を売りたくありません。早めに見切り、早めに捨てる。傷みが続く品は仕入れない。目利きするバイヤーとしての矜持。

そもそも、畑に植わったままの大根&人参が土中で傷むことや、くだもの&トマトきゅうりなすピーマンの実が膨れる割れることは、真夏では多々あります。猛暑下ではキャベツ・レタス・ブロッコリー・かぶ・夏の人参etc.土に触れる度合いが高い野菜ほどすぐ傷みます。猛暑と豪雨を繰り返せば、実るタイプの野菜くだもの(トマト・なす・メロン・きゅうり・桃・ぶどうetc.)も割れたり水風船のように膨らんだりします。夏に収穫するために育てる計画そのものに“大きな栽培上のリスク”があり、農家さんは承知の上で育てています。

さらに。
露地・ハウス問わず(植物工場除く)、夏に収穫するすべての野菜くだものは余熱を持っています。自らの余熱で傷みが進みます。クール便で送っても、箱や袋の内部で結露が発生して傷む一因に。輸送中に葉や実が傷んで溶けて入ってくることがままあります。

売場の陳列もびっくりするほど長持ちしません。特に鮮度野菜の大半は実測25-28℃の室温下でも、はだかのまま置けば2時間で萎れ、袋に入れて陳列しても半日で変色し、丸1日あれば傷みます。1日半も室温で置いたらキツイ匂いとともにトロケます。葉モノだけでなく、大根・かぶ・ねぎ類・ブロッコリー・人参も2日目には傷みます。袋詰めの野菜くだものも、袋の内部で空気中のカビ胞子が悪さしてカビ・蒸れ・傷みを作ります。とうもろこしの粒はつぶれ、トマトは水膨れ。ミニトマトは糖度が高いほど割れやすくなります。冷蔵ケースに陳列する“もやし&かいわれ”に至っては入荷当日限り。

ウチの店は、店頭陳列の葉モノ・鮮度野菜・バナナに大型保冷剤を1日に30個程度敷き詰め温度管理をしています。毎日凍らせては溶けた都度入れ替える地味ーーーな作業(でも大切)。仕入量も絞っているため夕方には多くが売切れ。翌日(or次回入荷日)にまた新しい採れたてを販売します。夕方来店の皆様には事前予約をおすすめしています。

【生育時の傷み】
【収穫後の余熱】
【輸送時の結露】
【陳列時の劣化】
【猛烈な外気温と直射&湿度】
と、いまさら文字にする必要がないくらい今年(2023年7月8月)がどれほど過酷な環境下かは実感できるでしょう。気温25度以下の春・秋・冬と比べ、今季はおおよそ3~5倍速で劣化します(経験上)。

猛暑期に長持ちしない生鮮品。
逆説的ですが(どんなに鮮度良く、冷蔵庫が高性能でも)
「真夏は長持ちしないから、たくさん買わずに使い切る量を買って」としか言えません。
・ブロッコリー→冷蔵して1-2日。0-2℃のチルド保管できたらベスト
・もやし→できれば当日&翌日。あさってだとOUT。
と、買われるお客さんには毎回毎回、お客さんが被ってもいいからド正直にお伝えしています。すぐに茹でて食べる旨も。ともかく調理予定がある品目を買うに尽きます。

冷蔵庫を過信しない。在庫回転を上げる。庫内ストックを減らす。庫内の棚の分解洗浄。加熱調理をする。生食は流水を徹底する。手を洗う。うがいをする。これはなにも飲食店や小売店だけのマナーではありません。ご家庭でもぜひお願いします。すべては真夏でも美味しく食べ切り、食中毒を避けるためです。猛暑がまだまだまだまだ続く2023年真夏。6月中旬~丸2か月は猛暑という特別キビシイ今夏は、野菜&食品を扱う感覚もキビシく臨んでいただけたら幸いです。

①すぐに使わない野菜は、極力買わない
②買ったらすぐ(当日翌日)に調理する


この2点は徹底しましょう!


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↓過去投稿:鮮度(収穫後の時間経過)を軽視しない

↓過去投稿✕2:こだわるよりも食べきる

↓過去投稿✕2:美味しい!って大事 (←文字にすると平凡)


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